日本酒造りのシーズンが本番を迎える中、蔵元が頭を悩ませている「酒米の価格高騰」。商品の価格にそのまま転嫁することも難しく、県内の多くの蔵元が新酒を仕込む量を減らさざるをえない状況となっている。
(千代寿虎屋・大沼寿洋社長)
「今年はやはり酒米の問題が非常に大きく蔵元に影響している。酒造りをしながら、コメ問題をずっと頭に抱えながら仕込みをしている」
1月8日、新酒の仕込み作業を振り返ってこう口にしたのは、寒河江市にある千代寿虎屋の社長で、県酒造組合の原料米対策委員長務める大沼寿洋さん。
日本酒の原料となる酒造好適米、いわゆる「酒米」の価格が、県内では2025年産が1俵あたり約3万円と、2024年産と比べて約1万円値上がりした。
これは主食用米の値上がりの影響を受けたもので、大沼さんは「これほどの値上がりは経験したことがない」と危機感を募らせる。
(千代寿虎屋・大沼寿洋社長)
「3年前ぐらいと比べると倍近い価格になった。予想以上の価格の上昇に、酒蔵同士で会うたびに『酒米どうしよう』という話ばかりが聞こえてきた。非常に危惧している」
資材関係・人件費の高騰も受け、一部の商品は値上げに踏み切っているというが…。
(千代寿虎屋・大沼寿洋社長)
「当然価格転嫁をしないといけないと思っているが、これを当たり前に転嫁すると数百円単位の、予想以上の価格上昇になってしまい、日本酒離れが起きてしまうと危惧している」
これまで通り客に日本酒を楽しんでもらうため、千代寿虎屋では値上げ幅を1割程度にとどめ、新酒の仕込み量を約2割減らすことにした。
こうした状況をうけ、県が“値上がり幅の半分”を蔵元に補助することにしている。
(千代寿虎屋・大沼寿洋社長)
「もらえるだけありがたいと思っている。プラス、地方自治体(市町村)がそこに若干の上乗せをしてもらえればいいなということで、実現できるよう各酒蔵がいろいろなお願いをしたりしている」
さらに、もう1つ問題となっているのが「酒米の生産者が減っていること」。
もともと、酒米は主食用米に比べて栽培が難しいため、価格が高く設定されていた。
しかし、主食用米の価格が大幅に高騰したことで、酒米から主食用米の生産に切り替える生産者が増えているという。
(千代寿虎屋・大沼寿洋社長)
「“地酒”というからには、山形のコメを使うことが大事。量が確保できないと酒蔵の生産量も減るし、酒蔵の経営的にも大きな問題になってくる」
不安定さを増す酒米の価格と確保。
酒造りのあり方はいま、転換期にあるのかもしれない。
(千代寿虎屋・大沼寿洋社長)
「山形は大きい蔵が少ないので、量産するよりは作品的な価値のある付加価値型の酒にシフトしていく・大事にしていくことが山形の酒造りになると思う。当社も量より品質を高めて、みなさんに満足してもらえる酒を造っていけるよう努力している」
最近、日本酒離れが進む中で価格高騰・収量減と、酒造りが盛んな山形にとっては本当に深刻な問題。
大沼さんは「価格と量のバランスのとれた酒米が持続的に生産できる政策を期待したい」と話している。
また、市町村の補助については、寒河江市・飯豊町・庄内町ですでに補助が決まっているという。