アメリカのトランプ政権によるベネズエラのマドゥロ大統領拘束という前例のない行動が、国際社会に大きな波紋を広げている。
きのう=5日の年頭会見で高市総理はこのベネズエラ情勢について言及したものの、「力による現状変更は認めない」といった言葉はなかった。
政治ジャーナリストの青山和弘さんはこれについて、「アメリカを敵に回すことができないという非常に苦しい状況がにじんだコメント」と指摘した。
■「日本にとっても他人事ではない」と青山さん
青山さんは、この事態が日本にとっても他人事ではないと警鐘を鳴らす。
青山和弘さん:このような1つの国が、主権国家のトップを拉致するような形で連れていって、自分の国で裁判にかけるということが許されるということになると、『じゃあ次は他の国でもいいのか』という話になってくるわけです。
そして、現在の国際情勢に直結する具体的な危険性を指摘する。
青山和弘さん:中国が台湾に対して今、“武力行使の可能性”も選択肢に入れながら、侵攻する可能性が指摘されている。それも『いいんじゃないか』という話になりますし、今ロシアがウクライナにやってる戦争も、正当化される可能性がある。
こうした『力による現状変更』みたいなものが横行する世の中になると、日本にとってもただ事じゃないということになる。

■世界はアメリカの行動をどう見ているのか
ベネズエラ攻撃に対する各国の反応がどのようなものか、見ていく。
中国は「国際法を著しく違反している」と指摘し、ロシアは「独立国家の主権の侵害だ」と批判している。
国連のグテーレス事務総長は「この状況は、危険な前例となりかねない」と懸念を示し
ている。
一方、イギリスはマドゥロ大統領を「正当性のない大統領」、フランスは「権力を私物化している」と批判しつつも、アメリカの攻撃の正当性については評価を避ける形をとっている。

■高市総理のコメントはに「非常に苦しい状況がにじんだ」と指摘
このような国際情勢の中で、高市総理は5日の年頭会見で「ベネズエラにおける民主主義の回復及び情勢の安定化に向けた外交努力を進めて参ります」などと発言し、アメリカの攻撃の正当性についての評価は避けた。
青山さんは高市総理のこの対応について、以下のように分析する。
青山和弘さん:ベネズエラは“21世紀最悪の人道危機の1つ”と指摘されるぐらいに、強権的な圧政が敷かれ、民主的ではなかった。ただ一方で、『力による現状変更』がいいのか。
民主的じゃない国は世界中いくらでもあるわけです。そうした国を『力による現状変更』を認めていくと、それは戦争がたくさん起こりうる可能性もあるわけで、日本は法の支配であるとか、そうしたことを言ってきた。
力による現状変更も、例えばウクライナ戦争のときには厳しく批判してきたんですが、『力による現状変更を認めない』といった言葉は抜けていて、民主主義を守っていくという、今まで民主的じゃなかったベネズエラに対して、アメリカが行動を起こしたことに若干、“寄り添う”ようなコメントにもなっている。
日本がこのアメリカの行動を今批判できない、アメリカを敵に回すことができないという、非常に苦しい状況がまさににじんだコメント。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2026年1月6日放送)

■高市総理 年頭会見でのベネズエラ情勢への言及は
高市総理が年頭会見でベネズエラ情勢について言及した内容は以下の通りです。
ベネズエラでの事案を受けまして、日本政府としては、私の指示の下、まずは邦人の安全確保、これを最優先としつつ、関係国と緊密に連携して対応に当たっております。
ベネズエラ情勢につきましては、日本政府としまして、これまでも一刻も早くベネズエラにおける民主主義が回復されることの重要性を訴えてまいりました。
我が国は、従来から自由、民主主義、法の支配といった基本的価値や原則を尊重してまいりました。
日本政府は、こうした一貫した我が国の立場に基づいて、G7や地域・諸国を含む関係国と緊密に連携しながら、引き続き邦人保護には万全を期するとともに、ベネズエラにおける民主主義の回復及び情勢の安定化に向けた外交努力を進めてまいります。
