「年収の壁」引き上げ合意から一夜、19日もまた、これからの私たちの暮らしに影響を与えそうな大きな決定が。
それは、日銀(日本銀行)による政策金利の引き上げです。

日本銀行・植田総裁:
本日の決定会合では、従来の0.5%程度から0.75%程度へと変更を全員一致で決定。

政策金利とは、国の中央銀行が金融政策の一環として定める短期金利のことで、各金融機関の預金や貸し出しの金利にも影響を及ぼします。

その金利水準を0.75%程度と1995年9月以来30年ぶりの高い水準に引き上げたことについて、日銀の植田総裁は「来年は今年に続きしっかりとした賃上げが実施される可能性が高い。経済・物価情勢を踏まえ、金融緩和の度合いを調整することが適切だと判断した」と述べました。

今回の政策金利の引き上げで気になるのが、私たちの日々の暮らしへの影響です。

総務省が19日に発表した11月の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合で、前の年の同じ月と比べ3.0%上昇と物価高の傾向は依然続いています。

この傾向は、今回の金利上昇で変わるのでしょうか。

スーパーアキダイの秋葉弘道社長は「やっぱりお客さんの財布のひもが固くなるというイメージはある。金利上昇というふうに聞いたときは」と語りますが、長いスパンで見れば金利引き上げによるプラスの一面も期待されるといいます。

アキダイ・秋葉弘道社長:
例えば円安から円高の方に若干振れることになれば、スーパーの販売している金額は値段がある程度抑えられると思う。

金利上昇で想定される過度な円安の是正。
この傾向が続いた場合、価格面で特に恩恵を受けそうな商品の1つが肉だといいます。

アキダイ・秋葉弘道社長:
肉にしても海外産のものが特売できる場面もそのうち出てくるかな。(さらに)肥料や餌、そういうものは結構輸入物を使ったり(するので)、国産のもの(肉)もかなり抑えられる部分がある。

ただ、政策金利引き上げ後の円相場には、今のところ目立った動きはありません。
一方で、政策金利の30年ぶりの金利水準の影響が早くも懸念されるのが住宅ローンです。

19日、国債市場では長期金利の指標とされる“10年もの”の利回りが一時2.02%。
これは約26年ぶりとなる高い水準で、固定型の住宅ローンに影響を及ぼす可能性が指摘されています。