知多半島・美浜町にある創業50年の「布土(ふっと)精肉店」は、名物“10円惣菜”で連日大にぎわい。手間ひまかけた唐揚げなどが1個10円から買えると評判で、遠方から足を運ぶ人も絶えません。

■驚きの“1個10円”の惣菜…美浜町で人気の精肉店

知多半島・美浜町にある「布土精肉店」は、地元ブランド牛「知多牛」を中心に扱う老舗。

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知多豚を地元の醤油で味付けした自家製チャーシューも人気ですが、注目なのが“お惣菜のテイクアウトコーナー”です。約30種類が並ぶお惣菜コーナーには、「知多の手羽唐」(1本125円)や「チーズささみフライ」(311円)といった定番もありますが、ひときわ目を引くのが税込1個10円のお惣菜。巷では“日本一安い”とも言われているそうです。

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1番人気の唐揚げは、自家製チャーシューのタレに一晩漬け込んだ国産鶏ムネ肉に衣をまとわせ、さらに一日置いたこだわり品。

店主:
「一昼夜しっかり漬けておくと衣がついてくる。ムネ肉ってパサっとしているので、きちんと中まで味を染み込ませないと」

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中まで味が染みた唐揚げを低温でじっくり揚げ、ふっくら仕上げる手間のかかった一品。それが10個買っても100円という破格です。さらに「とうふドーナツ」(1個10円)、「揚げシューマイ」(1個10円)、「ハムカツ」(1個10円)、師崎産のはんぺん・ちくわを揚げた「いそべ揚げ」(1個10円)もすべて1個10円。

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しかし、超お値打ち価格のため“10円惣菜”には購入制限が…。

店主:
「10個以上の場合は、1個20円で販売しています」

ひと家族につき、10円で買えるのは10個まで。11個目からは1個20円となります。

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客:
「安い。東京の人も名古屋駅で降りてわざわざここまで買いにくる人もいるって聞いた」

別の客:
「安い。慈善事業だと思います」

■子供たちのために始めた“10円惣菜”

時代に逆行する価格に、客は驚きながらも大満足です。

客:
「この道を通ると必ず寄る。サッパリしていてあまり脂っこくなくて、5個食べるとお腹が膨れます」

一口サイズでドライブのお供にも最適。特に昼時には人だかりができるという“10円惣菜”。

始まりは16年前。

店主:
「子供たちがお小遣いで駄菓子のように1個10円で色んなものが選べるようにしたかった」

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店のすぐ横は通学路。地域の子供たちに喜んでもらいたいと始めたといいます。とはいえ、この物価高の中で利益は…。

店主:
「多いものは1個1円利益が出ていたり、少ないものは3銭ぐらい…」

それでも毎日1200個、多い日は2000個以上を作り、16年間価格を据え置いています。その理由は?

担当者:
「子どもたちが『安くておいしい』って言うと親が来る。親が来ると精肉やほかの惣菜を買ってくれる。最終的に精肉で利益が出る仕組みです」

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つまり、10円惣菜から生まれる“子供から親、そして精肉”という流れが店全体を支えています。しかし物価高が続く中、この価格を維持するのは容易ではありません。

担当者:
「鶏肉(の仕入れ値)が上がってくる。どこまで踏ん張れるか考えながら、10円唐揚げをやり続けたいと思っています」

利益を度外視してでも守りたい“地域の食文化”。10円唐揚げは、これからも美浜町の名物であり続けます。

東海テレビ
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