セルフレジを悪用した万引き被害が増加傾向にあるという。全国万引犯罪防止機構の調査によると、「セルフレジ導入によって万引き被害が増えた」と答えた店は25%にのぼる。

一方で、買い物に「セルフレジを使う」人は増え続けている。最近の調査によると、「セルフレジ派」が47.4%と半数近く、「有人レジ派」37.4%を上回った。「どちらも同じぐらい利用する」15.2%を考えると、セルフレジの利用は半数を超えたといえよう。(*StorePro「有人レジとセルフレジの心理・行動」に関する調査より)

人手不足もあってセルフレジ化を進めざるを得ない側面もあるコンビニだが、万引きなどの防犯対策はどうなっているのか。

「コンビニ各社にとって“セルフレジの万引き対策”は早急に対策すべき大きな課題となっています」と話す、流通アナリストでコンビニ業界に精通する渡辺広明氏に詳しく聞いた。

セルフレジ化が進む一方で新たな問題が…

【流通アナリスト・渡辺広明 氏】
1月からミニストップで『アプリで年齢認証が可能となるサービス』の実験が始まりました。これにより、セルフレジの課題だった『酒・たばこ』の購入がスピーディにできるようになり、ますますセルフレジ化が進むと思われます。

一方で新たな問題も起こっています。セルフレジの導入で、今、問題になっているのは『うっかり万引き』。“故意に商品を盗む”のではなく、スキャン漏れや操作ミスによる“無意識の万引き”が増えてしまっているのです。

将来的には「レジ横に商品を置いたら、重さとかフォルムで値段が表示、計算される」という風になっていくかもしれません。

なお、「うっかり精算漏れ」であっても、あとからそのことに気づいたのに、そのまま自分の物にしてしまうと、罪に問われるケースもありますので、十分に注意をしてください。

アナログだけど“声かけ”は効果大!

非常にアナログな手法ですが、元気な「いらっしゃいませ」の声かけは『万引き抑止』に大きな効果があります。積極的な声掛けは「見られている」「認識されている」と意識させ、万引きしづらくさせるのです。

流通アナリスト・渡辺広明 氏
流通アナリスト・渡辺広明 氏
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ローソンの近未来型店舗『グリーンローソン』では、セルフレジとアバター接客を実施しています。店内のモニターに映し出されたアバターを、遠隔地からスタッフが操作。買い物時の困りごとなどを、人間がオンラインでサポートするシステムです。

無人店舗とは違って“人の目がある”ことで、犯罪抑止の効果も期待できます。

セルフレジや無人化、アバターといった最先端を進みながら、「人による声かけ」というアナログ部分もうまく活用しています。

「AI監視カメラ」がリアルタイムで不審者検知

フランスでは、万引き防止などを目的としてAI搭載カメラの導入が進んでいます。

AIが監視カメラの映像をリアルタイムで分析し、バッグに商品を入れる、通路に長く居座る、など、万引きの疑いのある不審行動を識別し、店員や警備員の端末に送信。即時の対応ができるというシステムです。

日本でも、ファミリーマートが『店内の防犯カメラで撮影した売り場画像をAIで解析・点数化する』新たな店舗運営支援の実証実験が始まりました。例えば、おむすびの売り場を毎日決まった時間に撮影して、AIで画像解析しデータ化することで、時間帯や曜日ごとの発注や売場づくりにつなげるというものです。

いずれAIを活用した万引き対策が実現するかもしれません。

防犯カメラに死角なし。数百円で人生を棒に振るな

今のカメラはフルカラーで高性能、想像以上に画像が鮮明です。台数も多く、店内は網羅しており、駐車場やバックルームを映している店舗もあります。

モニターは(店内の大きさにもよりますが)基本的には12~16画面で店内は死角なし、悪いことをすれば分かってしまうと考えた方がよいです。

画面に残った映像は万引きの動かぬ証拠となります。

コンビニ商品は数百円のものが中心。高くても2000円ほどです。ちょっとした出来心で人生に傷をつけるようなことは、非常にバカバカしい行為です。数百円のために人生を棒にふらないでください。
(流通アナリスト・渡辺広明氏)

取材:高知さんさんテレビ