多くの買取店が集まる名古屋・大須の激戦区で、プラチナや高級ブランドバッグの査定に密着しました。査定額に一喜一憂する利用者たち。買取現場の今に迫ります。
■タンスから出てきたネックレス
舞台は、東京や大阪など全国に52店舗を展開している「ブランドオフ」名古屋大須店。査定を担当するのは、これまで総額9億円を査定してきた、買取歴18年のベテラン店長です。
まず、岐阜県から来た50代女性が持ち込んだのは、ネックレス。
女性:
「タンスの中から出てきた。もらってから、そのまましまっていた」

ブランド品ではないため、査定額を左右するのは素材です。
店長:
「プラチナの850なので、純度85%のプラチナですね」
現在、貴金属の買取金額は軒並み高騰しています。例えば金は、2025年10月中旬に1グラムあたり2万3000円台と過去最高値を更新。20年前と比べて約15倍、2024年と比べても2倍と大きく値上がりしています。

プラチナもそれに次いで価格が上昇し、10月には1グラムあたり9200円を超えました。
果たしてタンスに眠っていたプラチナのネックレスはいくらになるのでしょうか。
店長:
「13万5000円になります」
女性:
「はい、ありがとうございます」
13万5000円で買取成立です。
■母から譲り受けた「セリーヌ」のバッグ
続いては、名古屋市在住の20代女性。事前に商品の写真を送り、大まかな査定ができるLINE査定を利用したうえで来店しました。
女性:
「母のものですが」

持ち込んだのは「セリーヌ」のウエストバッグ。約20年前に、母が祖母から譲り受けたもので、最近それを引き継いだものの、使う機会がなく買取に出したといいます。目立った大きな傷はなく、ライン査定では最高4万円でしたが。
店長:
「写真と現物では見え方が変わるので、その点を見させていただきますね」
写真では分からなかった細かな状態を確認すると…。

店長:
「中の方が少し変色している。色焼けが少しありますので、3万6000円になります」
女性:
「じゃあ、それでお願いします」
店長:
「お母様に報告しなくて大丈夫ですか?」
女性:
「大丈夫です。ケーキ買って帰ります」

「セリーヌ」のバッグは3万6000円で買取成立。便利なLINE査定ですが、写真のクオリティが査定金額に直結するため、内側の日焼けや汚れなども正確に伝えることが大切だといいます。
■人気ブランド「ルイ・ヴィトン」の強み
続いて、名古屋市在住の50代男性が持ち込んだのは「ルイ・ヴィトン」のボストンバッグ。約20年前に15万円ほどで購入したもので、ショルダーベルトやネームタグなどの付属品もすべてそろい、状態は良好です。
さらに、約20年前に8万円ほどで購入した「ルイ・ヴィトン」の長財布も持参しました。
男性:
「新品で買ったばかりの頃に使っただけ。時折出しては掃除していました」
店長:
「モノグラムは、ヴィトンの中でも一番人気ですね」

ブランドオフでは「ルイ・ヴィトン」は高価買取対象。その理由について店長は、「愛知県は特にルイ・ヴィトンの人気が高い」と話します。
現在、店頭には約750点もの「ルイ・ヴィトン」が並んでいます。ちなみに大阪では、シャネルが特に人気が高いそうです。
店長:
「モノグラムの60センチが8万5000円。財布の方が6000円で、合計金額は9万1000円ですが、いかがでしょうか」
男性:
「最初は他の店に入ろうとした。高い方でと思って」
大須商店街には、およそ20店舗の買取店が集まっており、他店と比較しながら価格交渉をする人が多いといいます。

男性:
「他の店は10万円以上とかはない?」
店長:
「ないと思います」
男性:
「じゃあ、もう買取で」

ボストンバッグと長財布は、合わせて9万1000円で買取成立。ボストンバッグは、付属品がすべてそろっていたことで、約2万円の上乗せになったといいます。
男性:
「もう旅行もほとんどしないので。お金はゴルフに。もうそっちばかりなので」
■特に高値がつきやすい3つのブランドとは
続いては、名古屋市在住の80代女性と50代女性の親子。持ち込んだのは、約20年前に45万円で購入した「シャネル」のチェーンショルダー、15年前に8万円で購入した「ルイ・ヴィトン」のバッグ、そして「コーチ」の小さめのバッグの3点です。
どれも10年以上前のものとは思えないほど、状態は良好です。

店長:
「中もとてもきれいですね」
女性:
「ほとんど使っていない。使っても、帰ってからきれいにしていました」
店長:
「きちんと紙を入れていると湿気を吸ってくれますし、管理としては非常にいいと思います」
モノを大切に扱う母親は、使用後に汚れを拭き取り、紙を入れて保管するなど、カビや型崩れを防ぐ工夫をしていたといいます。

店長:
「ちなみにシャネルはご希望額とかありますか?」
女性:
「高ければ高いほど。シャネルの買取金額は高いですか?」
店長:
「高いです。シャネルとエルメスとルイ・ヴィトンは、当社としても特に力を入れているブランドです」
「シャネル」「ルイ・ヴィトン」「エルメス」はアウトレット店を持たないため、高値がつきやすいといいます。

店長:
「シャネルが21万円、ヴィトンが8万円、コーチが3000円で、合計29万3000円です。いかがですか?」
女性:
「大丈夫です」
3点で29万3000円、一発提示でご納得かと思いきや。
女性:
「大丈夫ですが、ちょうどにはなりません?」
店長:
「そうですよね。ちょっと待ってください。30万円でいきましょう」

査定額7000円アップの30万円ちょうどで買取成立です。
女性:
「まあ、満足です」
■希少性の高いエルメス「バーキン」はいくらに
最後は、何度か利用しているという名古屋市在住の50代女性。持ち込んだのは、超高級バッグ「エルメス」のバーキン、エタンカラーの30センチモデルです。
女性:
「ほぼ新品。2~3回使ったくらい。これは1軒では決められない」

店長:
「目標金額はありますか?」
女性:
「他店では200万円くらいと言われました」
新品のバーキンは入手困難で、定価も値上がりが続き、現在は約200万円。欲しくても手に入りにくい希少性から買取は定価以上の値がつくこともあるそうです。
女性:
「もったいなくて、傷つけたくなかった」
店長:
「歩く資産のような存在ですね。ちなみに今日は何店舗くらい回る予定ですか?」

女性:
「納得いくまで」
店長:
「ご希望が200万円でしたが、210万円まで出します。条件がいろいろ重なって、この色の在庫がないのが1つ。あとはいつもお世話になっているので」
女性:
「もう一声」
店長:
「今決めていただけますか?もう相場は超えてしまっているので。じゃあ、もう215万円。一番高いです」

女性:
「すごいです。ありがとうございます。良い人にもらってもらいましょう」
「エルメス」のバーキンは、215万円で買取成立です。
女性:
「家のリフォームをしたくて、その足しにしたい」
眠っていた品々は、買取の激戦区・大須で次の持ち主へと受け継がれていきます。
