島根県松江市の調理専門学校に、2025年春に入学したネパールからの留学生。
『海外で料理の腕を磨きたい』と、日本へやってきました。
言葉や文化の壁を越えながら夢の実現を目指し奮闘する留学生の日常に密着しました。
松江市の調理専門学校に通うダンギ・チャマンさん(23)。
ネパール出身で、この学校で初めての、そしてただ1人の留学生です。
日本食講師・池野潤先生:
箸を離さないように。そうそう。箸離すなよ。そうそう、そういう感じ。
この日は和食、天ぷらと寿司の調理実習です。
ダンギ・チャマンさん:
難しいですね。衣の温度管理とかすごく難しい。わからないことたくさんありますね、日本語。茄子の漢字とかわからないし。
漢字は苦手というものの、日本語でのコミュニケーションはスムーズです。
同級生:
動きが速いです。すぐやってくれるので、自分たちのやることがなくなることがある。
同級生:
接しやすいので、すごく楽しくやってます。
4月に入学して半年あまり、同級生ともすっかりなじんでいます。
実習のあとは料理を試食、天ぷらはつゆではなく塩で。
しかし…。
ダンギ・チャマンさん:
塩だけはあまり食べないですね。天ぷらも脂っこいので。でも今日は食べます。
休憩時間ですが、ダンギさんはテキストとにらめっこです。
ダンギ・チャマンさん:
12月に(日本語の)試験があるので、時間見つけてちょっとずつ(勉強を)はじめています。
ダンギさんは2023年に来日、出雲市内の専門学校で一から日本語を学びましたが、授業の合間も、とにかく時間があれば日本語の勉強。
授業についていくため、必死です。
ダンギ・チャマンさん:
中学生の頃、日本に行く人が増えていて、私も海外に行って海外の料理を学びたいと思って。
ダンギさんはネパール西部の地方都市、コハルプールの出身。
両親が居酒屋を経営していたこともあり、子どもの頃から料理好き。
母親に教えてもらいながら、料理を作っては家族にふるまい、店を手伝っていたほど。
そんな大好きな料理を海外で勉強したいと、日本で学ぶことにしました。
ダンギ・チャマンさん:
これはお母さんが教えてくれたカレーです。
今は松江市内のアパートで生活。
ほぼ毎日、ネパールで普段食べていたカレーを手作りしています。
ダンギさんにとって、日本での生活は安心で楽しいといいますが…。
ダンギ・チャマンさん:
今が頑張るとき。学校の時間も長い、バイトもしないといけない、学校の授業料とか家賃、お金のことも。
一番の悩みは、お金。
入学金と授業料など、最初の1年に必要な学費は約150万円。
両親からの支援やアルバイト収入では足りず、ネパールや日本の知り合いから借りました。
その返済にも充てたいとアルバイトに励んでいますが、現状は家賃など生活費で精いっぱいです。
バイト先の洋食担当者:
筋が入ってるでしょ、こう切らないとダメ。
勉強もかねて、ホテルの厨房でアルバイト。
ほかにもう1か所掛け持ちしています。
牛肉をおいしく焼き上げますが、ダンギさんはヒンドゥー教徒。
宗教上、食べることはできません。
ダンギ・チャマンさん:
美味しそうと思うけど、食べたいとも思うけど食べられない…大変です。
午後9時、長い1日の終わりにまかないの弁当。
ダンギ・チャマンさん:
もらいました。
1食分、節約できるのは助かります。
異国の地で働きながら学ぶダンギさん、将来は…。
ダンギ・チャマンさん:
子どもの頃からの夢で、『絶対に自分の店を持ちたい』、これは強い気持ちです。その為にどんな大変なことがあっても頑張ってきてる、まだまだ頑張ります。
専門学校の課程は2年間、夢を力に変え、ダンギさんの学びの日々が続きます。