“第8波”は感染拡大が「ゆっくり」 

新型コロナの流行期「第7波」に比べて、「第8波」は、感染拡大のスピードが”ゆっくり”というのは関係者の共通した見解だ。日々、発表されるデータのうち、感染者数の「増加比」が、100%を下回ると「減少」、100%を上回ると「増加」を意味する。

”第8波’の増加比は、”第7波”と比べて「ゆっくり」としているという
”第8波’の増加比は、”第7波”と比べて「ゆっくり」としているという
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 増加比で見ると、第7波のピークは今年7月11日。この時は238・3%だった。これに対して、「第8波入り」が指摘されてから最も高い「増加比」は、157.9%(今月11日)にとどまっている。その後、数値は下がっていて、今月29日は120・7%だ。感染拡大のスピードの違いがはっきり分かる。

「ワクチン効果と(感染して)免疫を持っている人が一定程度いるからではないか」ある関係者は感染拡大が「ゆっくり」である理由をこう指摘している。都内では、ここ最近、1日8万~10万人がワクチンを接種し、オミクロン株対応ワクチンを接種した人の割合は、都内の全人口の2割を超えた。

増加比ピーク2週間後に 感染者数ピーク 

ところで、「増加比」ピークと、「感染者数」ピークは、時期に差があるとされている。第7波を例に挙げると、増加比ピークの7月11日から、およそ2週間後の7月28日に、感染者が最も多くなった(4万395人)。

第8波の感染動向については、関係者の間では、「まだ分からない」との声が大勢を占める。しかし「今のように少しずつ(感染者数は)上がり続ける」という意見の他に、「そんなに増えずにピークアウトするのではないか」などの楽観的な見方もある。

「アクティブな冬」は「ワクチンの接種率次第」 

しかし、関係者は口をそろえて、「(今後の感染動向は)ワクチンの接種率次第」と指摘する。

オミクロン株対応ワクチンの接種を始めてから、一時期、東京都の大規模接種会場でも、混雑が見られたものの、最近は、空いてきたという。ある関係者は「ワクチン接種が進まないと大変なことになる」と危機感をにじませる。 

今後の感染動向は「ワクチン接種率」がカギを握るという
今後の感染動向は「ワクチン接種率」がカギを握るという

経済が動いている中で、人の移動が大きく増える年末年始を迎える。 東京都は、「ワクチン接種と感染対策でアクティブな冬を!」と呼びかけているが、 「ゆっくり」感染拡大から減少傾向に転じるかどうかは、ワクチンの接種率がカギを握りそうだ。

(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美)

小川美那
小川美那

「お役に立てれば幸いです」 見てくださる皆さんが“ワクワク&ドキドキ”しながら納得できる情報をお伝えしたい! そのなかから、より楽しく生き残っていくための“実用的なタネ”をシェアできたら嬉しいなあ、と思いつつ日々取材にあたっています。
フジテレビ報道局社会部記者兼解説委員。記者歴20年。
拉致被害者横田めぐみさんの娘・キムヘギョンさんを北朝鮮でテレビ単独取材、小池都知事誕生から現在まで都政取材継続中、AIJ巨額年金消失事件取材、TPP=環太平洋経済連携協定を国内外で取材、国政・都政などの選挙取材、のほか、永田町・霞が関で与野党問わず政治・経済分野を幅広く取材。
政治経済番組のプログラムディレクターとして番組制作も。
内閣府、財務省、金融庁、総務省、経産省、資源エネルギー庁、農水省、首相官邸、国会、財界(経団連・経済同友会・日商・東商)担当を経て現在は都庁担当。