中国・台湾のサンマ漁獲量は日本の2倍! “豊漁”を喜べない理由

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  • 北海道北東沖の海水温が例年より2度から3度低く、水揚げ量は2.4倍
  • サイズも1.3倍で、水揚げサンマの80%が商品に!
  • 中国・台湾のサンマ漁獲量は、日本の2倍?!

海水温の低下が豊漁をもたらす

8月28日 根室市のサンマ漁

今年、北海道北東沖の海水温が、例年より2度から3度ほど低下している。今年の初夏、北西太平洋海域の海水温を上昇させていたラニーニャ現象が終息した影響である。
海水温の低下が、サンマの豊漁をもたらしている。

サンマは、北太平洋のハワイの北西沖と同経度帯の公海から日本列島付近まで適温海域を求め回遊している。サンマが回遊する海水温の適温は、摂氏12度ほどである。今年は、好漁場であるロシアの排他的経済水域、東経154度付近の海域の海水温が低く、例年より早くサンマの群れが姿を現したのだ。

さんま船団の一大拠点港である北海道東部にある花咲港(根室市)は、8月28日、今季、最高となる一日で1342トンの水揚げがあり、浜は久々の賑わいとなった。29日、30日もほぼ同様の水揚げがあり、北海道東部における8月のサンマの水揚げは、前年比、2.4倍にまで増加している。

サイズも1.3倍

今年のサンマは、水揚げ量が多いだけではなく、昨年と比べて1.3倍ほどサイズが大きい。小型魚が少ないため、水揚げしたサンマが商品として流通する割合が、昨年50%ほどだったのに対し今年は80%ほどになり、漁業関係者は喜びに堪えない。そして、その効果は、消費者にも恩恵を与えている。産地の北海道では、季節を先取りした新鮮なサンマが、一匹100円支払えば、食卓に上るようになっているのだ。

北極海の氷が溶けると・・・

サンマは、近年、不漁が続いていた。
かつて40万トンほどあった水揚げが、昨年は約8万トンにまで減少した。しかし、今年はその水揚げ量が回復する兆候がある。

国立研究開発法人水産研究・教育機構の調査によると、北西太平洋における今年のサンマの分布量は推定で205万トン、昨年の86万トンの2倍以上の分布量である。200万トンの分布量予測が出た2010、11、14年の水揚げ量は、いずれも20万トンを超えている。

科学的にみても今年は、サンマの豊漁が期待できるのだ。また、昨年に比べて大型のサンマの割合が多い。その要因のひとつとして、4年ほど前に、北極海の氷の解ける量が少なくサンマの餌となるプランクトンの量が減少し、サンマが小型化していたが、今年は、餌のプランクトンを沢山食べたサンマが成長し、一気に日本を目指しているのである。

サンマが日本沿岸を避ける?

ただし、これからが問題である。北海道の北東海域の海水温は低いが、北海道南部から三陸沖の沿岸に近づくと水温は高いままなのだ。このままだと、サンマは日本沿岸に寄らず公海上を南下してしまう可能性がある。そうなると、日本の排他的経済水域のすぐ外側の公海上に出漁している台湾、中国の大型漁船により、サンマが獲り尽くされてしまうことになりかねないのだ。

近年、台湾と中国の漁船団は、日本漁獲量の2倍近く、サンマを獲っているのだ。一時的な豊漁、分布量の増加に惑わされず、国際的な漁獲規制のルールつくりを進め、持続的に美味しいサンマを食べ続けることができる社会が必要なのである。

ミサイル実験とサンマの関係

実は昨年、8月の末に、一日だけ水揚げ量が1000トンを越える豊漁の日があった。この日は、北朝鮮が弾道ミサイルの実験を行った日である。情報を察知したロシアは、ミサイルの落下する可能性のある北西太平洋に警備船や漁船を出航させていなかったので、取締りもなく、競争相手もいない日本の漁船が出来る限りサンマを獲り、持ち帰ったためだった。

サンマの漁獲量は、ロシアの警備状況など国際情勢にも影響されることもあるのだ。

(執筆:海洋経済学者 山田吉彦)

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