衆院選の投開票日が8日に迫る中、選挙情報を得る手段として、SNSやYouTubeの重要性が高まっています。
選挙ドットコム編集長の鈴木邦和さんが、今回の衆院選でどのような動画が視聴されているか解説しました。
選挙ドットコムの調査によると、公示からの6日間で衆院選関連の動画視聴回数は約9億8000万回に達していることが分かりました。この数字について鈴木編集長は「過去と比べても非常に多い」と話します。
■「第三者」の作成が8割だという“選挙動画”
【選挙ドットコム・鈴木編集長】「前回の衆院選では、選挙期間12日間での集計でだいたい2億7000万回ぐらい。今回は公示から数日で9億8000万回なので、すでに3倍、4倍の勢いになっている。トータルすると本当に10倍ぐらいの到達になってもおかしくない勢いです」
この膨大な視聴回数のうち、85.7%が政党や候補者の公式チャンネルではなく「第三者」によって作成された動画だという点です。政党公式チャンネルの割合はわずか9.8%、議員個人のチャンネルは4.5%にとどまっています。
政策研究大学院大学の安田洋祐教授は「自分が直接、政党や個人のチャンネルで発信するだけじゃなくて、第三者にどう切り取られるか、どういう形で拡散されるかを意識しながら発言をする政治家の方も増えている」と指摘します。
選挙ドットコムが再生数上位100本を分析し、政党や党首に分類した結果、最も多く視聴されていたのは『高市早苗』関連の動画でした。2位は『中道』、3位は『自民』、4位が『立憲』、5位が『れいわ』と続きます。
■『高市早苗』関連の動画では、ポジティブな内容の動画が約78%に
さらに、選挙ドットコムがそれらの動画の内容を「ポジティブ」「ネガティブ」「中立」に分類したところ、『高市早苗』関連の動画では、ポジティブな内容の動画が約78%を占め、ネガティブな内容は3%でした。(不明・中立は19%)
『ポジティブ』『ネガティブ』の動画はどのように判断したのか、鈴木編集長が解説します。
【選挙ドットコム・鈴木編集長】「動画のタイトルをAIに解読させて、例えば高市さんにとってポジティブかどうかを聞いている。ポジティブ・ネガティブ・中立というのはきれいに判定はできている」
例えば、『高市早苗』関連のポジティブ動画は、「高市さんの政策を評価する動画や高市さんの人柄が垣間見えて、それが支持につながるような動画」だと説明します。
■アルゴリズムの特徴も関係か
自民党関連の動画を見ると、ポジティブな動画が62%、ネガティブな動画が29%となっています。この数字について鈴木編集長は去年の参院選と比較し、驚きの変化があったと指摘します。
【選挙ドットコム・鈴木編集長】「去年の参院選は、ネガティブが66%、ポジティブが4%。それが今回は自民党に関しては62%がポジティブになって、大半がポジティブになっている。この要因はまさに高市さんの人気なんです」
鈴木編集長によると、「YouTube上で去年から高市さんは人気があった。高市さんが総理になったタイミングから、自民党のネガティブ動画がポジティブ動画に変わっていった」といいます。
【政策研究大学院大学 安田洋祐教授】「僕もSNS使っていて、高市さんに対するネガティブな投稿もそれなりに目にするんですね。動画サイトのほうが極端にポジティブ・ネガティブが分かれやすい傾向があるのかなって感じはするんですけど」
【選挙ドットコム・鈴木編集長】「それぞれの個人個人にどういう動画が表示されるかは、視聴履歴、属性によってアルゴリズムで決まっていく特徴があります」
■ポジティブな動画はわずか6%に留まった『中道改革連合』 “再生数稼ぎ”の背景は
一方、『中道改革連合』に関しては、ポジティブな動画はわずか6%にとどまり、ネガティブな動画が87%を占めるという極端な結果となりました。
なぜこのような偏りが生じるのでしょうか。鈴木編集長は「YouTube上で政治や選挙のコンテンツをよく見ている方々は、保守的な考え方の方が多い」と背景を説明します。
【選挙ドットコム・鈴木編集長】「高市さんを褒めたたえる動画は見に行きたくなるし、その反対の立場にいる中道改革連合を批判しているような動画も非常に好んで見る。
再生回数が稼げるので、中道改革連合のネガティブ動画が大量に投稿され、それが再生回数を稼げて、YouTubeがアルゴリズムによって多くの人におすすめしていく」
つまり、視聴者の反応を見ながら、再生回数を増やすために意図的に特定の内容の動画が作られるという構造があるのです。
■SNSが選挙に与える好影響も
一方で、SNSが選挙に与える好影響も指摘されました。鈴木編集長は「参院選では若い世代の投票率が30代以下でおおむね12%ぐらい上がった。これはSNSやYouTubeの影響が大きい」と評価します。
【政策研究大学院大学 安田洋祐教授】「若い世代が政治や選挙に関心を持ち始めているかもしれない。今までは人口も少なくて、シルバー民主主義の中、自分たちの存在感をある種、むなしく感じていた世代も多かったと思うが、ネット動画のような親しみやすい媒体で選挙について考えるきっかけが出てきた、ここは一定程度プラスの面もある」
鈴木編集長は最後に、「フェイク動画や著作権に違反しているような動画が選挙に情報として影響を与える状況は課題。これを踏まえて、今後ルール整備や法律の議論も含めて検討していくべき」と締めくくりました。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年2月3日放送)