テレビや映画などで幅広く活躍した女優の朝丘雪路さんが4月27日、82歳で亡くなっていたことがわかった。

女優以外でもマルチな才能を発揮してきた朝丘さんだが、亡くなるまでの4年間は認知症との闘いの日々を送っていたという。

芸能界きっての“おしどり夫婦”

1955年に宝塚歌劇団を退団し、女優としてデビューした朝丘さん。

歌手やバラエティ番組にも進出するなど多方面で活躍し、中でも多くの人々の記憶に残っていたのは“おしどり夫婦”という印象だった。

1973年に俳優の津川雅彦さんと結婚し、翌年には待望の女の子が誕生する。

しかし、5か月後に赤ちゃんが誘拐されるという事件が発生。幸いにして犯人は逮捕され、赤ちゃんは翌日、2人のもとに帰ってきた。

その後も、たびたび夫婦そろって番組に出演し、おしどり夫婦ぶりを披露していた。

娘の真由子さんも含めて親子3人が出席した会見では、「ママとパパはケンカというよりジャレている。ママの方がパパに甘えている。時たまパパもママに甘えている」など、娘からも夫婦仲が明かされていた。

3人は映画やドラマ、舞台など“俳優一家”としてそれぞれ活躍するが、2014年に家族全員で舞台に出演すると、朝丘さんはこの年から芸能活動を休止。

実は、このときアルツハイマー型認知症のため、自宅で療養に専念していたという。

 
 
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認知症療養から4年…医師「すこし早い」

朝丘さんが患ったアルツハイマー型認知症について、都立大石森脳神経外科・石森久嗣医師によると、「脳の細胞が死滅していくと、どんどん脳が委縮していきます。委縮していくと、さっきしていたことや言ったことがわからなくなり、家族の顔も、家族もわからなくなってしまう」という。

また、療養を始めて4年で旅立った朝丘さんについて石森医師は「ずっと家にこもった状態になってどんどん衰退していき、他の合併症で亡くなってしまうことは多い。4年というとすこし早い。
仕事が終わってしまいパタッと環境が変わってしまうと、一気に認知機能が下がる方もいらっしゃいます」と話した。

 
 

夫の津川さんは5月20日会見を行い、妻の朝丘さんについて「あらゆることを含めて感謝ですね。娘を産んでくれたことも含めて、僕より先に死んでくれたことも含めてもう感謝だらけです。僕がね、先に死んで彼女を残すよりはいい結果になりましたね」と最愛の妻への想いを語った。

津川さんは朝丘さんの認知症についてあまり具体的に語らず、最期まで“女優・朝丘雪路”のイメージを損なわないように配慮したような会見だった。

葬儀は近親者だけで執り行われ、後日「お別れの会」が開かれる予定だという。
 

(「めざましテレビ」5月21日放送分より)