石川県金沢市に本社を構えるクラモト氷業。2023年で創業100年を迎える会社は様々な挑戦を続け、「ニンジャアイス」としてアメリカでもヒットを飛ばした。そんな老舗氷店が取り組むチャレンジの舞台裏に迫った。

米驚愕のニンジャアイス

氷が入ったグラスに水を注ぐと…氷の姿は見えなくなった。この現象が起きる秘密は、氷が持つ透明度の高さにある。

この記事の画像(8枚)

この氷は海を越え、アメリカで付いた呼び名は「ニンジャアイス」。生みの親はクラモト氷業5代目、蔵本和彦専務だ。「形状の種類は10種類ぐらいで、サイズなども入れると40種類ぐらい。今も増え続けている」と話す。

蔵本和彦専務
蔵本和彦専務

現在、社員は20人。配送を担当するのは3人だが、時には社長もハンドルを握る。蔵本顕彦社長は「得意なことを得意な人がやればいいと思っているから」と意に介さない。この日の配送先は石川県立野球場で、飲み物や体を冷やすために氷を使うそうだ。

蔵本顕彦社長
蔵本顕彦社長

極限の透明度を生む秘密

大正12年、1923年に創業したクラモト氷業。氷を作るために用いるのは氷缶製法と呼ばれる方法だ。マイナス10℃前後に保たれた液体に水を入れた容器を浸す。すると容器内で純粋な水だけが凍り、不純物のミネラルをたっぷり含んだ水が凍らずに残る。

この工程によって、不純物を含まない氷ができ上がるのだ。丸2日かけて凍らせた透明な氷の塊から、スティックタイプから丸氷まで全ての商品が作られる。

蔵本専務によると、氷を削る機械は「世界に3台しかなくて、高級車1台買えるぐらいの値段」だそうだ。クラモト氷業は高い技術力を買われ、2018年からはアメリカへ氷を輸出している。今やロサンゼルスやラスベガスなど約270軒に氷を卸す“世界のクラモト”だ。「僕の夢でしたから。引退するまでに海外に持っていこうと。金沢でいつもウチの氷を使ってくれている人が誇りに思ってくれるきっかけにもなる」と蔵本専務はやりがいを感じている。

多くの玄人が認める氷

「ここの氷は本当にオススメ。普通にうまい」と紹介するのは、お酒の動画が人気のYouTuber、ちゃんぽんちからさん。YouTubeでクラモト氷業の氷を紹介すると、商品が爆発的にヒット。京都で開かれたちゃんぽんちからさんのイベントでは蔵本専務が招かれ、会社名が紹介されると「おぉー!」と会場から声が上がり、大盛り上がりだった。来場者に話を聞くと「あのアイス使ったらね、他の使えない」「いつものウイスキーやハイボールがすっごくおいしくなる」などと酒好きの間でも大好評だった。YouTuberのちゃんぽんちからさんも「普通にめっちゃバリうまやなと思って。見た目・味・形、最後は…専務の顔ですね」と評する。またバーテンダーの一人は「全国で使うべき、というぐらいの氷」と絶賛した。

YouTuber ちゃんぽんちからさん
YouTuber ちゃんぽんちからさん

蔵本専務は研究を欠かさない。県外に出たときに、食べるようにしているのがかき氷だ。「どうやって作ってるんだろうかと。かき氷のことも知ってないと、お客さんに説明できないから。新しくかき氷を始めたい人とか、その辺の相談を受けられるのもウチの強み」。2023年10月には新たなサービス、氷のサブスクを始めるクラモト氷業。国の内外から高い評価を受けるようになっても常に進化をし続けるのがクラモトのモットーだ。

(石川テレビ)

石川テレビ
石川テレビ

石川の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。