個室サウナで夫婦が死亡した火災で、非常用のボタンの電源を入れていれば正常に作動した可能性が高いことが分かりました。

そうした中、当時の詳しい状況が徐々に明らかになってきています。

12月15日、東京・赤坂の個室サウナで発生した火災。

利用していた美容室を経営する松田政也さん(36)と妻の陽子さん(36)がサウナ室内で死亡しました。

個室サウナの扉のドアノブが外れていたことから、室内に閉じ込められたとみられています。

その後の捜査関係者への取材で、サウナ室内の壁に設置されていた空気を取り入れる通風口の一部が壊れ、床に落ちていたことが新たに分かりました。

2人は通風口をたたくなどして助けを求めていたとみられます。

また、床にあったすのこが座席に立てかけられていたことから、すのこを使って熱から逃れようとした可能性もあるといいます。

更に、サウナ室内に残されていたのはロウリュをするための入れ物。

ロウリュとは、熱したサウナストーンにアロマ水などをかけ発汗を促すものですが、アロマ水が入っていたはずの入れ物の中は空でした。

これまで詳しい死因は明らかになっていませんが、政也さんは背中の肩から腰にかけての広い範囲に、陽子さんは右肩から上腕にやけどの痕があったことが分かりました。

妻の陽子さんを熱からかばおうと政也さんが覆いかぶさり、やけどを負った可能性があるということで警視庁が詳しい当時の状況を調べています。

更に、サウナ室には事務室につながる非常用ボタンが設置されていたものの、受信盤の電源が切れていたことが分かっています。

その後の警視庁による検証で、松田さんらが利用した個室の非常用ボタンも受信盤の電源を入れていれば正常に作動した可能性が高いことも分かりました。

また、2人は携帯電話を室内に持ち込んでいなかったということです。

サウナ店の運営会社は火災発生当日「尊い命が失われる結果となりましたことを深くお詫び申し上げます。ご遺族の皆さまへの対応を最優先に誠意をもって取り組んでまいります」とコメントしました。

警視庁は業務上過失致死の疑いも視野に詳しく調べています。