創業130年を誇る老舗飲料メーカー・トンボ飲料が、大学生と連携してインド市場への進出を目指す挑戦が始まっている。金沢大学3年生の戸取俊介さんを「海外担当者」として現地に派遣し、ノンアルコールドリンク「セレブレ」の市場調査を実施。両者のウィンウィンの関係が実を結びつつある。

この記事の画像(20枚)

学生を「海外担当者」に抜擢する新発想

「過去何年も、どこかの国に輸出しては棚落ちしてだめになるということを何回も繰り返しています」と語るのは、トンボ飲料の営業部門トップを務める翠田圭吾さん。失敗の共通点は「現地の方に商品の魅力が伝わっていない」ことだという。

この課題を解決するため、トンボ飲料は金沢大学が3年前から始めた「2×2インターンシッププロジェクト」に参加。このプロジェクトは、大学生を企業の海外担当者として派遣するユニークな取り組みだ。企業は費用などの課題を学生の力で解決し、学生は留学しながらインターンができるメリットがある。

戸取さんは「将来、海外進出をしている企業やメーカーに入りたい」という思いから自らプロジェクトに応募。トンボ飲料のインド市場調査を担当することになった。

現地で見えたインドのノンアルコール市場の実態

インド南部の都市ベンガルールに滞在した戸取さんは、まず地元の飲食店でノンアルコール飲料の調査を開始。インドでは宗教的理由だけでなく、健康志向の高まりから若者を中心にノンアルコール需要が爆発的に伸びている。特に「モクテル」と呼ばれるノンアルコールカクテルが人気だ。

2か月の調査で、インドにノンアルコールワインがほとんど見当たらないことに気づいた戸取さん。理由を探るため、現地の有名ワイナリー「グローバーザンパ」を訪問した。

「インドではノンアルコールワインの市場がないからです。ワインと言ったらアルコールで、ワインを飲む人はアルコールのものを飲んで、飲まない人はノンアルも飲まないんじゃないか」とワイナリーのソムリエは語る。

セレブレの試飲では「甘さを控えめにして酸味を強くしたほうがワイン風のノンアルコールドリンクとして良い」「しっかりとマーケティングすれば受け入れられる」との評価を得た一方で、「インド市場では価格が高すぎる」という課題も見えてきた。

展示会での商談で実を結ぶ現地調査

帰国まで2週間となった11月下旬、戸取さんは「Brews&Spirits Expo」という展示会に参加。世界中のアルコール飲料メーカーが集まる中、トンボ飲料のブースを担当した。

外国企業がインドで商品を販売するには、インド政府の輸入ライセンスを持った現地インポーターが不可欠だ。戸取さんは「1人インポーターを捕まえること」を目標に掲げた。

最初は来場者の関心を引くのに苦戦したが、インド国内一の発行部数を誇るお酒の専門誌編集者が商品に興味を示したことをきっかけに、インポーターとの商談が実現。「自然素材で作られていることが魅力で、日本製品をとても信頼している」と評価され、名刺交換にこぎつけた。

「人と人の縁は自分から作るものなので、この縁を一つまた一つ作ることができたのは、自分にとっても大きな一歩ですし、トンボ飲料さんにとっても大きな一歩になれたかなと思います」と戸取さんは振り返る。

帰国後の報告会では、「ものはいいから卸売業者を紹介するから、インドに入ってきたら連絡して」とオーナーに言われたことも報告。翠田さんは「怖いもの知らずというか、行動力はすごくうらやましくて、今回任せて良かった」と大学生の活躍を評価した。

「ノンアルコールもいいよねっていうシーンをいろんな国で作りたい」。大学生が積極的な行動で作ったインドでの縁を、トンボ飲料がしっかりとつないでいく挑戦が始まっている。

(富山テレビ放送)

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。