ここで重視しているのは、単なる知識量ではなく、学びに向かう姿勢と対話を通じて成長できる力です。
それは、大学生活の中で、仲間や教官とともに「学びのチーム」を築いていくための、最も重要な資質なのです。
会話でポテンシャルが見抜けることも
場合によっては、この質問だけで12分すべてを使ってしまうこともありますが、それでも議論を思いがけない方向に進められる受験生がいることも事実です。
これまでに考えたこともなかったような問題でも、少しのヒントから、重力や遠心力などの物理法則を使って、なぜ歩行速度が時速4キロほどなのかということを説明してしまう人もいます。
「だとすれば、月面での歩くスピードは遅くなるに違いない」などと、嬉々として話をする人もいます。このような会話が、学生たちのとてつもないポテンシャルを垣間見る瞬間です。
対話による人間関係の構築技術をこの面接では評価し、それをもとにこれから4年間徹底的に面倒を見る学生たちを選んでいきます。
これまで本文でお伝えしてきた、コミュニケーションから自分の知識を深めたり、新しく発見するとはこのようなことです。
これらの面接では、問題の解答をすらすら答えることは期待していません。
むしろ、どのような態度で試験官と接し、コミュニケーションを通じて思考を深めることができるか、どのように議論を発展させることができるかを見極めます。
このようなコミュニケーションを利用する学び方ができるかどうかが、その人のこれからの「伸び代」を決めてくれるからです。
飯田史也
ケンブリッジ大学工学部教授、ケンブリッジ大学コーパスクリスティカレッジフェロー、東京大学大学院工学系研究科教授、理学博士。研究の専門分野はロボット工学で、スイスと英国で16年教壇に立ち、200人以上の教え子を世界中に輩出してきた。
