自民党の野田聖子幹事長代行は、21日の「LiveNewsイット!」に生出演した。
この中で出産費用の負担軽減のため、現在42万円の出産育児一時金を、最低でも50万円以上に引き上げるよう取り組む方針を示した。
さらに不妊治療の保険適用を早期に実現させる意向を強調し、選択的夫婦別姓については自民党内に「氏」に関して議論する作業チームを初めて設置したことを明らかにして導入への強い意欲を示した。

この記事の画像(9枚)

コロナ禍での妊娠数減少に危機感…背景に一斉休校も

番組ではまず2020年5月から7月にかけての妊娠の届出数が、2019年より1割以上減り、2021年の出生数が減少する見通しであること、妊娠届減少の背景に新型コロナウイルスの影響が指摘されていることが紹介された。

この傾向について、加藤綾子キャスターが野田氏にどのように捉えているか問うと、野田氏は次のような認識を示した。

野田聖子幹事長代行:
令和元年の結婚が増えたこともあり、結婚が増えると子どもの出産も増えるという傾向があったが、残念ながらコロナウイルスによってそういう希望が一掃された形になった。
そもそも生まれてくる赤ちゃんの9割近くが20代から30代の女性が担ってくれている。そういう人たちの数も少子化で減ってくる中、コロナウイルスで一斉休校があった。子どもたちが真っ先に学校に行けなくなるという衝撃はかなり私自身にも響いたし、子どもを持つことの不安を助長させてしまったんじゃないかと考えていた

自身も不妊治療経験ある野田氏の不妊治療保険適用論

さらに、不妊に悩む人たちから、不妊治療への保険適用を求める声が強まっていて、菅首相も早期の適用に意欲を示していることに関し、自身も不妊治療を経て、卵子提供での体外受精によって妊娠・出産した経験を持つ野田氏は次のように述べた。

野田聖子幹事長代行:

不妊治療の10年間を思い出すと、今でも苦しいことが蘇ってくる。そのくらい女性たちにとっては負荷のかかる治療だと思っている。
でもやはりこの間も、今実際に治療をうけている若い女性から今月これだけかかったんですと100万円の領収書を見せられた時に、“やはりこれは間違っているな”と。こういう若い人たちの努力をもう少し、関係ない人たちも真摯に受け止めてしっかりと国が応援しないといけないと痛感した

これに関し、番組に出演した、不妊治療について菅首相にアドバイスしている杉山産婦人科の杉山力一理事長は「保険適用に関しては良い案だ」とした上で、不妊治療は個人によって様々なパターンがあり、そうした中での治療の標準化の難しさを課題として指摘した。

また、番組コメンテーターの住田裕子弁護士は、保険診療と保険外診療を組み合わせる混合診療を認める規制改革の必要性を強調した。

野田聖子幹事長代行:
保険適用イコール規格の中に抑えないといけないということではなく、不妊治療の特殊性も鑑みて、様々な形態を議論していきたい。混合診療がダメだという議論には初めからならないと思っている。
いろんなことを検討して、経済的な負担と、治療を受ける側にとってわかりづらいクリニックのあり方などに透明性を持たせないといけないという意味での保険適用だとするなら、より患者さん本位のあり方を作っていくべきだ

野田氏は、このように強調した。

出産費用の負担軽減策は…野田氏が打ち出した「一時金50万円以上への増額」

さらに、加藤キャスターは、不妊治療に限らず、一般的な出産にもお金がかかりすぎるという声を踏まえ、出産への支援・負担軽減策について野田氏の認識を質した。

これに対し野田氏は、この臨時国会中に出産費用の負担軽減を進める議員連盟を発足させる考えを明らかにした上で、出産育児一時金を増額する考えについて、次のように言及した。

野田聖子幹事長代行:
出産一時金は今42万円くらいなんですが、物価も上昇し、結果的にこの42万円では、ほとんどの都道府県の平均額をカバーしきれなくなっている。
若い自民党女性議員が現実的な数字に近づけようということで、年末に向けて大きな動きが始まるところだ。若い女性の議員たちは謙虚なんで50万円と言っているが私はもっと欲張っていいんじゃないかと

野田氏はこのように、出産一時金を最低でも50万円以上に引き上げるよう取り組む意向を示した。
その上で、一時金の引き上げに便乗して産婦人科が出産関連費用を値上げすることへの懸念を示し、「適正な出産費用をある程度導いた上で、不妊にこれだけのお金を作うんだから、授かったこどもを安心して産めるような環境の連なりを作っていかなければならない」と述べた。

杉山氏は60万円案、住田氏は積極的な財源面での目配りを要望

また実現に向けたスピード感に関して、野田氏はこう強調した。

野田聖子幹事長代行:
不妊治療の保険適用。その前に助成金の増額も考えているので、妊娠していただく機会が増える中で、出産に関してはシビアだねとならないように。
パッケージなので、不妊治療だけでやればいいわけでなく、すべてのプロセスにおいて安心して産んでいただく環境を作ることが目的になっている

一方、杉山理事長は、出産育児一時金の増額は大歓迎だとした上で、地方と東京の出産費用の違いや無痛分娩を希望する人が増えている状況を踏まえ、できれば60万円程度まで引き上げるのが望ましいとの考えを示した。

また住田氏は、出産育児一時金の増額は「財源の問題になってくる」と指摘し、「もっと子どものために少子化対策のためにお金を回していただきたい。子どもというのは父母のものという意味だけでなく、社会のものだから財源も目配りしていただきたい」と訴えた。

選択的夫婦別姓導入めぐる作業チームを自民党内に設置

さらに加藤キャスターが、夫婦が望んだ場合に限り、別々の姓(氏)を名乗ることができる「選択的夫婦別姓」についての認識を問うと、野田氏は次のように答えた。

野田聖子幹事長代行:
法務省の法制審議会が四半世紀以上前に“選択的夫婦別姓を導入することが、よりこの国の幸せにつながる”ということで答申を出しているが、残念ながらたなざらしになっている。(選択的夫婦別姓は)女性に対する後押しの象徴になっているので、こういうことにしっかりと答えを出すことで実務型の菅政権の姿を見せていければと思っている

そして野田氏は、選択的夫婦別姓の導入実現に向けた自民党内の具体的動きに言及した。

野田聖子幹事長代行:
実は自民党に政務調査会という政策実行部門があるが、そこに今回初めて女性活躍に関わる政策の特命委員会が出来た。その中のワーキングチームの1つに“氏”の問題について答えを出していこうという、私が知る限りは自民党で初めて氏について固定的な議論の場が出来たということで、1歩2歩10歩くらい前進したのではないかと期待している所だ

選択的夫婦別姓については、野党が導入に前向きな反面、自民党では賛否が分かれ、導入実現への道筋は見えていない。
そうした中での自民党内のワーキングチーム設置という新たな動きには意味がありそうだ。また出産育児一時金の増額を目指す議員連盟は、野田氏と岸田前政調会長が共同代表とし設立するという。不妊治療への保険適用に向けた政府の動きを含めて、今後の動向が注目される。

(フジテレビ政治部)