13日、政府は過去に税金を滞納していた問題で、神田財務副大臣の辞任を閣議で決定した。岸田内閣の支持率が最低を記録したことにより、与党議員の1人は「このまま続けさせれば支持率はもっと下がり、政権が持たないと判断した」と分析している。

辞任は事実上の更迭

これは、岸田首相による事実上の更迭となる。

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神田副大臣は、固定資産税を4回にわたり滞納し、差し押さえを受けたことを認めて謝罪したが、野党側は辞任を求め追及を強めていた。

神田副大臣は先週まで辞任を否定していたが、国会審議に影響が出ることから、13日辞表を提出した。

政府は午後、持ち回りの閣議を開いて、辞表を受理した。

岸田首相が9月に内閣改造を行って以降、副大臣や政務官の辞任は、山田太郎文部科学政務官、柿沢未途法務副大臣に続いて3人目で、岸田政権にとって大きな痛手となる。

後任には、自民党の赤澤亮正衆議院議員の人事が固まった。

辞任した神田財務副大臣は次のように述べた。

「私の問題でこれから先、国会の審議に影響を及ぼすことは避けたい。大事な大事な国会にご迷惑おかけすることは避けたい。きょう副大臣の職を辞することで鈴木大臣に辞表を提出した」

世論調査で岸田内閣支持率が急落

このニュースについて、国会記者会館にいる政治部の木村祐太与党キャップがお伝えする。

先週の段階では辞任を否定していたが、週が明けて、なぜ急転直下の辞任となったのだろうか。

政権幹部らの話を聞くと、当初、岸田首相は辞めさせるつもりはなかった。しかし、それがひっくり返る理由となった一つが、13日発表された世論調査での衝撃的な数字だ。

FNNの世論調査では、岸田内閣の支持率が7.8ポイント下落の27.8%となり、最低を記録するとともに「危険水域」とも言われる20%台に初めて落ち込んだ。

この数字を見たある大臣経験者は「がく然とした」と嘆いていたが、この数字の背景にあるのが、先週、神田副大臣が辞任せず、国会の委員会で野党の追及を受け続けたことだ。

与党議員の1人は「このまま続けさせれば支持率はもっと下がり、政権が持たないと判断したんだろう」と分析している。

また、辞任を求めていた野党が13日になって一段と攻勢を強め、辞任させない場合、岸田政権が打ち出している経済対策の裏付けとなる補正予算案の審議ができなくなる恐れも出ていて、追い込まれていく中、一転、辞任の判断に至った。

これによる政権への影響へのダメージは、副大臣などの辞任が3人目、ということでかなり深刻だ。

さらに、財務副大臣に税金の問題が発覚し、自民党の若手中堅を中心に「岸田総理が『適材適所だ』と言って任命した人材がことごとく適材適所ではなくてあきれる」といった声が聞かれ、求心力の低下は避けられない見通しだ。

後任の赤澤亮正議員は、今は非主流派となっている石破茂元幹事長の側近だ。

岸田首相はこれまで主要派閥の意向を聞いて人事を行い、党内に不満が溜まっていたこともあり、知名度の高い石破氏側近を起用することで、ガス抜きをしたともいえ、今後は強気の政権運営を行うことが難しくなる可能性もある。

改めて、神田副大臣の辞任までの経緯を見ていく。

神田氏は自身が代表取締役を務める会社の土地や建物が、税金の滞納により、2013年~2022年にかけて4回差し押さえを受けたと週刊誌に報じられていた。

その後、国会で事実関係を認めて陳謝していた。

税理士資格を持っていること、そして、税金を徴収する立場の財務省の副大臣の不祥事に対して、野党側は辞任を求めて追及を強めていたほか、与党内からも“辞任やむなし”との声が上がっていた。
(「イット!」 11月13日放送より)

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