12月22日から4日間はしずおか総決算と題して1年を振り返ります。初回は静岡県牧之原市などを襲った国内最大級の竜巻。自宅が全壊する中、再建に向けて動き出した夫婦の歩みを見つめます。

伊藤渚紗 記者(9月5日):
静岡市駿河区です。先ほどから打ち付けるような非常に激しい雨が降り始めました。数秒に1回、大きな音を立てて雷の音も聞こえます

9月5日。

台風15号の接近に伴い、各地で線状降水帯が発生した静岡県内。

掛川市などでは1時間に降った雨の量が100ミリを超えるなど交通機関も麻痺しました。

同じ日の昼過ぎ。

牧之原市と吉田町を襲ったのが国内“最大規模”の竜巻です。

最大瞬間風速は75メートルと推定され、住宅被害は1763棟に及んだほか1人が死亡しました。

竜巻による被害が特に大きかったのが牧之原市の細江地区。

松下和馬さんと妻の幸代さんは当時、外出していたためケガはありませんでしたが、自宅は屋根が飛ばされ、室内にはガレキが散乱するなど変わり果てた姿となりました。

松下和馬さん(9月):
もう住めない。もう(窓)ガラスもない。なってしまったものはしょうがない。天災なのでやれることをやるだけ

このため、同じ場所に自宅を再建することを決断。

全壊した自宅をそのままにしておけば二次災害のおそれもあったからです。

松下和馬さん(9月):
人生の中で激動の1週間だった

妻・幸代さん(9月):
新しい家についてお金の面もいろいろ心配はあるので、その辺は2人で一生懸命働きながら頑張っていきたい


10月には解体工事が始まりました。

妻・幸代さん(10月):
被災当時から屋根も吹っ飛んでしまった状態なので、このまま住み続けることはできず、建て替えしか選択肢がないとは思っていたが、いざ家が壊されているのを見るとやっぱり悲しい。気持ちを切り替えて新しい家を建て直して、そこからもう1回頑張ってみるというところに今度からは気持ちを切り替えたい

発災から3カ月あまり。

現在は自宅から4キロほど離れたアパートで生活している松下さん夫妻。

松下和馬さん:
こちらがとりあえず家から運び込んだもの。使えるか使えないかわからないがとりあえず運んできた。あの時に使っていた時計。雨の汚れがそのまま

被害を受けた自宅で使っていた時計には雨や泥水の跡が残るなど、“あの日”の出来事が刻まれています。

一方で、自宅の解体は終わり、再建に向けたスタートラインに立ちました。

現在はハウスメーカーとの打ち合わせを進めています。

松下和馬さん:
極端なこと言えば我が家だけではないので、しょうがないとしか言えない。あとは再建するしかない

ただ、頭を悩ませているのが金銭面です。

いま暮らしているアパートはみなし仮設住宅として認められたため全額公費負担ですが、自宅の解体にかかった200万円は市の負担となるものの、その時期は見通せていません。

それでも松下さんは新たな気持ちで新年を迎えようと、今日も前を向きます。

松下和馬さん:
いつものごとくとりあえず着実に1個ずつ片付けて、家が完成して今までと同じように生活できるようになったらパーっとやりたいなと、それだけを楽しみに頑張ろうと思っている

近年、激甚化、そして頻発化する災害。

日常を取り戻すための長い道のりはまだ始まったばかりです。

テレビ静岡
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