一枚の写真から街を再発見する「兵動大樹の今昔さんぽ」。
今回の舞台は兵庫県・西宮市。阪神・香櫨園駅からスタートだ。
兵動大樹さん:閑静な住宅街というか、いい雰囲気を残した町でございます。
手渡されたのは、1954年(昭和29年)、兵庫県西宮市で撮影された一枚の白黒写真。
兵動大樹さん:なるほどねえ。『なんとか川市場』ってなってる。ええとこで(写真が)切れてるわ。この当時写真撮った方にね、文句やないんですけど、もうちょっとこの辺から撮ってくれとったらここ(の文字)も入ってたんですよ。何十年後かの僕は探しやすかったわけですから。
先人に若干の苦言を呈しながら始まった今昔さんぽ。兵動さんは写真の場所を見つけられるのだろうか?
■西宮の高級住宅街「夙川」には昔遊園地があった
手渡された写真には、市場らしき風景と買い物をする人たちの姿が写っている。
見切れた看板や、「SHUKUGAWA MARKET」という文字が見える。
兵動大樹さん:英語表記、昭和29年にしては斬新ですよね。洒落た町だからね、夙川は。どこかに市場があったのかな。
夙川エリアは西宮市の中でも特に高級住宅街として知られる地域。
兵動さんは地元の人に写真を見せながら聞き込みを始める。
酒店の方に写真を見てもらうと「全然この辺じゃない。夙川の方」というヒントが。
12年半前にも取材で出会ったというセレクトショップの女性オーナーからは、意外な情報が!
店主:すごい昔は遊園地があって、みなさんがこう遊びに来る場所だったみたいですよ。滑り台が大きいのあったりとか、結構すごいですよね。
実は夙川には、「香炉園遊園地」が1907年に開業していた。
片鉾池に向かって滑り落ちるスライダーやメリーゴーランドなど、当時の最先端をいくレジャー施設だったのだ。
しかし、わずか6年ほどで閉園し、跡地は宅地開発されて人気の住宅地になった。

■夙川に“市場”はあったのか?
兵動さんは花見の名所としても有名な夙川オアシスロードへと歩みを進める。
夙川オアシスロードは夙川公園の一部で、国道2号線から海に向かう約1.3キロの道。
日本さくら名所100選にも選ばれ、春になると1600本以上の桜が咲き誇る名所だ。
そんな素敵な道を通り抜け、阪急夙川駅へ。
兵動大樹さん:ここに市場とか遊園地がほんまにあったんかな。

■「夙川グリーンタウン」のレトロ喫茶店の懐かしプリン
いい香りに釣られて商業施設「夙川グリーンタウン」にある「喫茶ベリー」を訪れると、昭和レトロな雰囲気に引き込まれる。
ご夫婦で営んでいる「喫茶ベリー」は、2021年にご主人の希望でオープンした昭和レトロな喫茶店。
地元の常連さんも多く、名物は「くまさんプリン」。
兵動大樹さん:うまいなあ。昭和なプリン。昔せがんでプリン作ってくれ言うて作ってもらったもんな。その時の味、それのもっと美味しい版。
写真について聞いてみると…
喫茶ベリー・オーナー:この辺が昔市場があったとは聞いたことある。2階に靴屋のアサヤさんがあって、ご主人が90代なので何か知ってるかもしれない。

■99歳店主が語る夙川の商店の歴史
「夙川グリーンタウン」の2階にある「アサヤ靴店」。
グリーンタウンができる前から夙川で商売をされていた老舗のお店だ。
大正15年生まれの99歳になるという店主は、3代目だそうだ。
昭和52年(1977年)10月15日にオープンした夙川グリーンタウンは、市の再開発や区画整理も同時に行われるという一大プロジェクトだった。
当時、駅前にお店を構えていた「アサヤ」も、その時にグリーンタウンへ移転したのだ。
アサヤ靴店・オーナー 麻田さん:こんな大きいビルは初めて。
兵動大樹さん:オープンしたときは人は来はった?
アサヤ靴店・オーナー 麻田さん:すごい人。景気が良かった時代です。オープンの日は、お客さんがこのビル取り巻きました。こんなに売れていいのかと思うほどよく売れた。
店主によると、グリーンタウンができる前には、その場所に市場があったんだそうだ。
写真を見せると…
アサヤ靴店・オーナー 麻田さん:終戦後、こんなお店ができた。駅前にお店が10軒あった。市場の上に被さってこのビルができた。

■「夙川市場」と「夙川マーケット」
写真の正確な場所を知るため、夙川グリーンタウンの事務局を訪ねた兵動さん。
そこで意外な事実が明らかになる。
夙川グリーンタウン株式会社・代表取締役 谷口さん:ちょうどまさにこのビルの真下が『夙川市場』です。
兵動大樹さん:今座ってるこの下が夙川市場?
夙川グリーンタウン株式会社・代表取締役 谷口さん:そうです。これは自然にできた商店の集まり。ここは夙川市場に入らずに商店として続けた店です。全然(夙川市場)と場所が違うし。
兵動大樹さん:え!市場ちゃうの!?
驚くことに、写真に写っているのは「夙川市場」ではなく個人商店の集まり、「夙川マーケット」と呼ばれる場所だったのだ。

■夙川市場はもうなかった
夙川グリーンタウン株式会社・代表取締役 谷口さん:(夙川マーケットは)屋根がないでしょ?昔の夙川市場は…。
兵動大樹さん:屋根があったんや。
昭和40年代前半の航空写真を見ると、屋根が連なっているところが「夙川市場」。
その上に夙川グリーンタウンが建てられていた。
一方、今回の写真は、阪急夙川駅から南に伸びた道に並んだ屋根がない商店の集まりで、現在はその場所に「ストークマンション」が建っているとのことだった。

■変わりゆく街並みと夙川グリーンタウン
写真の場所まで谷口さんに案内してもらう。
ストークマンションは、夙川グリーンタウンができる1年前(昭和51年・1976年)に建設されたため、写真の商店はその年まで存在していたことになる。
兵動大樹さん:夙川グリーンタウン、すごかったですね。でも今も元気にご商売やってますし、面白い個性的なお店もたくさんありますもんね。ぜひフラッと買い物来てみてください。楽しい夙川でした。
高級住宅地として知られる夙川の街には、かつて遊園地や二つの市場があり、現在の洗練された街並みになるまでの変遷を知ることができた。
失われた風景を追いながら、夙川の歴史を再発見できた兵動さんだった。
(関西テレビ「newsランナー 兵動大樹の今昔さんぽ」2025年10月17日放送)
