障がいも個性、誰もが主役。松山の商店街に輝いた、優しさのランウェイ
障がいの有無に関わらず、誰もが自分らしくおしゃれを楽しむファッションショーが、愛媛県松山市の大街道商店街で開催された。みんなが主役の「ランウェイ」。その舞台裏を追った。
2月22日、大街道商店街に突如あらわれたランウェイ。堂々とポーズを決めるモデルたちは義足だったり、車いすに乗っていたり傍らには、盲導犬も。それらはすべて、自分を輝かせる、個性。障がいがあってもなくても関係ない。
「障がい者も障がいをもってない人も、輝けるファッションショーにしたい」
松山市の就労支援事業所に通う堀本将史さん、32歳。ショーの発案者であり、モデルの一人だ。
堀本将史さん:
「手首とかが力入って動きにくいときがありますね」
堀本さんは、生まれて4日目に一時的に呼吸が止まったことで脳性麻痺となり、車いすで生活している。それでも大好きなヒップホップやおしゃれを楽しむ姿をSNSに投稿するなど、車いすに乗っていても自分の「好き」を大切にできるんだと発信している。
そんな堀本さんの「夢」のつぶやきが今回のショーを実現させた。
堀本将史さん:
「パリコレみたいなキラキラした世界に憧れて、僕がファッションショーに出てみたいなっていうところから始まって、周りの人がそれなら自分で作ってみたらって言われたのがきっかけです。障がい者も障がいをもってない人も、輝けるファッションショーにしたい」

「服を着た自分が主役です」
ファッションショー開催の2週間前、モデルたちが集まっていた。
島本亜依さん:
「ファッションショーと言っても、服が主役ではないですよね、今回はね。服を着た自分が主役です」
ミセスオブザイヤー世界大会・準グランプリの島本亜依さんを講師に、ランウェイの歩き方を練習していたのだ。ランウェイに立つのは、障がい者と健常者あわせて18人。堀本さんも、ショーのために自らデザインした衣装で参加している。
衣装担当:
「ホーリーのイチオシね、これ、スタッズもつけちゃう?ってね。(衣装は)かがやく感じ。キラキラした世界観を見せたくて」
衣装のテーマは「輝く」。ボタンやチェーンなど装飾はゴールドに統一し、自分で脱ぎ着しやすいようマジックテープで仕上げた。
堀本将史さん:
「自分でも驚きです。実現できるんだなと思って」

ダウン症の小学生もアイドルのような衣装をリクエスト
モデルの一人、小学4年生の篠浦未翔くん。生まれつき左ひじより先がないダウン症の男の子だ。
篠浦未翔くん:
「おかあさん、音楽」
お母さん:
「音楽ね、snowmanが好きなので、snowmanみたいにキラキラにしてもらうんよね」
未翔くんは、大好きなアイドルのような衣装をリクエスト。
キラキラジャケット羽織ると…
「かっこいいー」「いいじゃんかっこいいよー」「すごいよキラキラやー」
お母さん:
「すごい素敵だなって企画が。ダウンちゃんなんで人当たりがいいっていうか、性格的に人とかかわるのが好きなので、ちょっとやらせてみたいなと思って」
篠浦未翔くん:
「カリスマーックス」

練習を重ねるうちに表情やポーズが生き生きと
ランウェイの歩き方を指導する島本さんは、一人一人にパフォーマンスのヒントを伝える。
島本亜依さん:
「どこを見せたいですか?」
梨乃さん(左足に障がいがある):
「装具を」
島本亜依さん:
「装具!オッケー。思いっきり左足をバーンと出しちゃって、横でもね、好きなほう。これが私なんだっていうとこを見せてあげてください」
梨乃さん:
「自分の障がい、見た目が気になって、こういうおしゃれを楽しめることができないんですけど、この際、装具を出したり杖を見せて、自分らしさを出していけたらいいなと」
「個性」を見つめ、「自分」を表現。はじめは照れたり緊張したりだったモデルたちも、練習を重ねるうちに表情やポーズが生き生きとしてきた。
男性(健常者):
「歩いたら楽しくてポージングも、こうやってやっちゃったりとかして」
車いすの女性:
「もともとオシャレが好きで、障がいがあってもおしゃれしたらモチベーションもあがるし、キラキラできるっていうことを出て、みんなに見せたいなって」
未翔くんはというと?「1,2.3.4.5、ポーズ」「いい!」

「障がいも個性」自分らしさを見せるファッションショー
本番当日の朝、モデルのみなさんは、準備の真っ最中。
メーク中の女性:
「ファッションショーっていったら、すごいスタイルもよくてきれいで、自分には絶対縁がないって思ってたんですけど、いろんな人のありのままの姿で、うまくやるものではないという言葉を聞いて、それならやっぱり出たいなと思えて」
装具を、そして自分らしさを見せたいと話していた梨乃さん。
お父さん:
「超きれいになっとる全然違う」
未翔くんは、ショーに向けて腹ごしらえ。
お母さん:
「絶好調です。寝起き第一声がファッションショー!ラウール!だったんで。もうやる気満々で。家でも踊ってきました。あはは」

個性あふれるパフォーマンスに拍手が沸き起こる
会場となる大街道商店街には、輝く星をイメージした黄色のランウェイが登場した。さあ、いよいよ開幕だ。
ランウェイは最高潮に盛り上がって、個性あふれるパフォーマンスに拍手が沸き起こる。
梨乃さん:
「仲間がたくさんいるってことと、応援してくれる人がいるってことをきょう実感できたので、また新たにがんばっていきたいなって」
涙を流すお父さん:
「成長を見たかな、と」

「100点満点でかっこよかったです!」
次は未翔くんの番。本番を前に、緊張や不安の気持ちが大きくなったみたい。
未翔くん:
「あー」
お母さん:
「ぎゅーする?」
お母さんがぎゅっと抱きしめて、エールを送る。しかし緊張なんてどこへやら。満開の笑顔に、投げキッスまで飛び出した。
未翔くんの姉・かんなさん:
「かっこよかったです。いつもと雰囲気が違うので、キラキラして見えました」
お母さん:
「100点満点で、かっこよかったです。よかったね、楽しそうでした。楽しかった人」
未翔くん:
「はーい!」

年齢も、ジェンダーも、障がいも飛び越えて輝ける舞台を
総勢18人のモデルのトリを飾ったのは堀本さん。
観客:
「すごいなって思いました。愛媛が優しい、こういう境目がないように広がっていったらいいなって思います」
観客:
「すごいみんな生き生きされてて、すごいよかったです」
観客:
「個性がそれぞれ出ててすばらしいなって。ゼフのコスプレをしている方、自分の個性を生かして、クオリティの高いことをされていたので、すごい印象に残っています」
堀本将史さん::
「いま頭が真っ白なんですけど、すごいうれしいです。やっぱりファッションショーを企画して、本当によかったなと思います。なんか・・・幸せです」
年齢も、ジェンダーも、障がいも飛び越えてみんなが輝ける舞台を。そんな思いをのせたランウェイは、モデルたちだけでなく観客や、あたり一体をも包み込む優しさを生み出していた。

