批判すれども“対案”がバラバラ!安倍一強を崩せぬ「野党の事情」~担当記者が斬る!

カテゴリ:国内

  • 野党各党の政策に透ける「大人の事情」 
  • 支持団体が大事?重要法案に“バラバラ”対案 
  • 参院選改革「自民の党利党略」批判した野党側の案は… 

法案対応から見える野党各党「大人の事情」

この国会で安倍政権を追い込み切れなかった野党。その原因として国会対応をめぐる足並みの乱れが指摘されるが、政策面にもその一因は潜んでいる。分析してみると、各党それぞれが抱える、いわば「大人の事情」が垣間見えた。

「働き方改革」「原発ゼロ」支持団体への配慮も

通常国会では、政府与党が提出した法案のいくつかについて、野党側も「対案」を提出した。また、独自に作成した法案を提出し、政府・与党に対応を迫る場面もあった。これらの法案は、いずれかの党が単独で提出したものは少なく、他の野党に協力を呼びかけ、共同で提出する形をとっているものが多い。

旧民進党から派生した立憲民主党と国民民主党(※国民民主党は、5月の結党以前は希望の党と民進党の2党)を軸に、それぞれの法案の提出者を整理してみた。

森友・加計学園問題をめぐり行政機関の公文書管理を見直す法案や、東京・目黒区での女児虐待死事件を受けての虐待防止策強化を盛り込んだ法案では、両党の協力関係が築けているのがわかる。

一方で、与野党が激しく対立した注目の法案では、足並みの乱れが目立つ。

安倍政権が最重要法案と位置づけた「働き方改革関連法案」が典型例だ。この法案では、立憲民主党と現在の国民民主党(当時の希望の党・民進党)で対案を一本化できず、それぞれが別の法案を提出する事態となった。両案の内容の違いとしては、「時間外労働の上限規制」や「終業から翌日の始業までの間隔」を一定時間以上あける「インターバル規制」などで、立憲案の方が厳しいものとなっていた。

政府案に反対という立場では一致しながら、対案の中身で「溝」を埋められなかった要因には、それぞれの支持基盤という「大人の事情」がある。労働組合からの支持を重んじる国民民主党議員が、立憲案を「理念は同じだが現実性に欠ける案」とするのに対し、市民団体との連携も重視する立憲側は「政府案との違いを明確にすべきだ」という立場だった。

同じような対立は、立憲民主党が提出した「原発ゼロ基本法案」でも生じた。「運転中の原子力発電所の速やかな停止」を明記し、共産党などと共同提出したこの法案に、当時の希望の党・民進党は加わらず、幹部からは「イデオロギー的だ」との批判の声が聞かれた。これに対し立憲側は「批判は電力系の労働組合の支持欲しさによるものだ」と反発した。

連合・神津会長と立憲民主党・枝野代表

参院選改革「自民党の党利党略」批判の一方で…

野党側が”四分五裂“したのは、自民党が延長国会で提案した参院選制度改革法案への対案だ。比例代表を増やし「特定枠」を新設する自民党案が、選挙区の「合区」によって立候補できなくなった現職議員を救済する目的が色濃く、野党側からは「自民党の党利党略」との批判が相次いだ。

しかし野党各党の示した対案の中身を見ると、野党各党それぞれの思惑も浮かび上がる。

共産や維新などの少数政党は、1人区を廃止し、大選挙区制や比例代表制に移行する案を提示した。大選挙区や比例代表は小政党への議席配分が増える制度であることは明らかだ。

また、立憲民主党は、5月に誕生した“新”希望の党の案に賛同し共同提出した。この案では、埼玉選挙区で定数を増やす点は自民党案と共通する。しかし、新たに石川と福井を合区することで、全体の定数増を回避している。埼玉は自民・公明・野党が激しく争ってきた選挙区で、一方、定数の減る形となる石川や福井は自民党が強い選挙区であることを考えると、野党に有利な案であることは明白だ。

野党案も党利党略と無縁ではないことが見えてくる。

求められる野党間の政策対話

野党側が政府・与党の案を批判するのであれば、責任ある政党として“対案”を示すことが求められる。しかし、対案がいくつもあるようでは、国民にとって非常にわかりにくいと言わざるを得ない。

長年にわたり与党の座につく自民党は、経済界をはじめ、様々な層に支持を広げて多数派を形成している。その源泉の一つは、考え方に違いがありながらも所属議員が、党内議論を通じて政策を集約する“信頼感”にある。また、公明党との与党間協議を行い、政策課題についてすり合わせているのも、”バラバラ”な印象の野党とは対照的だ。

野党が、政権を担いうる勢力となるためには、重要政策については考えを1つにまとめあげることが不可欠だ。そうでなければ、選挙協力をしたところで「野合」との批判を浴びることになるだろう。

野党内の一部からは、来年7月に迫る参院選での協力を念頭に、野党間の政策対話を求める声があがっている。「安倍政権打倒」「政権交代」を訴えるのであれば、支持団体の違いも乗り越えて、議論を徹底し、政策をある程度一致させなければならない。立憲・国民両党に残された政策を磨き上げ、擦り合わせる時間は、もう1年を切っている。

(フジテレビ政治部・野党キャップ 古屋宗弥)

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