名古屋に住む小学6年生の寺西悠人くん(11)と創汰くん(11)は、今バレエ界で注目を集める“ツインズ”です。厳しい練習に励む一方で費用はすべて倍になりますが、家族総出の支えを受けながら日本予選に挑み、その先に“世界”を見据えています。
■双子のバレエ少年・悠人と創汰の素顔
華麗なターンを決める2人。兄・悠人くんと弟・創汰くんは、今バレエ界注目のツインズです。

名古屋市守山区の自宅。学校から帰宅した2人が、アイス片手に始めたのはゲーム。遊ぶときも、宿題をするときも“常に一緒”の仲良しな2人です。
母・由美さん:
「悠人は舞台に出ると“僕を見て”という感じで本番に強い。創汰は気にしちゃうタイプで本番に弱い。生活面では創汰は時間を見て準備ができるけど、悠人は全くできない」

2人の姉がバレエを習っていたことがきっかけで、“見よう見まね”で踊っていた悠人くんと創汰くん。本格的に始めたのは4歳のときでした。
悠人くん:
「お姉ちゃんたちが踊っているのを見て、楽しそうだなと思って」
母・由美さん:
「親としては、一緒の習い事に送り込んだ方が楽といえば楽」

現在2人は週5日バレエに通っています。
■スカラシップも獲得…国内外のコンクールで快進撃
3年前に初めてコンクールに出場すると、それぞれ国内外の様々なコンクールで入賞しました。
悠人くん:
「これがジャパングランプリのクラシック部門の創汰の1位」

2024年には大会で優秀な成績を納めてスカラシップを獲得。2025年春には2人揃ってモナコへの短期留学も経験しました。しかし、そんな華々しい実績の裏には…。

母・由美さん:
「金銭的には痛いものがあります。遠征費やコンクールのエントリー料、うちはそれが×2なので」
1着数万円の衣装代にはじまり、遠征費、エントリー料など、経済的負担も大きいバレエの世界。寺西家は倍かかります。

それでも、自宅でも常に練習ができるようにと、2階の廊下に父がDIYで手すりを付けお手製のレッスンスペースも設置しました。
母・由美さん:
「外食を極力減らす。彼らが“挑戦したい”と言っていて、さらに上の賞も狙っていきたいと頑張っているので、もうやりくりしかない」

寺西家総出で2人を手厚くサポートします。
■名古屋から世界へ…世界を目指す双子の挑戦
家族の支援をバックに2人が挑むのは、2026年にヒューストンで開催される「ユース・アメリカ・グランプリ(YAGP)」への出場をかけた日本予選。

全国のバレエダンサー約1000人がエントリーし、各部門の上位者のみが世界大会への切符を手にすることができます。
創汰くん:
「ジュニアの予選を突破してトップ12に入りたい」
悠人くん:
「高い目標でいくとトップ3に入りたい」
10月上旬、東京で行われたYGP日本予選。舞台袖でリラックスした表情を見せる悠人くんに、ギリギリまで舞台袖で振りを確認する創汰くん。

悠人くん:
「頭の中で自分が完璧に踊れている姿を想像していた。ピルエット(回転)の前にきたら、ここで決めるぞと思った」
悠人くんは、先生から言われた注意点を思い浮かべながら挑んだと話します。一方、緊張しがちな創汰くんは…。
創汰くん:
「体調が悪くて、本番1時間前まで寝ていて。決選だから、ベストを尽くそうと思って集中していたから、最後のピルエット(回転)からのジャンプはうまくいきました」

大会から約1カ月後、自宅を訪ね2人に結果を聞くと…。
悠人くん:
「クラシック部門で2位を受賞しました」

創汰くん:
「ジュニアのコンテンポラリー部門で1位をいただきました」
結果は、悠人くんが「クラシック部門」で2位。創汰くんは「クラシック部門」でトップ6入りを果たし、自由な踊りで表現する「コンテンポラリー部門」では見事1位を獲得しました。

2026年5月の世界大会への切符を手にした2人。今後目指すのは…。
悠人くん:
「世界で活躍できるバレエダンサーになりたい」
創汰くん:
「将来ローザンヌ国際バレエコンクールに出て入賞して、バレエの留学に行きたい」

二人三脚で名古屋から世界へ。双子の挑戦は、まだ始まったばかりです。
