従来の「紙・プラスチックの健康保険証」が“完全廃止”されてから3カ月。
医療現場ではいまだトラブルが続いている。
大阪府保険医協会の最新調査では、65%の医療機関でマイナ保険証のトラブルが発生。
しかも、「●(くろまる)表示」などは悪化しているという。
調査を担当した大阪府保険医協会の坂元いづみさんに詳しく聞いた。
■「●(くろまる)トラブル」が悪化…
【大阪府保険医協会 坂元いづみさん】
去年12月2日に健康保険証が「完全廃止」されたことを受けて、大阪府保険医協会ではマイナ保険証の利用状況について調査を実施、620件を超える医療機関から回答を得ました。
そして、マイナ保険証の利用トラブルが、今も約65%の医療機関で起きていることが分かりました。
しかも、内容が変化…悪化しています。
これまで、マイナ保険証のトラブルで最も多いのは「名前や住所の一部が●(くろまる)で出る」でした。
今回の調査でも264の医療機関で「●表示が出た」と報告されています。
これまで「●表示」になる字の多くは「はしごだか(高)」や「たつさき(崎)」など、旧字や異体字などの一部の文字入力ソフトに登録されていない文字でした。
ところが、今回、「今」「西」「はしごだかではない普通の“高”」といった標準的な文字や、住所の「(-)ハイフン」などが「●表示」になったとの報告が多数寄せられているのです。
マイナ保険証の利用者が増えて顕在化しているのか、システムになんらかの大きなエラーが出ているのか、はっきりとした理由はまだ分かりませんが、医療現場からは「●表示は悪化している」との声が多くあがっています。
■「有効期限切れ」急増でトラブルの上位に…
去年から急増している「マイナンバーカードの電子証明書の“有効期限切れ”」は、さらに増加しています。
今回は197件の報告があり、カードリーダーエラーを超えてトラブルの3位でした。
マイナンバーカードには「カード本体の有効期限(10年)」と「電子証明書の有効期限(5年)」があり、「電子証明書の有効期限(5年)」が切れると「マイナ保険証」は利用できません。
しかし、電子証明書は表面から見えないものだけに、特に高齢の方には難しく、説明してもなかなか理解されないのが現状です。
しかも、マイナンバーカードの表面に記載されている「電子証明書の有効期限」は空欄になっています。自分で書き込む形ですが、実際には空欄のままの人も多いようです。
すぐ上に「カード本体の有効期限」が印字されていることもあり、「書いてある有効期限がまだなのになぜ?」と、さらなる混乱を招いてしまっています。
■まだまだ続く「他人の情報の紐づけ」
さらに今回の調査で、「他人の情報が紐づいている」事例が6件ありました。
少数ですが、今もまだ発覚したことに驚きました。もしかしたらこれはもう解消しきれない問題なのかもしれません。
保険診療の「資格確認」で最優先されるべきは“確実性”です。
マイナ保険証を利用したオンラインでの資格確認が“確実性”を担保できない以上、従来の保険証の替わりである「資格確認書」を全員に配布すべきではないでしょうか。
そして受診の際には、「マイナ保険証+資格情報のお知らせ」か「資格確認書」かを、利用者が選べるようにすべきだと思います。
■「暫定措置」終わり「新年度で資格情報変わる」でさらに負担や混乱生じるか
企業によっては「資格確認書」の発行に否定的なところもあり、実質、選択できないようになっているようです。
しかし、そもそもマイナンバーカードの取得は任意です。
最初の制度設計に無理があった上に、行き当たりばったりの政策を積み重ね、今もなお多くの医療機関でトラブルが起きているのが現実です。
医療現場と患者にこれ以上の負担と混乱をもたらさないために、国の早急な対応を強く望みます。
(大阪府保険医協会 坂元いづみさん)