温暖化対策待ったなし! なのにCOP24がまとまらない理由

カテゴリ:ワールド

  • 先進国と途上国、マネーとコミットの解が見えない
  • パリ協定合意からたった3年で政治状況は激変
  • 来年9月の気候変動サミットへ合意先送りか

各国の反応が鈍いCOP24

「地球の気温が上昇を続ける中で、気候変動対策は遅れを取り、挽回のチャンスの扉は閉じつつある」
12月14日までの予定でポーランドで開かれているCOP24(第24回国連気候変動枠組み条約締約国会議)で、国連は危機感を露わにしている。平たく言えば、「COP24で対策をまとめられないと手遅れになってしまう。本気で取り組んでくれ!」と言いたいのだ。しかし、各国の反応は鈍い。「ここでまとめよう」という盛り上がりは現地から伝わってこない。なぜなのか?

隠れた犯人は?

会議場に姿はないが、トランプ、習近平、そしてマクロンが、隠れた犯人といえるだろう。

COP24の使命は、2020年にスタートする『パリ協定』の実施ルールを決定すること。具体的には、協定加盟国それぞれの温室効果ガスの削減目標の妥当性をどのようにして評価し検証するか。そして、先進国から途上国への資金援助の仕方と援助額の国別割り当てで合意することだ。

誤解を恐れずに言えば、先進国は資金拠出は少なく抑えつつ、途上国により強い削減コミットメントを約束させたい。一方、途上国はより多い資金を確実に得られる見通しがなければ結果にコミットなんて無茶でしょ‥というせめぎ合いの構図がある。先進国と途上国、そして金とコミットメント。これらの要素がたすき掛けになっている連立方程式を解かなければならない難問なのだ。

トランプ大統領の罪

だからこそトランプ大統領によるパリ協定離脱の罪は大きい。
先進国から途上国への資金援助の枠組みである「緑の気候基金=GCF」への拠出も止めると宣言したため、途上国も先進国も大いに当てにしていたアメリカのマネーが雲散霧消してしまった。年間1000億ドル(約11兆3千億円)以上の財源への最大の拠出国がいなくなった穴を日本やその他の先進国が埋められるとは思えない。いただけると思っていた資金援助が大きく減りそうな途上国側の不満は大きい。もっとマネーを!という圧力は簡単には収まらない。いくら知恵を絞っても、肝心のマネーがごっそりなくなって難易度が上がった連立方程式を解くのは容易ではない。

重荷を背負わされそうな中国の心変わり

そこに習近平国家主席も心変わりである。
パリ協定がまとまった推進力は、当時のオバマ大統領と習主席の協働だった。リベラル派大統領はレガシーづくり。長期政権を見据える国家主席は国内向けの公害対策を外向きには温暖化対策に積極的として売った。当時、急速に関係が悪化しつつあった米中の間では、温暖化対策だけが協力できる分野だったという事情も大きかった。だとしても、結果オーライであったことは間違いない。

しかし、状況は大きく変わった。世界第2位の排出国であるアメリカにやる気がないのに、中国が重荷を背負わされてはたまらない。国内向けに公害対策は続けるが、国連気候変動枠組み条約の規定により中国は『途上国』としての責任は負うが、『先進国』が担う責任とは差異があると認められているのだ。中国は『排出量1位』の立場から『途上国』の壁の内側に戻ってしまったと言っていいだろう。

それに、トランプのアメリカとは貿易戦争が進行中。技術覇権をめぐる争いもエスカレートし、新冷戦とまで言われる状況だ。温暖化対策だけはトランプと協力なんて冗談にもならない。習主席の中国が途上国と先進国の橋渡し役を放棄した今、利害調整は一段と難しくなっている。

ないない尽くしのマクロン大統領

加えてマクロン大統領の失政だ。
『パリ』の名がつく国際合意の成功を願うフランス国民と政府の気持ちは、『京都議定書』の日本人と日本政府にとって容易に想像できる。そのフランスの大統領が、拙速な燃料税の導入で大規模な反対デモを引き起こし、挙句の果てに導入中止と政権の弱体化だ。温暖化対策でEUを主導しなければならない立場のマクロン大統領がこの体たらくでは、EU加盟国間の利害対立で自壊が始まったかに見えるEUがCOP合意に向けて一丸となれるのか心もとない。

金がない。排出量ツートップにやる気がない。それをカバーするリーダーシップも期待できないでは、会議がまとまるはずはないのでは?

次の目標づくりへ

では、これから何が起こるのか?
閣僚会議のフェーズに入ったCOP24は、“お約束”ともいえる会期をオーバーする徹夜の調整作業を行い、実質的には合意を先送りする合意をまとめることになるのではないか。

そう考える理由は、すでに来年9月に気候変動サミットを招集すると発表されていることだ。国連総会の一般討論演説のため多くの首脳がニューヨークに集まるタイミングで開催されるのだろう。それは2020年に始まるパリ協定対策のスタートイベントであるのだが、同時に、COP24不調を見越した次の目標づくりとも言える。

問題は会議参加国が皆、そこに感づいているだろうことだ。国連の危機感にもかかわらず、本当の合意期限は12月14日ではない。来年9月だ!と受け取られているとすれば、今はまだ妥協のタイミングではない。もっとマネーを!もっとコミットを!と言い続けなければならない。

待ったなし!の気候被害を尻目に、各国の利害調整の行方はなお予断を許さない。

(執筆:フジテレビ 解説委員 風間晋)