口を動かさずに声を出し、人形がしゃべっているように見せかける「腹話術」。
実は、警察の広報活動でも大きな武器になっています。
警察官がその技術を競う大会が、鳥取市で開かれました。
頂点に輝いた警察官、日ごろの努力は並大抵ではありませんでした。

人形がまるで命が宿っているかのように語ります。
鳥取市で開かれた鳥取県警の『Fukuー1グランプリ』。
「Fuku」は、腹話術の「ふく」。
警察官が日ごろ磨いた腹話術の技術を競います。

今回初めて開かれ、9組11人が出場しました。
寄席などで演じられる話芸でもある腹話術。
口を動かさずに声を出して、まるで人形と会話しているかのような話芸ですが、子ども向けの交通安全教室など警察の広報活動でも活用される大切な技能です。

鳥取県警交通企画課・山岡由紀子巡査部長:
人形を使うことで講習を受ける方が親しみやすく興味を持ってもらえるため、1人でも多くの県民のみなさまの交通安全意識の向上が図られたら。

若手の警察官にも、この伝統ともいえる技能を身に着けてもらおうと、この大会が企画されました。

客席には園児約70人を招待、大人も含む観客の前で交通安全や特殊詐欺の防止をテーマに寸劇を披露しました。

それぞれの熱演が終わり、最優秀賞、名誉ある初代チャンピオンに選ばれたのは…。

西部高速隊・岡野真介巡査部長(腹話術で):
タラちゃんの趣味何?
節約だよ、貯金だよ。
横・断・歩道では~右をよく見て左見て♪

腹話術歴11年のベテラン・高速交通隊所属の岡野巡査部長。
相棒は「タラちゃん」、確かな腹話術の技術に加え寸劇に替え歌を取り入れるなど、子ども向けにユーモアを交えたアイデアが高く評価されました。
「タラちゃん」に優勝の心境を聞いてみると…。

「タラちゃん」:
ありがとねー。ネタ選びが大変だったよね、なかなか台本通りにいかなくてさ。難しかったよね。

西部高速隊・岡野真介巡査部長:
本体の僕が汗だくだくですね、服の下が。緊張しました。

一見、腹話術とは無縁の高速交通隊からただ1人出場した岡野巡査部長。
職場を訪ねてみると…。

西部高速隊・岡野真介巡査部長:
ハザードよし!

米子市にある高速道路交通警察隊。
山陰道や米子道など高速道路のパトロールや事故処理などが主な任務です。

西部高速隊・岡野真介巡査部長:
タラちゃんは、パトロールの時はさすがに留守番をさせていますね。勤務に集中していますので、腹話術は封印しています。

後輩隊員:
普段の勤務になるとキリっとスイッチが入って、本当にまじめな先輩なので、日頃から勉強しておられて見習うところがたくさんあります。

警察署勤務に比べると、交通安全教室などの機会が少ない高速道路交通隊。
腹話術を披露するチャンスも少なく、練習時間も限られています。
そんな岡野さんが練習の場に選んだのが…。

職場への行き帰りの自転車でも腹話術の練習…かなりシュールな光景ですが、岡野さんは至って真剣です。

西部高速隊・岡野真介巡査部長:
夜道だと変な人が来たんじゃないかと思われちゃいますから、なるべく周りの人を驚かせないように人の通らない道を選んで通勤しています。いまのところ、幸いにも人と遭遇したことはないです。

警察官向けの研修会で腹話術に出会って11年。
その魅力に取りつかれ、技術を磨いてきました。
今回、頂点に立ちましたが、まだまだ上がある、と腹話術にかける情熱に変わりはありません。

Q.岡野さんにとって腹話術とは?
西部高速隊・岡野真介巡査部長:
わたしにとっては、なくてはならない生きがいみたいなものです。自分の技術の向上のためでもありますし、お子さんや高齢者の方が事故に遭わないことにつながればと思うので。

岡野さんは県民にわかりやすくメッセージを届けるため、今後、さらに腹話術の技術を磨き、後輩に伝えていきたいと話していました。

TSKさんいん中央テレビ
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