節分といえば「鬼は外、福は内」と豆をまきながら厄除けをする日本の風習だが、福島県には独特の節分文化が根付いている。柳津町の新郎新婦に豆を投げる風習から、渡辺家が豆まきをしない理由まで、意外と知られていない福島の豆まき事情を紹介しよう。
驚き!新郎新婦に豆を投げる
福島県柳津町には、全国的にも珍しい節分の風習がある。2007年に記録された柳津町小巻地区の映像には、群衆が家の中に向かって勢いよく豆を投げている様子が映っている。
「え、家の中に鬼がいるの?」と思いきや、家の中にいたのは鬼ではなく、なんと新郎新婦。結婚式で新郎新婦に一升の豆を投げつける行事が、この地域に伝わっているのだ。新郎新婦は顔に当たらないよう扇子でカバーしながらも、この伝統行事を受け入れている。
「一升の豆」で「一生マメでいたい」と思わせる行事だという。実際に映像に映っていた新郎は、20年近く経った今でもマメだという。
「鬼は外」ではなく「鬼外」?
節分の豆まきと言えば「鬼は外、福は内」の掛け声が一般的だが、福島県二本松市では少し違う。
「鬼そと~、鬼そと~」と二回言った後に、「福は内」と三回唱える独特の掛け声がある。なぜ「鬼は外」ではなく「鬼外」なのか。その理由は歴史に隠されていた。
二本松の殿様は丹羽氏。「鬼は外」と言うと「丹羽(にわ)様、殿様出ていけー」と聞こえてしまうため、「鬼外」と間を空けずに言うようになったという。領主への配慮から生まれた風習が、現代まで受け継がれているのだ。
渡辺さんは豆まきをしない?
福島県には、節分に豆まきをしない家庭もある。特に「渡辺」または「渡部」という苗字の家庭では、豆まきをしない傾向があるという。
福島の「渡辺」「渡部」さん(どちらも同じルーツ)に「豆まきしますか」と聞いたところ、「しない」が66%に上った。全国的に見ても、福島県は「渡部」「渡辺」さんの人口が第1位。これには歴史的な背景がある。
渡辺綱(わたなべのつな)という平安時代の武将の一族の領地が、新潟県弥彦にあった。戦国時代の領地替えや江戸時代の新田開発により、渡部・渡辺一族の多くが福島県の会津地方に移り住んだという。
そして渡辺綱といえば、平安時代の有名な説話「酒呑童子」で鬼を退治した武将として知られている。つまり、「自分たちのルーツである渡辺綱よりも強い鬼はいない」という自負から、渡辺家・渡部家では豆まきをする必要がないと考えているのだ。
福島の地域に根付いた独特の節分風習。新郎新婦に豆を投げる柳津町の習慣や、殿への配慮から生まれた「鬼外」の掛け声、そして鬼退治の名門・渡辺家の誇りから来る豆まき不要説など、全国各地に伝わる多様な文化の一端を垣間見ることができる。
あなたの地域にも、独特の節分習慣はありませんか?
(福島テレビ)
