思い出になるはずだった修学旅行で一体、何が。
沖縄県の辺野古沖で船が転覆し、京都の高校生が死亡したことを受けて、学校が会見を開いた。
会見では、出航について死亡した船長の判断に任せていたことや、旅客船ではない船が人を乗せるのに必要な登録がされていなかったのにその確認もしていなかったなど、学校側の安全確認が十分とは言い難い状況が明らかになった。
■「にこにこ笑っていた姿を思い出してしまう…」校長が会見で哀悼の意を表す
16日、沖縄・名護市の辺野古沖で、同志社国際高校の生徒18人などが乗る船2隻が転覆し、船長の金井創さん(71)と高校2年生の武石知華さん(17)が亡くなった。
同志社国際中高校・西田喜久夫校長:生徒の顔を思い浮かべると、にこにこ笑っていたあの姿をどうしても私たち教員は思い出してしまいます。
悲しみのなか安らかににお眠りくださいと哀悼の意を表したいと思います。
武石さんは非常に優秀な生徒で英語の力はネイティブなみに英語が話せるお子さんでございました。
廊下なんかでも出会ったときに非常に気軽に『先生おはよう』とか『こんにちは』とかいうふうに声をかけてくれる生徒でございました。

■開校以来「平和学習」に力を入れ、2015年から辺野古沖の学習が始まる…
会見で校長は、開校以来、平和学習に力をいれていたと述べた。
そして2015年に辺野古沖を陸から見学する学習が始まり、2023年からは牧師でもある金井船長の案内で船に乗る今回と同様のコースになったという。
同志社国際中高校・西田喜久夫校長:京都にいては、なかなか感じにくい沖縄の実相を見せないのではなく、見せることによって、各自がそのことの意味を考える機会として欲しいという思いで。
毎年ではないですが、沖縄の研修コースとして辺野古を取り上げておりました。生徒たちに特定の政治的な、もしくは思想的なものを持つように指導をするようなための研修旅行では、全くございません。

■2隻のうち1隻が転覆し、救助に向かったもう1隻も転覆
事故当日、現地で何があったのか。
学校によると16日午前9時、辺野古を見学するコースを選んだ生徒37人と引率の教職員が現地に到着。
まず先発の生徒18人が、「不屈」と「平和丸」に分かれて乗り、出航した。
そして、午前10時10分ごろ、転覆した船に乗っていた生徒の証言によると、2隻のうちの1隻がまず転覆し、救助に向かったもう1隻も転覆したという。
船の運航団体などによると、金井さんが操縦する「不屈」が先に転覆し、助けに行った「平和丸」も転覆したとのこと。
亡くなった武石さんは、平和丸に乗っていた。

■引率の教員2人は陸で待機
また引率の教職員2人は、陸に残った後発の生徒の指導のため、船には乗っていなかった。
同志社国際中高校・西田喜久夫校長:生徒たち、教員たちが待っていたところ、思いのほか長く帰ってこないということで。
『どうしたんだろう』という思いではいたようですけれども、そうこうしているうちに、救急車のサイレンの音がして、港に緊急車両がやってくる事態になり、そのときに初めて現場の教員は、転覆事故があったという事実を聞いたそうです。
学校にいた校長のもとには、午前11時頃に、違うコースを引率していた教頭から事故の一報があり、その1時間半後に武石さんの死亡が確認されたという連絡があった。
同志社国際中高校・西田喜久夫校長:お母さまが学校に来ておられましたので、お母さまにその事実をお伝えし、娘さまのお待ちになる沖縄に行っていただくための準備をしていただくことになりました。
ほかの生徒たちも指の骨折や打撲などのけががあり、16人が病院で治療を受けた。

■「安全対策はとっていた」学校側は主張するが…
同志社国際中高校・西田喜久夫校長:私が把握してる中ではいずれも定員以内の乗船であったということ、また海域の中の立ち入り禁止区域には入っていないということ。乗船にあたっては全員が救命胴衣を着けていました。
一定の安全対策はとっていたという学校側。
しかし今回の会見では、その対策が十分だったとは言い難い部分も見えてきた。
当時、現場周辺には波浪注意報が出ていたが、学校は、警報が出た時には全ての行事は中止をするということになっていたものの、注意報という事で現地の判断という形になり、金井船長の判断に任せたという。

■「旅客船でない船が人を乗せて運ぶのに必要な登録」もされていなかった
過去には「下見をしたうえで教職員が同乗したこと」があったということだが、今回は教職員が乗船した下見は行っていなかった。
(Q.金井牧師の話だけをもって安全だと判断した?)
同志社国際中高校・西田喜久夫校長:実際のところはまさしくその通りでございます。私どもと金井先生の間の信頼関係のなかで大丈夫だと判断しました。
旅客船ではない船が人を乗せて運ぶ場合は、「一般不定期航路事業」として代表者の氏名や航行する水域などを運輸局に登録しなければならない。
しかし、今回使われた「平和丸」と「不屈」の2隻の船はどちらも、登録されていなかった。
同志社国際中高校・西田喜久夫校長:(登録しているかどうか)思い至らなかったというのが実際のところだろうと思います。

■「事故現場は荒れる場所。日頃から厳しく判断していた」運行団体が会見
16日、会見を行った船の運行団体によると、事故現場の海域は荒れることがあり、出航に関しては日頃から船長が厳しく判断していて、昨日も海況は悪くないと判断し出航したのではないかとのこと。

■「波浪注意報が出ている中ではより慎重に判断すべき」専門家が指摘
一方、専門家は、波浪注意報が出ている中では、より慎重に判断すべきだったと指摘する。
日本水難救済会・遠山純司理事長:出航間際に仮に海が穏やかで風弱くてもそのあと出航してから急に波や風が強くなるケースが多々ある。
少なくとも注意報が出るというのは小型船舶の航行には支障をきたす可能性があると考えていい。
たくさんの人の命を預かって運行する側としては、注意報が出ていても運行差し控える厳しい判断が必要だった。
同志社国際高校では生徒たちの心のケアに努めるとともに、今月24日に保護者説明会を行うことにしている。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年3月17日放送)

