東京都が11月17日に警戒レベルを上げるなど、年末に向けて、新型コロナの第8波が訪れそうな気配を見せています。そんな中で出てきた新たな変異株が、「ケルベロス」。これまでより免疫をすり抜けるといい、このままいくと、12月には約8割が置き換わる予想も出ています。

第8波へ…東京都「コロナ警戒レベル」引き上げ

17日、全国の新規感染者数は9万3005人で、13日連続で前の週の同じ曜日を上回りました。
増加傾向が続く東京都では9755人の感染が確認され、都は17日、感染状況の警戒レベルを一段階引き上げました。

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第8波への警戒が高まる中、救急往診を行う医師は、現状についてこう語ります。

ファストドクター・菊池亮 医師:
第7波以降で少しずつ患者さんが増えてきている状態で、10月9日に34%だった陽性率が、直近では54%くらいまで増えてきています。

そして、これまではオミクロン株の「BA.5」系統が主流でしたが、今後はアメリカを中心に拡大している「BQ.1」系統の、通称「ケルベロス」と呼ばれる変異株に置き換わる可能性もあるといいます。

12月には約8割が変異株「ケルベロス」に置き換わりか

「XBB」通称「グリフォン」、「BQ1.1」通称「ケルベロス」、この2つの変異株が広がりを見せつつある中で開かれた、17日の東京都モニタリング会議。

10月の段階で「グリフォン」で76人(全体の0.7%)、「ケルベロス」で250人(全体の2.4%)の感染が確認されたといいます。
この2つの変異株はいずれも免疫から逃れる力が高く、感染力も高いというデータが国立感染症研究所から出ています。

11月9日のアドバイザリーボードの資料によると、11月1週目の段階では「ケルベロス」を含む「BQ1.1」系統は13%でした。しかしそれが、12月1週目には79%になるという推定値が発表されてたのです。

さらに17日のデータでは、「ケルベロス」が16%、「グリフォン」が30%と、グリフォンへの置き換わりが進んでいるといいます。

置き換わりの進行に違いがあるのは何か理由があるのでしょうか。昭和大学医学部の二木芳人客員教授に聞きました。

昭和大学医学部・二木芳人 客員教授:
XBB(グリフォン)の方はアジア中心に流行しています。BQ1.1(ケルベロス)はアメリカ・ヨーロッパを中心に流行しています。直近のデータを比較すると、どちらの方からたくさん持ち込まれているかで、少し差が出る可能性があります。
アメリカのデータを見てみると、非常にBQ1.1の方に置き換わりが早いんです。一番最近のデータではもう、アメリカではBQ1.とBQ1.1を足して6割くらい置き換わっています。
ですから、おそらくそれと同じようなことになるのではないかと予測をしていました。
ところが、最近になって少しXBBの方が増えてきているということですので、これからどういうふうに増えていくかはしっかり見ておかなければいけません。

重症者率・死亡率は低下傾向 専門家“メリハリつけた感染対策を”

オミクロン株は死亡率・重症者率は低いのではないかとみられていましたが、第8波を迎える中でどうなっているのでしょうか。
11月9日のアドバイザリーボードによると、第5波は重症者率約7.3%、死亡率0.414%。第6波は重症者率約0.44%、死亡率0.143%。第7波は重症者率約0.16%、死亡率0.09%となっています。

では現在はどうなのか。11月11日~17日の1週間で計算すると、重症者率は約0.27%、死亡率は約0.02%となりました。

重症者率・死亡率は低下していますが、第8波は弱毒化が進んでいるのでしょうか。

昭和大学医学部・二木芳人 客員教授:
ウイルス自体も少しずつ弱くなっていることは事実だと思います。
しかし、それ以上に、皆さんしっかりワクチンを打っているということ、医療従事者がこの感染症に対してどういうふうに立ち向かっていけばいいかというノウハウを理解してきましたので、重症者率・死亡率が低下しているという部分も大変大きいと思います。

どのように第8波と向き合っていけば良いのでしょうか。

昭和大学医学部・二木芳人 客員教授:
非常に気楽に、低コストで誰もが飲めるという薬は、すぐにはできないと思います。
しばらくの間は、特にリスクの高い方はワクチンを続けて打っていただき、ワクチンを打ったからもう安心ということではなくて、ワクチンの免疫をかわすというのがウイルスの特性ですので、その上でメリハリをつけた感染対策というものを考えていくことが重要だと思います。

(めざまし8 11月18日放送)