政府が物価高対策として補正予算案に盛り込んだ各自治体で自由に使い道を決められる“重点支援地方交付金”。国はおこめ券の配布などを、推奨しているが、農業県でもある新潟県内の自治体では、おこめ券の配布を決定した自治体はないようだ。その理由などを取材した。

政府は“おこめ券”推奨も…街からは“現金給付”求める声

「自治体によってはクーポンかもしれない、電子マネー・ポイントかもしれない。そして、また農水大臣の大好きなおこめ券かもしれない」

おこめ券
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12月9日の衆議院予算委員会で高市首相が言及したのは、補正予算案で拡充される自治体向けの重点支援地方交付金の活用方法についてだ。

政府が食品の物価高対策として打ち出したもので、その活用方法は各自治体で自由に決められるが、政府が推奨するものの1つとして“おこめ券”を挙げている。

11月24日から30日に全国のスーパーで販売された、コメ5kgあたりの平均価格は、前の週より23円高い4335円と最高値を更新していて、おこめ券も効果があると考えられるが、街の人からは「おこめ券よりお金をもらった方がありがたい」「現金のほうが用途が幅広いのではないか」などと、現金給付を求める声が多く上がった。

新潟県内“おこめ券”配布予定の自治体はゼロ

NSTが県内の各自治体におこめ券を配布するか取材したところ、12月11日の時点では、多くの自治体が検討中とした一方、新潟市、新発田市、佐渡市、五泉市、南魚沼市、阿賀町、出雲崎町、津南町の9つの自治体が「配布しない方針」と回答。

配布する方針を決めた自治体はなかった。

配布しない方針の自治体の担当者からは、「おこめ券の発行に手数料と時間がかかってしまう」「コメ農家が多く、また、農家から直接コメを買っている人も多いため、おこめ券はなじまない」などといった声が聞かれた。

新潟市は、12月10日におこめ券ではなく、市民1人あたり現金3000円を給付する方針を発表。26年5月から6月の支給開始を目指す考えだ。

また、新発田市は7500円分のプレミアム付き商品券を5000円で発行し、販売する方針だ。

経費の高さ問題視する声も…鈴木農水相は“おこめ券”の意義強調

一方、1枚440円分として使えるおこめ券は経費などが上乗せされ、現在500円で販売されているが、この経費の高さなどを問題視する声が全国で相次いでいる。

このため、おこめ券を発行するJA全農や全米販は利益をとらないなど、価格を抑えたおこめ券を販売すると発表。

鈴木憲和農水相も「おこめ券はコメしか買えないわけではなく、利用店が認めた商品の購入ができる。いま国会で補正予算が成立すれば、12月下旬以降に順次自治体におこめ券を発送できるよう、印刷を含め関係者間で最大限努力をしてもらっている」と話し、その意義を強調する。

物価高で多くの人が苦しむ中、地域の実情に合わせてスピード感のある対応が求められている。

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NST新潟総合テレビ
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