エレベーターには必ず、「定員○名」「積載○○kg」といった積載表示が書かれている。
その積載表示を超えるとどうなるのか? また、積載表示を超えた時、何キロまでエレベーターは耐えられるのか?
こうした疑問を解消する動画を、エレベーターの製造やメンテナンスを手がける「京都エレベータ」がYouTubeで公開し、非常に興味深い結果が示されている。
まず、前提として、積載表示を超えると、「荷重検出装置」が動作し、エレベーターは動かなくなる。
そのうえで、この動画では、安全に配慮した状態の1階でエレベーターにおもりを積んでいき、一体、何キロまでエレベーターが耐えられるのか、限界を超えた時にどうなるのか、検証している。
検証で使用するエレベーターは「定員9名」「積載600キロ」。つまり、600キロまでは安全に乗ることができるということだ。
![エレベーターの積載表示(提供:京都エレベータ)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/d/700mw/img_0d5a54f8de49cb46dc68dd09e920bfb584607.jpg)
まず、600キロのおもりを入れる。この時点で、撮影のカメラマンを入れると600キロを超えていて、「満員」の表示はされるが、特に変化はない。
![600キロのおもり(提供:京都エレベータ)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/d/b/700mw/img_db2f129caa658e0e220732a824785e6c73656.jpg)
その後は、20キロのおもりを1つずつ積み込んでいく。
![1個20キロのおもり(提供:京都エレベータ)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/4/a/700mw/img_4a2cc2270d20ee5b0c8079088d3bc228117573.jpg)
積載表示の倍となる「1200キロ」を超えても変化はないのだが、積載表示の3倍近くとなる「1720キロ」になったところで…
![1720キロのおもり(提供:京都エレベータ)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/4/c/700mw/img_4cad3eb110bcc23dc5743e1854aa5b6589605.jpg)
突然、エレベーターが下に落ちてしまったのだ。
![下に落ちたエレベーター(提供:京都エレベータ)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/f/700mw/img_ef1a73097f84595ec949e0249277b32392942.jpg)
下に落ちた理由を確認するため、機械室に設置していたカメラの映像を確認すると、ロープは切れておらず、エレベーターの床も抜けていない。
ロープだけが、エレベーターのカゴの重さに耐えられなくなり、動いてしまい、その結果、カゴが下に落ちたというのが今回の検証結果だとしている。
![ロープだけが重さに耐えられなくなった(提供:京都エレベータ)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/6/6/700mw/img_66dd7b1180d53190ce0dc5094ce574d0107617.jpg)
また、今回の検証結果を受け、以下のような見解も示している。
エレベーターのピットには緩衝器と言って、ズドーンと落ちても、その衝撃をやわらげるバネみたいなものがついています。
それがあることによって、強い衝撃を与えることなく、ズドンと落ちたことになります。これがもし、2階とか3階とかでやっていたら、大変なことになりますよね。
![エレベーターの緩衝器(提供:京都エレベータ)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/e/700mw/img_0ea3a17af80f617ee11084df84e9f64c99165.jpg)
2月24日公開したこの検証動画は話題となり、54万回以上の再生回数となっている(3月17日現在)。
非常に興味深い結果だが、そもそも、エレベーターに関する動画をYouTubeで公開している理由は何なのか? また、今回の検証結果を踏まえ、エレベーターを安全に利用するためには、どのようなことに気を付ければいいのか?
「京都エレベータ」の担当者に“安全に利用するための注意点”を聞いた。
検証のきっかけはTwitter
――YouTubeでエレベーターに関する動画を公開している理由は?
自社のプロモーションの一環としておこなっています。
YouTubeを始めた当初は「エレベーター」で、YouTubeを検索してみると、趣味でエレベーターの外観をあげている方か、メンテナンス会社の会社案内の動画がほとんどでした。
最初の方は、普段、お客様に説明しているような内容や、普段は見ることができないエレベーターの裏側といった映像をあげていたのですが、そのうち、普段より再生回数が伸びる動画があったり、見せ方を変えたりして、試行錯誤を繰り返しながら、今の形になっています。
去年、「エレベーターの隙間にカギを落とすとどうなるのか?」という動画がバズりました。エレベーターのメンテナンス会社からすると、普段、見慣れている光景なのですが、一般の方からすると、「隙間にものが落ちたら、どうなるんだろうか?」と思っている方が、かなりの数がいたんだと思って、驚きました。
この動画は、315万回以上、再生されているので、お客様との話のネタにも活用させていただいています。
![エレベーターの隙間にカギを落とすとどうなるのか?(提供:京都エレベータ)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/c/2/700mw/img_c25c2fb448b4a2b6419ff9f3fa95b28e114500.jpg)
――今回の検証を行った理由は?
動画のネタをどうしようか考えているときに、ツイッターで「エレベーターの重量がオーバーするとロープが切れるの?」「いや、底が抜けるのが先らしい」という話題を目にしました。
エレベーターのメンテナンス会社からすると、「どちらも違うだろう」という思いと、「実際に映像にしたら面白そう」という思いで、自社のテストタワーのエレベーターを使って、動画にしてみました。
――今回の検証結果、どのように受け止めている?
重量オーバーした後、どんどん、おもりを積んでいくと、ロープが切れるわけでもなく、床が抜けるでもなく、ブレーキが耐えられなくなるのが先だと想定していました。
結果は、シーブ(巻上機の滑車)にかかっているロープが滑るという結果になり、想定外の結果となりました。
安全に利用するための注意点
――積載量のおよそ3倍の重さまで耐えられるようにしている理由は?
エレベーターの基本設計というのは、「制動装置(ブレーキ)は定格の125%の積載負荷において、停止時にかごの位置を保持すること」とされています。
今回のエレベーターはカゴの積載重量が600キロなので、750キロは保持できる設計になります。3倍の荷重に耐える設計ではなく、結果的に「今回は3倍の荷重に耐えた」と考えていただいた方が、理解しやすいと思います。
――今回の検証結果を踏まえ、エレベーターを安全に利用するための注意点は?
普段、使っているビルやマンションのエレベーターで積載重量以上の重さをのせることはほとんどないと思うので、安心して使っていただければと思います。
ただ、フォークリフトでエレベーターに荷物を積み込むなど、特殊な環境の場合は、積載荷重をしっかりと確認していただき、事故のないようにしていただけたらと思います。
![積み込んだおもりを片付ける様子(提供:京都エレベータ)](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/6/d/700mw/img_6d672ab4950e5a2b4fd386c4c79f4a3280306.jpg)
京都エレベータは、この他にも「エレベーターの中で跳ぶとどうなるのか?」「エレベーターで地震が起きるとこうなります」など、エレベーターに関する興味深い動画を多数公開している。エレベーターをより安全に利用するためにも、こうした動画をチェックしてみてはいかがだろうか。