12歳で結婚・妊娠 年間16000人もの赤ちゃんが生まれるロヒンギャ難民の性教育【山中章子アナウンサー】

カテゴリ:ワールド

  • 性的暴行を受けた女の子などのための施設を取材
  • 他の女性が性被害にあわないように自分の経験を話すことで自分を誇りに
  • 難民キャンプ生まれの赤ちゃんはこの1年で16000人以上

今年のFNSチャリティキャンペーンは、緊急支援としてバングラデシュにあるロヒンギャの難民キャンプを取材した。

これまでの取材報告はこちらから
【第一弾】ロヒンギャ難民を受け入れるバングラデシュ国民の“懐の深さ”と現実
【第二弾】難民キャンプではスマホで薪を管理!? 砂嵐の中に生きる70万人のロヒンギャの実態
【第三弾】「子供が象に殺された」キャンプにたどり着いても安心できないロヒンギャ
【第四弾】ミャンマー軍に両親を殺された! 少女が吐露したロヒンギャの現実 
【第五弾】番号と写真で管理され、子どもを隠したロヒンギャの人々 
【第六弾】自らを「埃のような小さな人間」というロヒンギャの心遣いに、私たちは涙した

今回は、ロヒンギャの子どもたちが受けている教育について報告する。

現在ロヒンギャキャンプ内には、子どもたちのためにユニセフが運営している非公式の教育施設が3つある。
1:思春期の女の子たちのためのセンター
2:チャイルドフレンドリースペース
3:ラーニングセンター

性的暴行を受けた女性のための施設

思春期の少女たちのためのセンター

今回は思春期の女の子たちのためのセンター(Adolescents Group)について。

このセンターは、ミャンマー軍の兵士に性的暴行を受けた女性や、児童婚をした少女たちのための施設だ。ただ、そこは女性しか入れないという。取材陣はディレクターもカメラマンも音声さんも通訳さんもみな男性のため、私が一人で入ってカメラを回すことになった。
カメラの扱いは慣れていないため、慌ててディレクターとカメラマンに簡単な操作を習う。通訳も兼ねたユニセフの女性スタッフとともにテントの中に入ると、30人ほどの女性たちが地面に敷かれたシートの上に座っていた。みなスカーフで顔を覆い、目元しか出ていない女性も多い。バングラデシュ人のスタッフが、その中の一人の女の子のインタビューを許可してくれた。

インタビューに答えてくれた16歳の少女

彼女は16歳。去年8月の終わりにミャンマー軍から攻撃があり、彼女も逃げようとしたが捕まってしまい、軍の施設で1時間半ほどレイプされたという。それは性的なものだけでなく、傷を負うような激しい暴行もあったそうで、彼女は気を失ってしまった。その後、道端に倒れていたところを、彼女の父親と兄弟が見つけて保護し、母親が病院に連れていったそうだ。なんとか命だけは助かったが、怪我がひどく、5日間治療を受けたという。ただこのことがきっかけとなり、もうここにはいられないと、家族と一緒にバングラデシュに逃げてきたそうだ。

実はこの出来事の4~5ヶ月前に彼女は婚約したのだが、この性的暴行が原因で破談になってしまったという。その際、新郎側からもらっていたお金も返したそうだ。

ロヒンギャの女性はだいたい16歳くらいで結婚するというが、彼女は性的暴行のショックはもちろんのこと、結婚できなかったことにもショックを受けているようだった。

彼女は片膝をついた状態でずっと下を向いている。時折、手で自分の足元やスカートをいじるくらいで、私と目があうことはほとんどなかった。インタビュー中、彼女の母親がずっとつきっきりで、本人が小さい声で話すことを母親が代弁して我々に教えてくれた。女性しかいない空間とは言え、思い出したくもないことを口にするには、相当の勇気が必要だっただろう。

性被害に遭わないための性教育も

写真左の女性は、インタビューに答えてくれた少女(右)の母親

ここは性的暴行を受けた被害者への心のケアだけでなく、被害にあわないように年頃の女の子たちや、その母親を集めて、性に関する知識を学んだり、自分を高める啓蒙活動をする場でもあるという。さらに被害者自身が、女の子たちや、その親たちへ、性被害に遭わないように注意喚起をする場でもあるという。

私のインタビューに答えてくれた彼女も、最初は頑なに心を閉ざしていたが、少しずつ言葉を発することができるようになり、この施設に来た女の子たちとも話せるようになっていったと、スタッフは言う。自分の経験を話すことで、苦しい過去を思い出して泣いてしまうこともあるが、それも閉ざされた心が和らいで来ている証しだと、教えてくれた。

今では彼女は、女の子がいる家々を回って、性被害に遭わないように、また万が一、性被害に遭ったらどうしたらいいのか、自分の経験を話しているという。そしてその活動を通して自分を誇らしく思えるようになったと彼女は話していた。性的暴行を受けた心の傷はそう簡単には消えないだろうが、自分と同じ目に遭わせたくないという信念が、彼女に前に進む勇気を与えているようにも見えた。

12歳で結婚することの意味

12歳で結婚させられた少女

次に紹介されたのは、難民キャンプに来てから児童婚をした女の子。幼さの残る彼女はまだ12歳だが、既に妊娠3ヶ月だという。

7人姉妹の長女だった彼女は、家によく遊びに来ていた16歳のいとこと結婚させられたという。親としては、娘しかいないから男の子が欲しかったという思いと、結婚させて彼女を家から出すことで、貧しい暮らしから少しは抜け出せるだろうと期待して、結婚させたそうだ。

12歳の彼女は、結婚の意味もわかっていない。色々質問をしてみたが、妊娠した今も、自分の置かれている状況をどこか他人事のように感じているように見えてしまった。夫となったいとこからは大事に扱われているようで、それだけが救いだ。彼女はまだ12歳の子どもなので、家事などはうまくできない。さらに妊娠もしてしまったため、より一層家事ができないということで、今は実家に帰って来ているという。

児童婚の問題は何もロヒンギャだけの問題ではないが、なんとも言えない気持ちになってしまった。

キャンプでは去年の8月以降、16000人以上のロヒンギャの赤ちゃんが生まれている。その中には、性的暴行の結果、生まれた赤ちゃんもいる。生まれてきた子どもたちには何の罪もない。子どもたちの未来をより良いものにするために、まずは出生登録、そして産前産後の女性のケアなど、女性や子どもたちが必要とする支援をきちんと届けなければならない。

(取材:フジテレビ アナウンサー 山中章子)

とくダネ!の他の記事