冬の寒さが厳しい時期、入浴中の事故に注意が必要だ。厚生労働省によると、2023年に「ヒートショック」の影響で入浴中に亡くなった65歳以上の高齢者は6541人と、交通事故死者数2116人の約3倍にも上る。急激な温度変化で血圧が大きく変動するヒートショックは、高齢者に特にリスクが高いとされている。入浴中の事故について、救急専門医の解説と一般家庭でもできる効果的な対策を紹介する。

「ヒートショック」の危険性

岩手医科大学附属病院高度救命救急センターの吉直大佑救急専門医は「入浴前後の心筋梗塞や脳卒中の搬送は、やはり冬にはかなり増えている」と話す。

岩手医科大学附属病院・吉直大佑救急専門医
岩手医科大学附属病院・吉直大佑救急専門医
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ヒートショックとは「急激な温度変化で血圧が上下に大きく変動することによって、体に強い負担がかかって起きる現象の総称」だと吉直医師は説明する。

暖かい室内から寒い脱衣所や浴室に移動し服を脱ぐと、体温が下がって血管が縮まり血圧が一気に上昇する。

ヒートショックの原因
ヒートショックの原因

その後、お湯に入り体温が上がると血管が広がって血圧が低下する。
ヒートショックは、この急激な血圧の変動が、失神による溺死や心肺停止を引き起こす危険性がある。

介護施設の徹底した予防対策

盛岡市肴町の複合型介護施設ブライトステージでは、ヒートショック予防のため様々な対策を実施している。

脱衣所のカーテンを開けて浴室との温度差を減らす
脱衣所のカーテンを開けて浴室との温度差を減らす

同施設の通所介護管理者・木村勇介さんは、「通常時より湯張りの時間を1時間ほど早めて、脱衣場と浴室を蒸気で暖める対策を取っている。温風ヒーター等を置いて脱衣場の温度管理もしている」と説明する。

ブライトステージ通所介護管理者・木村勇介さん
ブライトステージ通所介護管理者・木村勇介さん

脱衣所に床暖房とヒーターを整備し、お湯を張ったら脱衣所のカーテンやドアを開けて浴室との温度差を減らす工夫をしている。

衣所に床暖房とヒーターを整備
衣所に床暖房とヒーターを整備

また入浴前には利用者の血圧を測定し、看護師が入浴可能か判断するなど、対策を徹底している。

入浴前に利用者の血圧を測定
入浴前に利用者の血圧を測定

「高齢者は体調の変化が日々大きいので、色々配慮しながらサービスを提供している」と木村さんは話す

若い人も注意「入浴熱中症」の危険

吉直医師によれば、入浴中の事故は高齢者だけでなく若い人も注意が必要だという。

岩手医大附属病院 吉直大佑救急専門医:
「最近注目されているもので"入浴熱中症"というものがある。熱いお風呂に長時間入ることによって異常に高体温になり、熱中症のような症状を起こしてしまう。全年齢層・年代で起き得る。ヒートショックは温度の差が原因で、入浴熱中症は長風呂が問題になってくる」

岩手医科大学附属病院・吉直大佑救急専門医
岩手医科大学附属病院・吉直大佑救急専門医

入浴関連の死亡事故としては、ヒートショックよりも入浴熱中症の方が件数が多いのでは…という報告もあるという。

一般家庭でできる効果的な予防策

高齢者だけでなく一人一人が予防することが大切だ。一般家庭でできる対策として、以下のポイントが挙げられる。

・暖房などを使い脱衣所や浴室を暖める。難しい場合は、浴槽のお湯をかきまぜ蒸気を立てて蓋を外しておくことも有効

・お湯の温度は41℃以下にし、つかる時間は10分までを目安にして長時間の入浴は避ける

・食後すぐの入浴や、お酒や薬を飲んだ後の入浴は避ける

「入浴中の事故」を防ぐ家庭でできる対策
「入浴中の事故」を防ぐ家庭でできる対策

入浴は日本人の生活に欠かせない習慣だが、その安全性を高めるためにも、ヒートショックや入浴熱中症のリスクを理解し、適切な予防対策を取ることが大切だ。

岩手めんこいテレビ
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