暖かくなるこれからの季節。無視できないのが『害虫』です。

シロアリ駆除の現場に密着し、独自の侵入経路でやってくるシロアリの脅威と対策を取材しました。

また、厄介者のシロアリを食用やエネルギーとして活用しようとする動きもあります。

まもなく“シーズン”到来のシロアリにいま何が。そして、私たちは何に気を付ければいいのでしょうか。

■外からは見えないシロアリを匂いで見つけることができる”シロアリ探知犬”が活躍

大阪市内の神社に抱きかかえられてやってきたのは、ビーグル犬のアリスちゃん(9歳)。

【アサンテ 下山当さん】「シーク、シーク、シーク…」

においを嗅ぎながら建物の中をぐるぐる。実はある調査をしています!

【アサンテ 下山当さん】「シーク、ショーミー、グッドボーイ。(犬が)止まっているというはここにシロアリが匂いがしているんです」

特別な訓練を受けたシロアリ探知犬のアリスちゃん。外からは見えないシロアリを匂いで見つけることができるのです。

去年の夏にもシロアリ被害を受けたという神社は、シロアリの活動が活発になるのを前に、探知犬による調査を行いました。

実際に、探知犬が反応した場所の床下に潜ってみると、シロアリの姿はありませんでしたが、建物の中に侵入した際につくられる“蟻道(ぎどう)”が見つかりました。

【杭全(くまた)神社 藤江寛司禰宜】「築数百年の建物をシロアリがいるかいないか調べるためだけに、(床を)切るわけにはいきませんので、神社が存続する限りシロアリとは戦い続けないといけないと思います」

■シロアリとはどういった生き物なのか

このような被害をもたらすシロアリとはどういった生き物なのでしょうか。

【兵庫県立人と自然の博物館山崎健史主任研究員】「ここにあるシロアリが日本でみられる“ヤマトシロアリ”です」

大きさが3.5~5ミリ程度のシロアリは、世界でおよそ3000種類が確認されていて、日本には「ヤマトシロアリ」や「イエシロアリ」など20種類程度が生息しているといいます。

【兵庫県立人と自然の博物館山崎健史主任研究員】「名前に“アリ”と付いていますけど、実はアリとは全く違う昆虫です」

なんと、シロアリは「アリ」ではなかったのです!私たちがよく見る「アリ」は、幼虫がサナギを経て成虫になる「完全変態」という特徴があり、ハチの仲間に分類されます。

一方で、シロアリはサナギにならず、ほとんどそのまま成長する「不完全変態」の昆虫。

その分類は「シロアリはゴキブリ目でというグループに含まれていて、ゴキブリと非常に近い仲間」だといいます。

(Q:ゴキブリの仲間なんですか?)
【兵庫県立人と自然の博物館山崎健史主任研究員】「そうですね、非常に近い」

実はシロアリは、2000年代にゴキブリの仲間に分類されていたのです。

■被害は東大寺・法華堂やケーブル、アルバムまで…

シャレにならないのはその被害。

過去には、奈良市の東大寺・法華堂でも国宝の仏像を安置する台座が損傷しました。

シロアリに食われ、使えなくなってしまったケーブルに…布がビリビリに食い荒らされた座布団。

さらには大切な思い出のアルバムまでボロボロに。

■シロアリの被害は4~6月から増える

住宅が被害にあったらどうなるのでしょうか。取材班は大阪市東淀川区の駆除会社「アビリティ」のシロアリ駆除に同行しました。

(Q.シロアリ駆除の依頼はどの時期に多い?)
【アビリティ山下敬三さん】「4~6月ぐらいが(シロアリ被害が)増えてくると思うので、もうそろそろシーズンということで、依頼の数は増えてきているんじゃないですかね」

今回、依頼があったのは、大阪府堺市にある築50年以上の木造2階建て住宅。20年以上前から空き家になっていて、誰も手入れをしていないためシロアリの被害も深刻なのだそうで…

【アビリティ山下敬三さん】「シロアリの被害で木がカスカスになって、底が抜けてしまって、こういう状況です」

姿は見えないものの、シロアリ被害の影響で床の一部が抜け落ち、入ることができない部屋もありました。

このまま放っておくと地震などの際に家が倒壊するリスクも。そうならないために、さっそく作業を開始します。

■シロアリは日が当たらず湿気がある場所を好み、マンションでも侵入されるリスク

シロアリはいるのでしょうか?

【アビリティ山下敬三さん】「今、動いているシロアリはいないです、昔いてたかもしれないですね。昔いてたところは、またシーズンが来たら、(シロアリが)来る可能性があるので、きちっと処理しておかないと」

床下に入り、食われた木材に薬剤を注入。さらに周辺にも散布しておよそ2時間で作業が完了しました。

そしてその様子を心配そうに見つめていたのは隣に住むAさん。自身の家も20年ほど前に被害に遭っていて、点検を依頼しました。

木が食べられた跡や、シロアリが通った場所“蟻道(ぎどう)”も確認されました。

【点検を依頼したAさん】「入ってました?シロアリ」
【アビリティ山下敬三さん】「今は現状いないです」

山下さんによると、シロアリは日が当たらず湿気がある場所を好み、マンションでも侵入されるリスクがあります。

そして家に引き寄せないためには、風通しを良くし、ベランダや庭などに段ボールや木材を放置しないことが大事だといいます。

【アビリティ山下敬三さん】「新築時は今、防蟻処理が義務づけられてるので、新築をご購入されたときは5年間の補償というのは大体つく。5年以降になってくると、薬剤の効果が切れるんで、予防消毒を検討していただかないとだめかと思います」

■「一石三鳥ぐらいの夢のような生き物」新たな活用に期待

脅威を与えるシロアリですが、新たな活用も期待されています。

【記者リポート】「こちらに並んでいるのは全て“昆虫食”。シロアリも実は、食べることができるんです」

世界各地でシロアリは食料として利用されていて、タンパク質やミネラルを含み栄養が豊富だといいます。

さらに専門家によると、シロアリの体内にいるバクテリアが水素を発生させるため、取り出して燃料電池などエネルギー面での活用も期待されるといいます。

【近畿大学農学部 板倉修司教授】「将来人間が火星に移住したときにいらなくなった木材・木質系の廃棄物をシロアリに食べさせて、そこから水素を作る。エネルギーであったり、食料を作る一石三鳥ぐらいの夢のような生き物かもしれないです」

終わらない人間とシロアリの攻防は、将来、新たな局面を迎えるかもしれません。

(関西テレビ「newsランナー」 2026年3月13日放送)

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