イギリス・ロンドンで、認知症ケアの技術を競う国際アワードが開催。
優勝賞金100万ポンド、日本円で約2億1000万円を手にしたのはAI搭載のスマートグラス「クロスセンス」でした。
スマートグラスは眼鏡型の端末で、フレームにカメラやマイク、スピーカーが内蔵され、レンズ部分にはデジタル情報などが表示されます。
また、カメラで捉えた映像をAIで解析し、物体や文字を識別することができます。
「クロスセンス」は認知症患者の生活をサポートしてくれるAI「ウィスピー」が搭載されています。
記者が「ミルクティーにしたい」と伝えると、ウィスピーは冷蔵庫を探すように促し、牛乳が置いてある場所を教えてくれました。
認知症患者が安心して行動できるよう、1つ1つ丁寧に手順を示してくれます。
また、やかんのお湯の沸騰をアラートで知らせ、注意を促す研究も進められています。
認知症は日本では65歳以上の約8人に1人。
イギリスでは、生涯のうち3人に1人が発症すると推計されています。
70歳のキャロルさんは3年前に認知症の初期と診断。
現在、1人暮らしをしていて記憶力などの低下に強い不安を感じているといいます。
認知症の初期と診断されたキャロルさん(70):
記憶や認知機能を失っていくのはとても怖いこと。自立できなくなると自分の世界がどんどん狭くなってしまう。だから私にとってこのメガネは、世界を開いたままにしてくれる道具。
キャロルさんは朝食などを作る際、手順が思い出せなくなることもあるといいますが、「ウィスピー」がサポートしてくれることで安心して行動できると話しています。
キャロルさんは「ウィスピーは、温かい飲み物を安全に作る方法をひとつひとつ順を追って話してくれる。その『安心感』が大きい。まるで自分の能力がまだちゃんとあるみたいに感じられる」と話しました。
このスマートグラスを開発したオルリンスCEOは、こうした技術の価値は単なる見守りや作業支援にとどまらないと強調します。
クロスセンス・オルリンスCEO:
日常生活に困難があると自信を失い、不安や恥ずかしさを感じ、人と話したり外出したりするのを避けるようになるかもしれない。だからこそ人の自信を支え、人と会ったり過ごしたりする力を後押しすることで、その悪循環を断ちたいと考えている。
このスマートグラスは2026年中の実用化を目指していて今後、車の運転や買い物など幅広い日常生活での利用を見据えています。
また、オルリンスCEOは高齢化が進む日本市場にも強い関心を示しています。