愛知県一宮市で90年以上親しまれてきた、薪でお湯を沸かす街の銭湯「龍美湯」。地下水と薪釜にこだわったやわらかなお湯と、名物の釜焼き芋が人気です。家族で守り続ける老舗銭湯の一日をのぞきました。

■昭和の面影が残る街の銭湯 

一宮駅から徒歩3分。薪でお湯を沸かす銭湯「龍美湯(たつみゆ)」。昭和初期に創業し、90年以上地域から愛されてきました。

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客:
「何十年と来ている」

別の客:
「レトロで古き良き昔の良さがあります」

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浴室には、タイルで描いた富士山。脱衣所は、昭和にタイムスリップしたような趣です。

店主は2代目の柴田三子さん(84)。

客:
「本当のお母さんみたい。いつもありがとうございます」

別の客:
「自分の家みたいにワイワイやっています」

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三子さん:
「みんな遠いところから来てくれるから、ありがたい。一生懸命90歳くらいまでは仕事をしたい」

とっても気さくな、愛されキャラです。

■地下水と薪が生む極上のお湯

お風呂は、息子の浩史さんが担当します。地下水をくみ上げて使っていて、泡風呂や電気風呂、薬湯もあります。

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3代目・浩史さん:
「家のとは違う。お客さんからお湯が良いって聞きます」

そして一番のこだわりが、薪釜です。

浩史さん:
「建築会社の廃材を頂いている。うちは薪で焚いているので」

知り合いの建材店から端材を譲ってもらい薪として使います。三子さんも火入れを手伝います。

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三子さん:
「働くことは好きなので、ほとんど寝るまで動いている。お客さんが心配してくださる」

浩史さん:
「お湯はゆっくり沸かす。お客さんから体の芯から温まって湯冷めしないと聞きます」

作業をはじめて4時間でお風呂が沸きました。

■遠赤外線でじっくり焼き上げた名物の焼き芋も人気

開店の午後3時半、すでにお客さんが待っていました。三子さんは番台でお客さんを迎えます。(大人530円・小学生180円)

客:
「この浴槽が好きで、だいたい2時間ぐらい入る」

別の客:
「寒い中に来て温まって、2、3時間ポカポカしているから、家ですっきり寝ることができる」

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そんな銭湯の名物が「焼き芋」(150円~)。釜の余熱を使い、遠赤外線でじっくり焼き上げます。

浩史さん:
「熱が煙突に抜ける道中の余熱を利用した。昔、母は芋が好きだったので、自分家で食べていただけ」

それを知ったお客さんから「食べたい」とラブコールを受け、販売を始めました。甘くてホクホクの釜焼き芋を目当てに訪れる人もいます。

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客:
「ここのお芋は最高。栗みたいな味がする、ホクホク」

焼き上がりは1日3回です。

■薪釜にこだわる…銭湯を守る思い

かつて一宮市内には、昭和初期創業の「龍美湯」をはじめ多くの銭湯がありました。

三子さん:
「お嫁に来た時には、15~6軒の銭湯があった」

客:
「この辺りもここと、もう1軒」

別の客:
「近くに銭湯が無くなったので、ここに。電車で30分くらい」

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銭湯は、客の減少や燃料費の高騰などにより、最盛期の10分の1以下まで減りました。しかも入浴料の上限価格も決まっていて、自由に値上げすることもできません。

加えて、設備の老朽化も深刻です。「龍美湯」の釜も耐用年数を超え、自力で直しながら使用していたといいます。

浩史さん:
「もう釜の中のお湯が水漏れしている。だから店を畳むか非常に悩みました」

そこで2024年に新しい釜に交換。電気やガスではなく、今回も薪釜にこだわりました。

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浩史さん:
「燃料代も高いため、薪でやらないと経営的に厳しい。それと薪のお風呂が好きという方もいる」

廃材を使えばコストは抑えられますが、営業中ずっと釜につきっきりとなるため大変です。しかし、待っているお客さんのために続けています。

三子さん:
「一生懸命がんばってお湯を沸かしております。体もよく温まるので、入浴してもらえると」

薪の火を絶やさずに守り続ける銭湯は、今日も変わらぬ温もりで客を迎えています。

東海テレビ
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