去年2月いっぱいで営業を休止している仙台市青葉区の銭湯「花の湯」が、復活に向けて動き出しています。
風呂の壁にはこれまでなかった見事な壁画が描かれました。
また、老朽化した設備を更新するためクラウドファンディングで資金を募っています。
仙台市青葉区中江にある銭湯「花の湯」です。
最後の営業からおよそ1年、現在は長期休業中です。
店主の前田有作さんに、銭湯の心臓部ともいえるボイラーの今の様子を見せてもらいました。
花の湯 店主 前田有作さん
「かなり…やばい感じですね。この…茶色いのが全部さび…いやなんかかわいそうだわ」
Q.2月28日以来火は入っていない?
「入ってないです」
「花の湯」は1938年(昭和13年)創業。
87年にわたって営業を続けてきましたが、ボイラーなど設備の老朽化により、去年2月28日を最後に営業を休止しました。
常連客
「やっぱり残念だなと思うけど、もう一度立ち直ってもらいたい」
常連客
「次の時(=再開)まで頑張ってるから私も。必ず復活してください」
店主 前田有作さん
「わかりました、また会いましょう」
仙台市によりますと、記録の残る中で最も古い1993年度は、市内に17軒の銭湯がありました。
しかし30年後の2023年度は4軒にまで減少。
「花の湯」休業の後、去年9月には宮城野区の「喜代乃湯」が廃業することに。
現在も営業している銭湯は、仙台市内では2軒だけです。
銭湯が苦境に立たされる背景、その1つが料金の問題です。
銭湯の料金は、国の「物価統制令」に基づき、都道府県ごとに決められています。
去年12月には小学生以上で20円、未就学児で10円値上げされましたが…
花の湯 店主 前田有作さん
「どんどん物価が上がっている中、重油もすごく値上がりをしていて(小学生以上で)20円上げていただいたんですけどやはりこれでは利益は厳しい」
前田さんは、打開策を探ろうと去年6月、ワークショップを開催。常連客などおよそ30人の市民から、復活へ向けた提案が行われました。
参加者
「まず今、資金力が課題になっている面で、クラウドファンディング」
「あとは銭湯絵の…花の湯にはないですけど、富士山とか描いてあるような銭湯絵の体験教室とか、ワークショップみたいな」
この日は、東京の銭湯を再生させた実績を持つ、東北芸術工科大学の講師も参加していました。
花の湯 店主 前田有作さん
「あの…絵の話が何件か出てきたんですけど、それはすぐにでもやれそうだなって思いますね。ましてや先生の芸工大やなんかもそっちの方で得意な方、いっぱいいらっしゃいますし…そこら辺を糸口に、あとお金を解決する問題も、いろいろヒントをいただきました」
前田さん、クラウドファンディングへの挑戦と、壁画の制作を決断しました。
花の湯 店主 前田有作さん
「すごい金額なんで…なんだかんだ配管からいろんなタンクから換えると1000万円ぐらいいくので。ボイラーだけで600万円かかるのに、それに対して(助成金が)76万円しか出ないから、それはどうしようもなくて、だから民間の力でやるのが一番いいんだろうなって思ったんですよね」
そして、銭湯の壁画は…
ワークショップが縁となり、芸工大で洋画を学ぶ学生たちに依頼。
東北芸術工科大学 細川貴司准教授
「美術を社会に向けてどう生かしていくかという活動にもつながるので」
学生
「本当にありがたいです。(大きい作品は)やることがないので」
花の湯 店主 前田有作さん
「もう思いの丈を全部描ききってください」
壁画のテーマは「蔵王のお釜」と「松島」。
湯船につかりながら見たくなる壁画、というのが花の湯側の希望です。
キャンバスとなる壁は、縦2メートル、横8メートルほど。
そこに3日かけて、風景画を描いていきます。
作業は連日、日が暮れても行われました。そして…
花の湯 店主 前田有作さん
「すごいっすね…こんなすごい画になるとはホント思わなかったし、この芸術に立ち会える瞬間っていうのがうれしいですよね」
風景画の全体像がこちら。中央に蔵王のお釜を配置しました。
男湯には青を基調に、松島の海と、そこに力強く生える松が描かれています。
対して女湯はピンクを基調に、春の桜と、朝日に染まった松島が描かれました。
学生
「これだけデカいと、いつもは手首だったり腕を使って画を描いているが、体を使って描くので疲れました」
「楽しかったいい経験」
花の湯 店主 前田有作さん
「3日で仕上げると言ってたからそんな大したこともないのかなと思っていたら、とんでもないですね!とんでもない…すばらしいアート、芸術。この画があったらみんな喜んでまた来てくれるかなって思いますね。お客さんにいいプレゼントが用意できましたって感じですね」
湯煙越しに、どんなお釜と松島が見えるのか?花の湯復活に向けて、前田さんの挑戦は続きます。
「花の湯」では1月いっぱいを期限にクラウドファンディングに挑戦しています。
「花の湯クラファン」と検索してみてください。
目標金額は1000万円。
集められたお金はボイラーの交換や設備更新などに充てられ、店主の前田さんは早ければ今年4月にも再開したいと話しています。