社会貢献活動を続けるアスリートに贈られる「ヒーローズ・アワード」に、県出身のフェンシング元日本代表・池田めぐみさんが選ばれた。県内で活動するアスリートとしては初めての受賞。

競技で培った経験を活かし、地域の課題解決を目指すアスリートに贈られる「ヒーローズ・アワード」。
2017年に創設され、南陽市出身・在住のフェンシング元日本代表・池田めぐみさんが受賞した。

2025年に個人で選ばれたのは、池田さんと大相撲の元横綱・白鵬さんの2人。

(池田めぐみさん)
「アスリートとしての自分の誇りが新たに上書きされているという感覚がある」

池田さんは、2004年のアテネ・2008年の北京五輪にフェンシング女子の日本代表として出場。
2010年の広州アジア大会・エペ団体で金メダルを獲得した。

地域活動のきっかけは2011年。
翌年に控えたロンドン五輪に向けて練習に励む中、突然見つかった乳ガンだった。

池田さんは、治療に専念するため五輪出場を断念。
現役を引退することを決意した。

(池田めぐみさん)
「ガンになっていきなり自分のキャリアがストップして、生きられるのかという不安の中で人生を過ごしてきて、10年後も自分の命があったのならば、“命の使い方”として自分のやりたいことに使っていこうと思っていた。生き延びて『これは何かをやれ』ということだなと」

ガンは奇跡的に完治。
「命の使い方」として考えたのは、アスリートの基礎である「コンディショニング」を多くの人に伝えることだった。

(池田めぐみさん)
「フェンシングのアスリートだと、『指導者をするんですか?』と思われがちだが、それではフェンシングにしか自分がやってきたことを返していけない。世代・住んでいる地域・競技レベルを問わず、スポーツをやっていない人にも届けていける体のサポート、これを山形で広めていく」

池田さんは2023年、活動を普及するための拠点「ヤマガタ アスリートラボ」を設立。

体の正しい動かし方を知り、心と体を整える、「コンディショニング」。
「農業」や「産後ケア」など、さまざまなジャンルに応用しノウハウを伝えてきた。

これまでに体験したのは約1500人。
この活動が評価され、今回の受賞となった。

(授業)
「ウォーミングアップ・コンディショニングをやっていきたいと思います。ちゃんと体が動けるようになってバドミントンをした方が、しっかり動きも作れる」

池田さんがこの日行ったのは、地元・南陽高校のバドミントンの授業。
ラケットを使う前に入念に行うのは、もちろん体の動かし方。

(指導)
「天井に向けて大きく肩が動くようにしっかり回しましょう。手を大きく回して、大きく回す。開く。ここを寄せる…そうそう」

(池田めぐみさん)
「肩関節がちゃんと動くように、しっかり胸椎が回るように、尻が使えるように…といった、バドミントンの動きを正しく安全にするためのエクササイズを事前にやってから授業に入る」

(生徒)
「ほかの先生は、自由に準備運動してみたいな感じなので、ちゃんとしたストレッチができてうれしい」

「アスリートに教えてもらうのは、貴重なのでいい機会」

種目やイベントによって、体の動かす場所や動作は変わるが、池田さんが目指すことはひとつ。

(池田めぐみさん)
「少しの時間だが、肩をしっかり動かす・股関節をしっかり使えるようにするということは、日常の自分の人生に続いていって、体の不調が出た時に“こうすると改善される”といった未来を作っていきたい」

アスリートの経験を通じて向き合う「山形に住む人の健康」。
この活動を始めて2年半の池田さんは、15日の表彰式でこう締めくくった。

(池田めぐみさん)
「私は未来を生きる子どもたちが、笑顔でスポーツを好きになってくれて、そして自分の体を大切にする意志と情熱を持ってほしい。そこに全集中ですね、これからは」

池田さんによると、「コンディショニング」は「自分の体を知る機会になるので、一度体験してほしい」ということだった。
詳しくは「ヤマガタアスリートラボ」のホームページやSNSで今後の活動の情報などが見られる。

さくらんぼテレビ
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