源頼朝が幕府を開いた地、神奈川・鎌倉市。
この歴史的な街に現存する“ある文化財”を巡り、いま住民が困惑する事態が起きていました。

鎌倉時代の戦没供養のため、1356年に建てられた市の指定有形文化財「泣塔」。

それが今、むき出しとなった丘の上で無数の鉄パイプとネットに囲まれていました。

周囲には巨大な石も転がっていて、岩盤はぼろぼろの状態になっているのが分かります。

実は、つい2カ月ほど前までは、泣塔を囲むように約400本もの樹木が生い茂っていました。

しかし、市が1月から2月にかけてその樹木を伐採したことにより、泣塔は野ざらし状態になっていたのです。

変貌した景観に地域住民は、「悲しすぎると思って。あんな姿になっちゃってと思う」「“おり”もそうだし、木は切っちゃったし、こんな裸にされちゃったみたいな」「1カ月以上もあのままですからね。神聖なものというイメージからちょっとかけ離れましたね」と話します。

さらに、この場所に25年ほど住む男性からは、「たたりがなければいいなと」という不安の声が聞かれました。

この泣塔にはある言い伝えがあったのです。

鎌倉市職員(諸説あり):
前に塔を移動したら、すすり泣く声が聞こえたので元に戻した。

そもそも泣塔の名称は、かつてこの塔を大きいお寺に移したところ、夜な夜なすすり泣く声が聞こえたため、元の場所に戻したことに由来するといわれています。

市は伐採について、多くの木が根を深く張り、もしも木が倒れると泣塔ごと崩れ落ちる危険性があったと説明します。

さらに、直射日光と雨風よけのため、泣塔を防護柵で囲ったということです。

今後どうなっていくのでしょうか。

市の担当者は「将来的に安全に公開していけるよう段階的に工事を進め、文化財として親しんでいただけるようにしたい」と話します。

緑化も含め、周辺の景観との調和を図るための工事を進めていくとしています。

一方、同じ鎌倉市内で別の景観問題も浮上しています。

夕日の絶景スポットとして知られ、毎年多くの海水浴客などが訪れる人気観光地「由比ヶ浜海岸」。

砂浜と道路の境目部分に4本並んだ高さ5メートルのコンクリート製の電柱が、約900メートルにわたって広がる砂浜に立っています。

この光景に住民からは、「ここじゃなきゃいけなかったのかな。歩ける砂浜のところじゃなくてもいいような気がします」「トイレの横とかね」「海が丸見えの方が景観的にはいいですよね。これも時代によってしょうがないかなとも思うし」などと、景色が変わったことへ批判が上がる一方で、「そんなに気にはならない。散歩するぐらいなので、別に邪魔な感じがしない」といった声も聞かれました。

一体何のための電柱なのか。

これまで、海の家やイベントなどでの排水は砂浜に穴を掘って流していたため、悪臭が発生していました。

そこで、ポンプを使って排水を下水管に流すため、その電源として設置したといいます。

景観を損なうなどの苦情が市へ寄せられていることから、目立たないよう電柱に色を塗ったり地中に埋めるなど、今後、対策を検討していくということです。