全国で認知症の行方不明者が後を絶ちません。
その数は年間で1万8000人にも及ぶということです。

今も行方を捜し続ける家族を取材しました。

きちょうめんだった工場経営者の夫が繰り返すようになった徘徊。

行方不明・勅使川原淳さんの妻:
「道がわからなくなりました」と帰ってきてたのに、今回に限り行ってしまった。会いたいし、ずっと一緒にいたい。

離れて暮らす家族が今思えば、と振り返るわずかな前兆。

行方不明・秋山佳代美さんの娘:
「私もうおかしくなっちゃったかも」みたいな、もっと早くに会ってあげれば良かった。

50代で「若年性認知症」になった妻の行方を2年半、捜し続けた夫がたどり着いた、ある思い。

行方不明・荒川泰子さんの夫:
相談するところもない。苦しみは私だけではないということを知った。

警察庁の最新のまとめによると、2024年に届けが受理された行方不明者は約8万2500人。

そのうち、認知症やその疑いが原因とされるのは全体の2割以上の1万8121人に及び、1日あたりで計算すると、約50人もの行方が分からなくなっていることになります。

静岡・沼津市で暮らしていた秋山佳代美さん(当時75)。

行方が分からなくなったのは2025年10月11日。
夫と2人で暮らしていたという秋山さん。

行方不明・秋山佳代美さんの娘:
その日(の夜)父は「飲みに行く」と言って、途中まで母が一緒に寄り添って見送りをしてくれた。(佳代美さんは)一度家に帰ってきて、その後出て行っちゃった。携帯電話や財布などの所持品は持っていない状態で…。

秋山さんには“軽い認知症”とみられる兆候はあったものの、1週間前にも夫婦で旅行を楽しむなど、大きな異変は感じなかったといいます。

行方不明・秋山佳代美さんの娘:
最後に母と電話をしたのが(去年)7月。その時は、母が知らない家のところで熱中症みたいな症状で座り込んでしまって、「私、おかしくなっちゃったかも」みたいなワードをよく言っていた。

今振り返ると、同じ話題を繰り返すようになるなどの異変も見られていたという秋山さん。

行方不明・秋山佳代美さんの娘:
できるだけ早く見つけてあげたいなって…。私が落ち込んで家に帰ってきたりすると(佳代美さん)は手を握ってくれて…「大丈夫だよ」って(言ってくれた)。(異変が起こる前に)もっと早くに会ってあげればよかった。

認知症が原因とみられる行方不明者は、東京都内にも。

行方不明・勅使川原淳さんの妻・かすみさん(74):
これを何枚も何枚も刷っては、夜中に刷っては配りに…。

2025年12月4日の午後3時前、あきる野市内の自宅を出たあと、行方が分からなくなっている79歳の勅使川原淳さんです。

行方が分からなくなった日、自宅では妻のかすみさん(74)が一緒にいました。

行方不明・勅使川原淳さんの妻・かすみさん(74):
今回、私がちょっと昼寝をしたその隙をみて、主人は「オレもう行っちゃうよ」って。

その当日の様子の動画を見せてもらいました。
家の前を何度か行ったり来たりする男性が、勅使川原さん本人です。

行方不明・勅使川原淳さんの妻・かすみさん(74):
防犯カメラにうつるんだけど顔を隠してさーっと行ってるんですね。これが最後です。

新幹線や車の部品を作る工場を経営していた勅使川原さんに認知症の症状が現れたのは、70歳を過ぎたころ。

行方不明・勅使川原淳さんの妻・かすみさん(74):
家の中のトイレの位置が分からないんですよ。だからトイレトイレって言いながらベランダの方に行ってみたり。

ある時は、20kmほど離れた神奈川・相模原市の警察に保護されたこともあったといいます。

病院への一時入院や、位置確認ができるGPSタグを携帯させるなど、できる限りの対策をとっていた家族。

行方不明・勅使川原淳さんの妻・かすみさん(74):
(今までは)警察に見つかったり、誰かに見つかったり、あるいは自分も警察の所に行って「道が分からなくなりました」って(伝えて)帰ってきてたのに、今回に限り行ってしまったんです。

勅使川原さんの行方が分からなくなって3カ月余り。

行方不明・勅使川原淳さんの妻・かすみさん(74):
あちこち…本当に川や山も捜しましたけど…どこにも…どこにもいなかった…。だからもう…会いたいし…ずっと一緒にいたいです。本当に簡単なことなんです。通報してくれるだけでいいんです。「もしかしてあの人じゃないか?」と思ったら、迷わず、間違っても全然構いません。遠くに行っても、遠くだとしても本当に私はすぐに行きますから。そしてそれが間違いであっても何の問題もありませんから。どうか主人の情報を持っていたら、どうか通報して情報をこちらに回していただきたいと思います。

そして、2023年8月8日火曜日の早朝、鳥取・米子市で行方が分からなくなった荒川泰子さん(当時59歳)。

若年性の認知症にかかっていたと夫の勉さんは語ります。

行方不明・荒川泰子さんの夫・勉さん(67):
自分が今までやってきた朝ご飯とか夕ご飯とかはできる。不思議に。ただ、最終的には味付けがおかしくなったので。

そして、行方が分からなくなった火曜日にもある日課があったといいます。

行方不明・荒川泰子さんの夫・勉さん(67):
火曜日は(スーパーの)特売日なので毎週買い物に行ってた。

スーパーの特売日だった火曜日に1人で出掛けた後、現在まで大きな手掛かりのないまま。

夫の勉さんは今も妻の行方を捜す一方、自分だからできる新たな使命もあるのだと語ります。

行方不明・荒川泰子さんの夫・勉さん(67):
今2年半、本当につらい日々だった。それで、苦しみは私だけではないということを知った。全国に向け「認知症行方不明者家族支援者連絡会」という会を立ち上げようとしている。困っている方を一人でも多く、この会で助けていきたい。

国立長寿医療研究センターは、家で歩き回ったり何かを繰り返す、家にいても帰宅しようとするなどの予兆に注意するよう呼びかけています。

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