新潟県の燕三条ブランドをかたるSNS上の悪質な「偽広告」が問題となっている。広告では「焦げ付き知らずの一生モノ」とうたい、実在するメーカーの名や料理研究家の写真を無断使用しているほか、不自然な日本語や表記が散見される。自治体にも「注文した商品と違うものが届いた」などの問い合わせが寄せられており、注意を呼びかけている。

産地名を誤読する不自然な広告動画

“金物のまち”新潟・燕三条ブランドをかたったフライパンの「偽広告」に怒りの声があがっている。

新潟・燕三条で作られたという調理器具、実は「偽広告」のものだ。

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高品質なものづくりをしている燕三条ブランドの信用を損なう悪質で許されない行為だ。

この行為を受けて、地元の方たちが注意を呼びかけている。

取材班が向かったのは、雪に覆われた新潟・燕市だ。60年以上続く町工場で作られていたのが、フライパンや鍋などの調理器具だ。

昭和32年創業の老舗料理器具メーカー「株式会社フジノス」が今、SNSの「偽広告」に困惑している。

株式会社フジノス 営業部・近藤歩さん:
私どもで製造しているものとは似ても似つかないものが映像で流れていて、お客さまに慌てて注意喚起した次第です。

日本が世界に誇る金物の町として知られる新潟県の燕三条地区だが、今、SNSで問題化する「偽広告」の新たなターゲットにされていた。

偽広告:
私たちは“カネモノ”の町・ “ひささんじょう”で60年に渡りドイツのトップキッチンウェアブランドのOEMを手がけてきた100年の歴史を持つ工房です。

日本語が不自然なこの広告動画、うたい文句は「焦げ付き知らずの一生モノのフライパン」だ。

偽広告:
これはあなたにとって一生モノになるフライパンです。朝の焼き餃子や目玉焼き、お昼の照り焼きチキンや焼きそばも焦げ付き知らず。味にうるさい夫も料理教室に通ったのかと勘違いするほどです。

広告動画には「MADE IN 燕三条」と表示され、通販ページを見ると製造元として「フジノスの鍋・フライパン」と記載されていた。

あたかもフジノスが作ったフライパンのように見えるが、本物のフジノスの担当者は、きっぱりと否定した。

株式会社フジノス 営業部・近藤歩さん:
明らかにうちの製品ではないということが、やはり動画から見て取れる。これは非常に腹立たしいですね。

日本が誇るフライパンの産地・燕三条ブランドをかたった、悪質な偽広告だが、広告動画を見ると、肝心の産地名が一度も正確に言えていない。

偽広告:
新潟県 “ヒレ三条”からの限定傑作!“カネモノ”の聖地 “エン三条”の職人が手がけた。30年の経験を持つ “ヒラ三条”の熟練職人が…。

さらに調理器具のフライパンに「医療用」との表示や「医師も推薦」とのうたい文句など、数々の不可解な点もある。

株式会社フジノス 営業部・近藤歩さん:
フォントが…。「涙」も日本語の常用漢字ではない感じがしますし…。

取材班:
ハニカム加工は?

株式会社フジノス 営業部・近藤歩さん:
ハニカム加工のハの字もない。

偽広告では鍋が焦げ付かないよう加工されていると書かれているが、実際にフジノスで作っているフライパンはピカピカの鏡面仕上げで、似ても似つかない作りだ。

一方で、広告ではこんな泣き落としもしていた。

偽広告:
出口が見えなくなってしまいました。どうか私たちを助けてください。

フライパンを納入予定だった高級ホテルが経営破綻し、開業予定が白紙に…。倉庫で行き場を失ったフライパンを手にした男性が「格安で買ってほしい」と懇願する広告だ。

偽広告:
このままでは職人たちが魂を込めた日本の最高傑作が廃棄されてしまいます。

しかし、この男性たちについて本物の「フジノス」は「見たこともない人だ」としている。

広告では「2点まとめ買いで8390円」と安さと高性能をうたっていて、SNSでは「買ってしまった」という投稿も見られた。

実際に届いたものを使った人は「広告を見て買ったフライパン、1回使っただけなのにすごく焦げた。広告とは全く別物でした」と投稿している。

料理研究家の写真を無断悪用

燕三条では2026年に入り、問い合わせが殺到した。風評被害に繋がりかねないと問題視していた。

燕三条地場産業振興センター 営業推進部・石本貴昭部長:
(問い合わせは)多いときは1日20件前後。怖いのが風評被害。「燕三条の」と言って詐欺かなと思われたらたまったもんじゃない。

新潟・燕市や三条市にも「注文した商品と違うものが届いた」などの問い合わせが寄せられていて、各自治体ではHPに注意書きを掲載している。

地元住民:
ブランドが傷つきますよね、燕三条っていうね…。

さらに広告動画には、実在する男性の写真が勝手に使われていた。
偽広告のフライパンを使っている一流レストランの料理人などと紹介された男性を取材した。

取材班:
これは梅田さんですか?

夢クッキングスクール・梅田昌功校長:
私ですね。

偽広告に写真を使われた梅田さんは、大阪市にある料理教室の経営者だ。

フジノスの調理器具のアドバイザーを務めていたことから偽広告に悪用されたとみられ、寝耳に水の事態に憤っていた。

夢クッキングスクール・梅田昌功校長:
まさか私にそんなことがあるとは思わなかった。偽広告を見て参考にして買った方がいたら大変心外です。

家電やおもちゃ、調理器具など、偽広告は生活に身近な様々な商品をターゲットに次々と現れている。列島各地の名産品をうたう商品には、特に注意が必要だ。

犯罪ジャーナリスト・多田文明さん:
(ご当地の)ブランドはやはり信用性がある。偽サイトはその時の時事問題だけでなく、その時の有名な(ご当地)ブランド名をかたってくるので注意しなければいけない。
(「イット!」1月29日放送より)