変わる町と残された課題・・・
双葉町は復興の途上にある。医療機関や学校がまだ十分ではなく、「今すぐに生活するには不安がある」と大沼さんは話す。
「高齢化が進む中で、病院が近くにないというのは大きな不安です。僕も双葉で具合が悪くなった時、いわきか相馬の病院まで救急車で(搬送する)と言われました」
居住環境についても課題は多い。道路は狭い場所が残り、下水整備もまだ充分ではない。大沼さんは「人が住んでいない今こそ、思い切って街を作り直すチャンスだ」と言う。
「いつでも帰れるように、完成宅地のように整備してほしい。道が広くなったり、水はけが良くなるだけで、住もうという気持ちになると思うんです」
一方、近年は移住者も増えている。大沼さんは双葉町でペット可の賃貸物件を運営しており、伝承館や町役場で働く人々が入居している。
「新しい人が増えるのは良いことです。町が閑散としたままでは、復興の実感が湧きません。飲食店ができたり、人の流れが生まれたりすれば、必ず良くなっていく」
“帰る場所を守りたい”という願い
震災から15年。大沼さんは、その長い年月がもたらした変化の大きさを痛感している。
「写真を見返すと、建物が朽ちていき、更地が増えている。時の流れは大きな影響を与えていると強く感じます」
墓じまいをする人も増えた。世代が変わり、双葉に戻らない選択をする人も少なくない。それでも大沼さんは、帰る場所を手放さない選択をした。
「墓を残したのは、死んでからでも帰れるようにと思ったからです。でも、生きてるうちに帰りたい。その希望だけは捨てないでいたい」
最後に、大沼さんは復興に携わる人たちへの思いを語ってくれた。
「双葉で頑張っている人たちを誇りに思います。僕もいつか、その仲間になりたい。ここでやるのと、双葉でやるのとでは、思いの重さが違うんです」
(フジテレビ災害対策チーム 百武弘一朗)
