陸上自衛隊中部方面隊は1月24日、巨大地震を想定した災害対処訓練を愛知県田原市で行った。衆院選のテーマの1つでもある「安保政策」。ニュースONEの安蒜豊三キャスターが訓練に密着した。
■東日本大震災でも活躍したエアクッション艇「LCAC」
24日、田原市の海岸に集まっていた多くの人たち。その視線の先、三河湾に浮かんでいたのが、輸送艦「しもきた」。全長は178mあり、海の上で強い存在感を放っているが、物資や車両などを揚陸するのが特徴の艦艇だ。
今回の訓練は、紀伊半島沖でマグニチュード9の南海トラフ巨大地震が発生し、東海地方にも津波が襲って大きな被害を受けた想定でスタートした。
「しもきた」の後方から出てきた1隻の船。大きなプロペラを持つこの船は、エアクッション艇『LCAC(エルキャック)』だ。
港がなくても人や車両を運ぶことができ、災害で陸路からの進行が難しい場合、海から車両を届けることができる。
安蒜キャスター:
「巨大なプロペラが後ろに2つついています。プロペラを回すことによって、推進力を得ているわけですね」
特別に見せてもらった操縦席は、飛行機のコックピットのようだ。
LCACは、東日本大震災や能登半島地震の際にも出動していて、当時、車両などを何往復もして運び込んだという実績もある。
訓練を間近で取材した安蒜キャスターは…。
安蒜キャスター:
「この作業を見るまで、車を下ろすなんて、なんてことないじゃないかと勝手に思っていたんですが、そうではありません。緩やかな勾配のスロープが必要になってきます。大切な電源車が壊れてしまっては、元も子もありません」
■なぜ今回?東海地方に始めて降り立った「オスプレイ」
別の会場で姿を表したのが「オスプレイ」だ。腹に響くような低い音を立てながら低空を飛行し、降り立った。
オスプレイは日本に17機あるが、今回は佐賀駐屯地に配備されている1機が参加した。
滑走路のいらない垂直離着陸が可能で、長い航続距離と多くの物資を運ぶことが強みのオスプレイ。今回は、食料や水など段ボール40箱が、集まった予備自衛官らの作業でトラックに積み替えられ運ばれた。
訓練後、50メートルほどまで近づくことができた。
安蒜キャスター:
「ここではそれほどプロペラからの風を感じることはないんですけれど、もう少し下の方へ行くと、ダウンウォッシュという下に吹き付ける風があるかと思われます」
オスプレイが東海地方の基地や駐屯地以外に降り立ったのは、今回が初めてだ。なぜ、今回の訓練にオスプレイが使用されたのか。
中部方面総監部の桜井政友広報室長:
「オスプレイは垂直に離着陸できる、すなわちどこでも降りることができる。また航続距離も長く、物資等の積載量も非常に多いですので、災害において活用できる、非常に有効な手段だと思います。現地においても、今日も市民の皆さまがご見学をされて、さらに理解が深まったんじゃないかと思います」
■60m先の対岸まで…孤立を防ぐ「鋼鉄製」の橋
別の公園では、何もなかった幅10mほどの谷に、「鋼鉄製の橋」がかけられていた。これは、地震によって橋が損壊した想定で、応急的にかけられた橋だ。
何もないところでも、60mまでなら対岸まで橋をかけられるため、孤立した地域をつなぐものとして期待されている。60トンまでの重さに耐えられるという。
中部方面総監部の桜井政友広報室長:
「われわれも、インフラ業者が持っている車両がどういう諸元で、実際にどのような処置をすれば安全に通過させることができるのかというノウハウが、この訓練を通じて得られたものと思います」
陸・海・空から…。南海トラフ巨大地震発生後、津波に襲われた想定で行われた今回の訓練。間近で取材をした安蒜キャスターが感じたことは。
安蒜キャスター:
「現場で動いているのは、生身の自衛官の皆さんでした。その作業につきましては、非常に人手と手間がかかっているという印象を受けました。今、防衛費をめぐる議論があります。当然、選挙の争点の一つになるかと思うんですけど、彼らにかかるコストというのも、防衛費の中に当然含まれているわけです。これを防衛費について考えるうえで考慮しなければいけないと感じました」
