野球観戦のどこに問題が

イラン危機とは言え首相らの国会答弁にもある通り、現状では存立危機事態にも重要影響事態にも認定されていない。それは武力衝突の現場が日本から遠い中東であり、邦人保護や退避も行われ、石油の備蓄も250日分くらいあるからだ。

政府はチャーター便で中東地域から邦人を退避させている 10日・成田空港
政府はチャーター便で中東地域から邦人を退避させている 10日・成田空港

首相官邸や議員宿舎から車で30分以内のところにある東京ドームまで閣僚が野球観戦に行くことが、危機管理上問題があるのだろうか。

小川氏にとって実は幸いだったのは、この質問をしたところで質問終了時間が迫っていることを委員長に指摘されたため「答弁は一般質疑で後続の委員に委ねたい」と述べて質問を終えたことだ。

ネット上では小川氏の質問に対して「聞くことないならさっさと予算通せ」など批判のコメントが目立っていたのだが、あの芝居がかった口調で閣僚一人一人に「なぜ行ったのか」などとただしたら、さらに炎上しただろう。あそこで終わってよかった。

WBCは盛り上がっているが…
WBCは盛り上がっているが…

それにしても小川氏は天皇御一家も足を運ばれたWBCを閣僚が見に行くことはけしからんと本当に考えているのか。国民の「楽しみ」に水を刺すとか思わないのか。

小川氏は高市首相の「食事会が苦手な女だ」発言についても取り上げた。例によってまだるっこしい言い方で何を言ってるのかよくわからなかったのだが、AIに聞いてみたところ「性別や属性を用いた表現についてジェンダー平等の観点から適切だったかを問題視した」ということであった。

高市首相は変な質問には結構ムッとした表情を見せるのだが、この時も「何いうとんねん、この兄ちゃん」という顔をしてたものの、今後はその表現は使わない考えを示したのだが、小川氏はこの答えに満足したのだろうか。

予算審議時間の短縮は民主主義の破壊なのか

高市首相の強い意向で与党は13日に予算案を衆院通過させる構えなのだが、強引な国会運営に対し野党は反発を強めており、森英介衆院議長に対し充実審議を求める文書を手渡した。

文書は与党の対応を「議会政治をないがしろにする横暴」「悪しき前例になるだけでなく民主主義を破壊する」と激しく非難している。「予算審議時間の短縮」は民主主義の破壊なのだろうか。

与野党幹部と橋下徹が激論を交わし「野党の予算以外の質問ゼロ」提案が
与野党幹部と橋下徹が激論を交わし「野党の予算以外の質問ゼロ」提案が

2月22日のフジテレビ「日曜報道THE PRIME」で橋下徹元大阪市長から「国会の生産性を高めるきっかけにしてほしい」として、「野党の予算以外の質問をゼロに」という提案がありこれは面白いと思った。

だが予算委を日常的に聞いている人はわかると思うのだが、実は予算委で予算に関する質問というのは意外に少ない。

9日の衆院予算委員会集中審議ではイラン情勢が中心に
9日の衆院予算委員会集中審議ではイラン情勢が中心に

9日の午後は首相出席の「集中審議」だったのだが、イラン情勢などに多くの時間が割かれ、予算についても「無理して年度内成立させず暫定予算でやれ」とか「予備費でなく本予算に入れろ」など「段取り」に関する質問が多く、予算案そのものに対する質問は少なかった。

首相不在の場で細かな予算審議が

ただ自民の「国対族」議員に聞くと、首相が出席する「基本的質疑」や「集中審議」は「国会の行政監視機能」として予算以外の質問も自由にするが、首相が出席しない「一般質疑」や「分科会」では予算について細かく質疑しているという。

だったら予算の審議は首相は出席せず閣僚や政務3役が出席する一般質疑だけにし、首相に聞きたい時は週1回の党首討論で聞くという「英国方式」にすればいいのではないか。

「ソーリ!ソーリ!」と厳しく迫る人も…
「ソーリ!ソーリ!」と厳しく迫る人も…

野党の中には必ず首相に答えさせようとして「総理に聞いてるんです!」「要求大臣は総理だけです!」「ソーリ、ソーリ」と騒ぐ人が今回もいたのだが、こんなことをやっているのは日本だけなのでやめた方がいいと思う。

ただ「国対族」氏によると「首相への質問」は自民党内にも希望者が多いという。質問して首相に答弁してもらうと支援者にアピールできるというのだ。

新興政党が元気で若者の政治参加が進んでいる
新興政党が元気で若者の政治参加が進んでいる

なかなか闇が深いが、このところ古い政党が力を失い、新興政党が元気になっている。若者やこれまで政治に関心を持ってこなかった人が投票に行ったり国会中継を聞いたりしているという。今こそ国会改革のチャンスではないか。

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ客員解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て報道局上席解説委員に。2024年8月に退社。