選挙特番にワクワクしなかった

この参院選、まったく盛り上がらんな、と思っていたら案の定、投票率は24年ぶりに50%を割り込んだ。

当日の選挙特番を観ていたのだが、ワクワクしなかった。15年ほど前、僕が議席予測の責任者の頃は、予測議席数をめぐって、今後の政局はどうなる、と番組内で延々議論したものだが、今回は議席予測の画面はすぐに消えてしまい、進次郎は将来首相になるか、とか、菅さんは若い女性に人気とか、選挙には直接関係ないVTRを延々と流していた。他局も似たようなものであった。

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これはテレビ局が悪いわけではない。選挙の結果でこの先の政局がどうなるか、もう皆大体わかっているので、そんなことをああでもない、こうでもないと議論しても視聴者は観てくれない。

「アベ政治」以上に野党に絶望

有権者も事前のメディアの予測で出た「自公がそこそこ勝つ、ただし改憲2/3は微妙」という結果に満足し、投票に行かなかった人が多かったのではないか。

アベ政治はけしからんと思っている人はいるが、それ以上に今の野党に絶望している人はたくさんいる。

昔(55年体制)の政治はつまらなかった。自民一強で、野党第一党の社会党が政権を取る気がなかったからだ。結末がわかっている推理小説を読む人はいない。

それが今から25年前に小選挙区制が導入され、2大政党による政権交代が可能になり、政治は面白くなった。いや、この25年間は面白かったが、2大政党制が崩壊した今、政治は再びつまらなくなってしまったのだ。

有権者はつまらない政治に飽きている

だから山本太郎さんやNHKから国民を守る党が予想外の得票をしたことは決して不思議ではない。つまらない政治に飽きている有権者には彼らの過激な主張が面白かった。

政治をこういう体たらくにしてしまった一番の責任は分裂した旧民主党にある。ただ野党の批判をかわすためにバラマキなど実は社会民主主義的な政策を取っている安倍政権にも責任の一端はある。

彼らが態度を改めない限り政治は今後さらに混乱していくことになるだろう。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】
【4コマ漫画:横川寛人】

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平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。