瀬戸内海で深刻化している養殖カキの大量死の問題。その影響は養殖業者だけでなく、香川の冬の風物詩にも広がっています。
(海鮮牡蠣(かき)焼き かくれ家 中村浩三さん)
「あしたから飯が食えない。今シーズン終わって一切飯が食えない」
来店予約お断りの電話は400組を超え…カキ小屋を始めて22年で初の「営業日なし」
さぬき市志度のカキ小屋、「海鮮牡蠣焼きかくれ家」の店主、中村浩三さんです。店は毎年、11月ごろから営業を始めますが、今シーズンはまだ1日も店を開けていません。
(中村浩三さん)
「土曜日の昼、土曜日の晩、全部お断りしている。予約を断って電話をこっちからかけて「ごめんなさい、今年はできない」と」
断りを入れた数は、400組を超えました。カキ小屋を始めて22年。経験したことがない事態となっています。
(中村浩三さん)
「初めて。1日も営業できない」
数百万円かけた設備投資も…提供するカキが不足する中でふくらむ経費、従業員も働けない状況に
カキ小屋は、新鮮なカキを鉄板の上で豪快に焼いて食べる香川の冬の風物詩の一つで、ほとんどの店が食べ放題のシステムとなっています。しかし、2025年は、水揚げされた養殖カキの9割以上が死んでいるという異常事態のため、提供するカキの量が圧倒的に足りません。
店では2025年、鉄板や空調設備などを数百万円かけて新調したばかり。先が見えない状況に頭を抱えています。
(中村浩三さん)
「今からさらに新品の換気扇が付く。その金はすべて赤字。まだ従業員も来ていないからその人たちも困る」
カキ焼き食べ放題は絶対にできない…カキの成育に期待し1月下旬の営業開始を望む店主の思い
こうした中、中村さんは、1月下旬には店を開けたいと考えています。
(中村浩三さん)
「1割5分くらい残っている小さなカキが大きくなったら営業はできると思うが、カキ焼きの食べ放題は絶対にできない。それで1カ月間(カキが)あるだけは商売しよう思っているが今の時点では実際問題困っている」
香川の冬の風物詩、カキ小屋。日常が戻ってくるのはいつになるのか?出口の見えない苦悩の日々が続いています。