現実(リアル)と仮想(バーチャル)が組み合う新しい買い物体験が始まる。
リアルタイムで会話しながら買い物
携帯画面に表れるバーチャル空間で再現された渋谷センター街。
別のスマートフォンで実際のセンター街をのぞいてみると、先ほど、バーチャル空間に表示されていたアバターの姿が確認できる。

バーチャル空間の参加者とリアルの人が、同じ空間上でコミュニケーションを取れるのが、27日にKDDIが発表した「デジタルツイン渋谷」。
今回は、渋谷に実在するアパレルショップをバーチャル空間で再現。
来店客:
新しいマフラーを探しているのですが?
店員:
オフホワイト、ピンクグレー、カーキネイビーがございます

来店客は、実際に店舗にいる店員とリアルタイムで会話をしながら買い物ができ、商品の写真を確認しながら接客を受けることができる。
KDDIは今回の技術に加え、2020年から提供を開始した「バーチャル渋谷」を併用することで、それぞれで異なる体験を提供し、利用者や企業のニーズにより応えていきたい考えだ。
KDDI 事業創造本部 中馬和彦副本部長:
リアルの環境がデジタルに再現されて、お客様がバーチャルの方から訪れてもリアルと同じ体験ができる。ゆくゆくはバーチャル渋谷とデジタルツイン渋谷を融合させた本当の意味のメタバース渋谷、この両方を1つのワールドで実現します

デジタルツイン渋谷について今後は、飲食業や不動産業、家電量販店など、実店舗をを持つ様々な業種と実証実験を進めていき、来年夏ごろのサービス提供を予定している。
デジタル活用で「おもてなし」を強化
Live News αではマーケティングアナリストの渡辺広明さんに話を聞いた
小澤陽子キャスター:
リアルとバーチャルを組み合わせた新しい買い物体験、渡辺さんはどうご覧になりますか?
マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
リアルタイムの店舗を仮想空間として身近なスマホで再現する今回の取り組みによって、リアル店舗が従来の強みを活かしながら弱みをカバーすることが出来るようになると思います。例えば、リアル店舗の強みといえば、商品知識が豊富な店員による接客です。今回の試みでは、仮想空間の中でアバターの店員が接客するのではなく、リアル店舗で接客している店員が対応してくれるため、顧客は心地良いおもてなしを受けることが出来ます

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
さらに、リアル店舗をそのまま活用出来るため、デジタル上に仮想空間を構築したり店員のアバター対応やそのための接客技術を覚える必要もありません。店舗側はコストを抑えながら、現実と仮想の双方向コミュニケーションの環境を整えることが出来るメリットは大きいと思います
小澤キャスター:
ファッションの分野ではカリスマ店員とよばれるお店の人気スタッフとのコミュニケーションを楽しみながら買い物できるのは嬉しいですよね?
マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
今回の試みでは日本中どこからでもカリスマ店員による接客が可能になるなど、これまでリアル店舗の弱みとされていた商圏の狭さから解放されます。さらに、今回の取り組みを活用することで、店員のオススメの商品をメーカーの在庫から直接顧客に届けることも可能なため、品揃えの面でもネットに対抗できるようになると思います
小澤キャスター:
リアル店舗のデジタルを活用した新しい体験の広がりを期待したいですね?
マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
小売におけるデジタル活用では、ネット通販は価格を含めた効率化を図れるのに対して、リアル店舗のデジタル活用は、ヒトによる「おもてなし」などの付加価値を強化することが出来るんです。今後、技術も資本もあるKDDIがこの分野に力を入れることで、現実と仮想を組み合わせた双方向のコミュニケーションを個人経営のショップでも導入できるようになれば、買い物のカタチが大きく変わることになると思います。
小澤キャスター:
人間とアバターが同じ空間を共有するという、新しくて不思議な感覚に思えます。「この店員さんはこう寄り添ってサービスをしてくれた」という温かみがそのままあるので、ファンを作って、実際の来店機会にも繋がりそうです。今後、世界へとサービスが広がると日本のおもてなしをアピールするツールにもなりそうです。
(「Live News α」10月27日放送より)