サッカーJ2ブラウブリッツ秋田で4シーズンを過ごした元プロサッカー選手が、今度は“とんかつ”で人を熱くする。秋田市にオープンした「とんかつ直輝」。ピッチで戦った男たちの次なる舞台は厨房(ちゅうぼう)だ。そこには、プロとしての区切りと、秋田への変わらぬ感謝の思いが込められている。
プロキャリアの原点・秋田への恩返し
店を切り盛りするのは、井上直輝さん(28)。サッカーJ2ブラウブリッツ秋田でプレーしていた元選手だ。
井上さんが秋田に加入したのは、クラブがまだJ3だった2020年。球際の強さを武器に、1年目から主力として活躍し、同じ年のJ2昇格に貢献した。
その後、4シーズンにわたり秋田でプレー。2024年からはJ2カターレ富山で2年間プレーし、現役生活に区切りをつけた。
「サッカーを辞めるタイミングは自分で決めたかった」と語る井上さん。富山で過ごした2年間は、次の人生を見据え続けた時間でもあったという。
引退後の挑戦の地に選んだのが、サッカー選手としての原点でもある秋田だった。
とんかつ好きが本気で選んだ第二の道
週に1回はとんかつ店に通うほど、とんかつ好きだった井上さん。店を出すと決めてからは、揚げ方一つにも一切妥協せず、専門家に教えを請いながら試行錯誤を重ねてきた。
3月3日、秋田市新屋にオープンした「とんかつ直輝」。開店初日から多くの客が訪れ、厨房はフル稼働となった。
その中で、黙々と揚げ物に向き合う井上さんの姿は、現役時代さながらの集中力を感じさせる。
ピッチで培ったチームワークは今も
井上さんとともに店を営むのが、元ブラウブリッツ秋田のチームメート、沖野将基さん(29)だ。
2019年から5シーズン秋田でプレーし、背番号10を背負ったドリブラー。2人は選手時代、同じ家で暮らしたこともあるほどの間柄だ。
現在は、井上さんが調理を、沖野さんが肉の仕入れや接客を担当。現役当時と同様、互いを信頼する関係は変わらない。
店の看板メニューは、沖野さんの出身地・長崎のブランド豚「芳寿豚」を使ったとんかつ定食。低温でじっくり揚げた白い衣と、うまみの詰まったジューシーな肉が特徴だ。
訪れた客からは、「ソースなしでもおいしい」「並んだかいがあった」と好評の声が相次いだ。
次のステージでも秋田とともに
「秋田が地元ではない自分たちを、ブラウブリッツ秋田を通して受け入れてくれた」。沖野さんは、飲食という形で秋田に恩返しがしたいと語る。
井上さんの目標は、ただ一つ。「まずは、とんかつ直輝を続けていくこと」。サッカーと同じように、一つのことに全力で向き合う姿勢は変わらない。
ピッチから厨房へ。戦う場所は変わっても、秋田への思いを胸に刻みながら、2人は新たな一歩を踏み出している。
(秋田テレビ)
