国の分科会は、新型コロナウイルスの感染対策として、年末年始の休暇の延長や分散を求める提言をまとめた。

23日、北海道では51人、宮城県では20人が新型コロナウイルスに感染し、1日の新規感染者数ではともに過去最多となった。

沖縄県は46人で、1日の新規感染者数がおよそ2カ月ぶりに40人を超えた。
沖縄では22日、感染が確認された県議とともに、先島諸島を視察していた県議9人の感染が確認され、県は、この視察をクラスターと認定した。

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そのほか、大阪府では新たに100人、東京都では186人の感染を確認するなど、全国の新たな感染者は748人、死者は12人だった。

こうした中、開かれた政府の分科会。

現在の感染状況については。

分科会・尾身茂会長:
Q感染状況は微増という色が強くなってきたのでは
微増というきのうのアドバイザリーボードの評価。
これは、われわれもそう思う。
少なくとも減っているという感覚はもちろん県によってだが、特に都心部はいま下降状況ではない。
(東京・大阪などの)実効再生産数が、だいたい1前後で推移している

年末年始のの休暇に新たな提言

23日の分科会では、人出が増加する年末年始の過ごし方について、新たな提言が取りまとめられた。

分科会・尾身茂会長:
政府においては、民間企業とも連携し、小規模分散型旅行を推進するなど、
GoToキャンペーン各事業の運用の在り方も含め、年末年始の人の流れが分散するように努めてほしい

2021年1月3日は日曜日のため、4日を仕事始めとする企業が多いとみられる。
分科会は、政府に対し、11日の「成人の日」まで休暇期間を延長、その期間の中で、休暇を分散して取得する方法を企業に求めることなどを提言。

帰省や旅行、初詣などによる人出の増加を分散させる狙い。
また、年末年始に旅行や飲酒の機会が増えることをふまえ、会食時の感染リスクを下げる工夫を積極的に発信することを求めた。

この提言を受け、西村経済再生担当相は、経済3団体を通じて企業に呼びかけ、自治体にも同様の対応を求めると述べた。

働く人の本音は

年末年始の休暇の延長や分散について、働く人はどう受け止めているのか、街で聞いた。

保育士(20代):
Qお正月の密集を避けるための休暇延長は
これまで4日から仕事というふうにスケジュールを立ててきたので、急にそんなこと言われると予定がいろいろ狂ってしまう。
もう少し早めに言ってくれれば、いろいろ対処のしようもあったと思う

接客業(30代):
Q11日まで休みならいつ初詣に行く
1、2、3日に行きたい。
意味ないですよ。1、2、3日にみんな行きますよね

小売店(20代):
(正社員ではないので)休んで、その分給料が発生しないのが困るだけなので、給料が発生するのなら“休め”と言われれば休む

医療関係 経営者(40代):
年末年始も仕事して、医療関係なので絶対やっていなければいけない。
介護施設とかもやっているので、365日休みなしで向き合っていかないといけない

ミャンマー出身・貿易関係(20代):
事前に対策をしてからやるのがいいと思う。
(緊急事態宣言時)バイトをしていたので、(バイト先から)“あしたから休みです”、そういうふうに急に言われて、収入がなくなって困った。
たくさん困っている外国人がいる

金融関係(20代):
このコロナで動きも鈍くなっているので、そういう流れは、世間的にもこれから推進していくうえでいい。
迅速な対応は間違いなく必要だと思うが、令を出すことによって、どういったメリットがあるのかということを、急に言うならば、そういった形で示してほしい

働き方と休み方どう変えていく

内田嶺衣奈キャスター:
今回の提言について企業側はどう受け止めているのでしょうか。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
有給をそのまま拡大する。
例えばこういうことをやると考えると、会社によっては労使の協議も必要ですし、就労規定を見直す。
残り2カ月ですから、これやるとなるとかなりハードルが高いので、現実的には厳しい対応になるんじゃないかなというふうに思います。

内田嶺衣奈キャスター:
確かに急な対応は難しいのも職種によってもありますが、では企業側はこれからどうしていけばいいんでしょうか。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
私は休みの取り方を「一斉・一律」こういった考え方にはなかなか限界があると思う。
これからは「個別かつ柔軟」こういった形で発想を切り替えていく必要があるんじゃないかなというふうに思うのです。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
リモートワークはだいぶ定着してきました。
場所を選ばず働けるような流れができつつある。
ここをもっと推し進めて、最終的には自分が好きな場所で自由に休みがとれるような働き方をいかに実現できるかを官民挙げて考える。
こんな方向性が大事ではないかと思います。

内田嶺衣奈キャスター:
そうなると理想的ですが、具体的には働き方と休み方どう変えていくのがいいでしょうか。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
例えばリモートワークが可能のような職種に関しては、年末年始は基本全部リモートワークにする。
それによって早めに帰省をして、年末年始に関しては帰省先で仕事をしたり休んだりすることができるように配慮する。

デロイトトーマツグループCSO 松江英夫氏:
リモートワークができないような仕事に関してはローテーションですね。
この在り方を変えることによって、もう少し長く休めるような形にしていったり、もしくは不要不急の業務に関して年末年始会社は一切やめてしまう。
こういった格好で、休暇を取りやすくするような配慮をしていく。
このような手だてというのが、官民ともに必要だと思うのです。
一斉に移動するリスクを回避しながらも、ある種個別の事情に応じて柔軟に休みを取りやすくする。
このような方向性を追求する必要があるんじゃないかと思います。

内田嶺衣奈キャスター:
多くの人が休めるタイミングに忙しくなるという職種の方もいらっしゃると思いますし、やはり休み方は会社や業種によってそれぞれです。
ただ休みたい時に休みたいと会社に相談できる雰囲気作りがこれから進んでいくことを願います。

(「Live News α」 10月23日放送分)