火事現場に駆け付け、70代の住人を迅速に救い出したとして、宮城県登米市の男性に感謝状が贈られました。家族を守りたいと14年に渡って続けてきた、ある習慣が、1人の命を救うことにつながりました。

煙が立ち込める火事現場。

10月9日午後3時40分ごろ、登米市津山町横山で住宅1棟が全焼する火事があり、この家に住む70代の男性が、やけどをして病院に運ばれました。

火事現場で動けなくなっていた男性を救ったのは、現場近くの自動車板金塗装店で働く高橋慎さん(46歳)でした。当時は勤務中だったといいます。

高橋慎さん
「黒い煙が勢いよく20、30メートル上がっていたので、これは火事じゃないかなと思って」 

高橋さんは、急いで現場へ向かいました。

高橋慎さん
「この辺で近所の方が数人いたんですけども、その方から『家がまだこんなに燃えているのに人が出てこないんだ』っていうことを耳にしまして、家の正面の方に向かいました」

いつ建物が崩れてもおかしくない状況の中、居間で動けなくなっていた男性を見つけ、高橋さんはひとり、家の中に駆け込みました。

高橋慎さん(Q.熱さは?)
「その時はもう無我夢中だったので、何も感じませんでしたね」

やけどの影響などからか、男性は高橋さんの背中に乗る力も残っていない状態でした。
そこで高橋さんは男性の両脇に手を差し込み、持ち上げるように運んだといいます。

高橋慎さん
「こう抱えて、安全なちょっと広い場所まで運んできたという形です」

男性1人を抱えて運んだ腕力の源は…。

高橋慎さん
「筋トレですね」

東日本大震災が発生した際、いざというときに家族を守る力を身につけたいと思い、週に6日続けてきた筋トレ。14年以上の鍛錬が、今回の救出劇につながったといいます。

高橋慎さん
「筋トレしていると、何のために鍛えてるの?と言う人が結構いますけども、14年間に一度でも人の役に立つことでも、自分は絶対にいいことだと思っているんで。やってきてよかったなと思っています」

高橋さんが男性を救出したおよそ15分後に消防が到着。男性は一命をとりとめ、およそ1週間の入院のあと、退院しました。

12月18日、消防から高橋さんに感謝状が手渡されました。

登米市消防本部 小野寺敏彦消防長
「本当にありがたいこと。感謝しております。火の小さいうちに消せるものであれば、皆さんで消火作業していただければと思いますけど、まず、自分の安全というところを絶対守っていただきたい」

高橋慎さん
「シンプルによかったなと思います」

仙台放送
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