今月8日に投開票される衆院選。
情勢調査では、有権者が最も重視する政策として「物価高対策などの経済対策」を挙げた人の割合が最も高くなった。家計を圧迫する物価高騰は、特に子育て世代の暮らしにどのような影響を及ぼしているのか。
沖縄に住む母親たちの率直な声から、総選挙の大きな争点である物価高対策の課題を考える。
レジで「えっ!」予想の1.5倍に…
「カゴを持って回って、これくらい入れたら、だいたいこれくらいの金額になるかなという感覚でレジに行くと、えっ!という…。予想していた感覚の1.5倍になる」
そう語るのは、本島中部に住む登川なおみさんだ。
彼女を含め、それぞれが仕事を持ちながら子育てに励む4人の母親たちは、子育て情報を発信するWebメディアを運営している。日々の暮らしにアンテナを張る彼女たちにとって、物価の高騰は切実な問題として家計にのしかかっている。
知念奈々さんは「そもそものベースの値段がどれも上がっているから、結局、質より量を選ばざるを得ない」と話す。
その言葉通り、食卓にも変化が表れている。
稲嶺綾子さんは「お米も、これまで5kgのものを買っていたのが、4kgとか、前の価格の感覚で量の少ないものを選ぶようになってきている」と明かす。「あまりにも物価高が続きすぎて、選ばざるを得ないという家庭も多いと思う」と多くの家庭が同様の状況にあると推測する。
体感として「倍とは言わないけど、1.5倍くらいには価格が上がっているのではないか」と知念さんが語るように、日々の買い物で負担増を実感している。

過去最高の物価指数、特に「穀類」が28.1%上昇
この体感は実際のデータにも裏付けられている。
食料品や日用品などの価格変動を示す沖縄県内の「消費者物価指数」は、新型コロナウイルスの影響が及び始めた2020年を100とすると上昇を続けている。
▼2022年 102.7
▼2023年 106.6
▼2024年 110.1
そして、2025年には114.1となった。
特に2025年は県が1975年に発表を始めて以来、消費者物価指数は過去最高を記録。なかでも生活に不可欠な「食料」は前年と比べて6.9%上昇した。
さらに、米やパン、麺類など主食となる「穀類」に至っては28.1%も上昇し、上げ幅も過去最高となっている。

「お金がないから諦めてとは言いたくない」将来への不安
家計を直撃する物価高は、目の前の暮らしだけでなく、子どもたちの将来にも影を落とす。
知念さんは「遅かれ早かれ進学の時期は来る。そのときに『お金がないから諦めて』と親としては言いたくはない」と教育費への不安を口にする。
登川さんも「今の状況を見ていると、自分の子どもが受験する時、多分もっと物価が上がっているだろうと想像して」と将来への懸念を深めている。
こうした不安を背景に、自ら行動を起こす人もいる。
登川さんは「払うお金は減らすのはもちろん、インカムをできるだけ増やせるように働き始めた。このままではいけないという感覚で働いている」と語る。彼女の周りでも、この1〜2年で同様に働き始める母親が増えた印象があるという。

求められるのは賃上げ「対症療法」では限界
国や自治体も重点支援地方交付金などを活用し、おこめ券の配布やプレミアム商品券の発行といった家計支援策を講じている。
しかし、母親たちは一時的な支援だけでは根本的な解決にはならないと感じている。
「結局、対症療法な感じがして。そういう支援金や給付金はありがたいが、それって結局根本が何なのかをさておきみたいな感じもして」と知念さんは指摘する。
彼女たちが最も重要だと訴えるのは、物価上昇に見合った賃金の底上げだ。
「収入が増えているんだったらこんなことにはなっていないはずだけど、給料はそのまま。だからみんなが疲弊している」と知念さんは言う。
昨年、最低賃金は引き上げられたものの、物価高騰に追いついていないのが実情だ。
「どうやったら、収入が上がるような仕組みになるのか。賃金問題が一番頑張ってほしい」
一人親世帯や共働きなど、様々な家庭環境の中で、母親たちは子どもたちのために日々の食事を整え、教育の機会をつないでいる。
給付なのか、減税なのか、それとも賃金そのものの底上げか。
暮らしを支え、将来への不安をどう減らしていくのか、有権者は政治が示す道筋を注視している。

